目に映るすべてのことはメッセージ
慌ただしかった夏を終え、束の間の東京ステイをし、秋の匂いを感じる北海道にまた戻ってきた。
夏はビレッジの住人として、場を耕していたのだけど
今回はアートウィークということで、滞在制作をする。
今回のアートウィークは、一人一張のテントで、自分のスペースで、自分のペースで
自然に触れながら、何か創作をする、という感じ。
みんなでの共同生活2ヶ月を終え、東京で数日1人部屋にこもっていたのだけど、1人はとても心地よかった。
なので、わたしは今回の滞在ではとにかくとりあえず1人になりたい、と思っていた。
みんなで誰がどこにテントを張るか話したときに、わたしはフィールドの一番上、見晴らしのいい高台を希望した。
もちろん、1人になりたい、という希望と共に。
そこは景色もいいので、他にも1人希望者がいて。
でもその人はわたしがスペースがほしいことを理解してくれて、テントを離した上で、入り口からお互いがあまり見えないようにするということで話がついた。
そして、テントのそばで制作をしたいというわたしの希望のために、近くにタープも張ってもらえることになった。
ところが、いざテントを張るとなった時「俺は寝る場所はどこでもいいよ〜」と口にしていた人が、わたしのテントの20mほどのところにテントを張り始めた。
『どこでもいいなら、もっと遠くに張ってくれ』と心の中で呟きながら、テントとタープを張り、夜を迎えた。
夜は人との距離も気にならないし、すんなり過ごせた。
ところが、朝起きてテントを開け、朝の光と目の前の景色を吸い込もうとしたら、
なんとテント前のタープの下に、わたしの近くにテントを張った彼が座っていた。
わたしはもう、悲しさと残念さでいっぱいになって「おはよう」すら言えたかわからないまま、テントの入り口をそっと閉じた。
その後、どうしても残念だったこと、今回は本当に1人になりたいことを改めて伝え、わたしはお引越しをした。
新しいフィールドで、まだ全然手が入っておらず、少しだけ怖いけど。でも絶対にすっぽりと1人になれる場所へ。
ここは水場もトイレもないけれど、大自然に包まれている。
怖さよりも、伸びやかさを感じられる。
アートウィークで何を作ろうか決まっていなかった。
けど、どこかパツンパツンだった自分を空っぽにして、2ヵ月前から読みたいと思っていた本を読んで、杜を拓いていたら、目に写る愛しい瞬間や、美しい景色たちを切り取ろうと思えた。
『目に映る すべてのことは メッセージ』
ありがとう、ユーミン。
いまその言葉がとても沁みます。
あの日の朝、テントを開けたときに目があったのは、わたしの中の何かだったのだろう。
しばらく写真を撮ろうと思わなかったのだけど、自然にカメラに手が伸びて。
久しぶりに自分のために、自分が撮りたい画を撮っている。
とても楽しくて、とても幸せだ。
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