【百年ニュース】1920(大正9)9月29日(水) 米国ピッツバーグの百貨店でラジオ受信機が初めて発売される。ウェスティングハウス社の技術者フランク・コンラッド(Frank Conrad)がペンシルバニア州ウィルキンスバーグの自宅で個人的な実験ラジオ局8XKを開設。その放送を聴取可能なラジオ受信機を10ドルで同州最大の百貨店ジョセフ・ホーンが販売した。
コンラッドのラジオ局8XKは毎週水曜と土曜の両日,午後7時半から2時間の放送をした。レコードで音楽をかけたが,手持ちのレコードだけではすぐにネタが尽きてしまい,地元のハミルトン音楽店にレコードの貸出を打診すると「今の音楽はハミルトン音楽店の提供です」とアナウンスする条件で合意。実際8XKで流れた曲の売上は上がった。
地元ペンシルバニア州最大の百貨店ジョセフ・ホーンが,コンラッドの8XKを受信できるラジオを販売。地元の新聞に広告を掲載。
「エアコンサートを当店のラジオで”受信”できます」
無線で空中に放たれたビクターレコードの音楽は,最近当市に設置された無線局によるもので、興味がある人は”受信”可能です。先日のコンサートは木曜夜10時頃から20分ほど続きました。2つのオーケストラのナンバー,特にソプラノのソロが高く澄んだ音で空中から響いてきます。また若者向けの「おしゃべりプログラム」もあります。
音楽はウィルキンスバーグ市「ペン通り×ペブルス通り」のフランク・コンラッド氏の自宅にある無線送信機で拾われたビクターレコードの音でした。コンラッド氏は無線愛好家で,この地区の人々の娯楽のために定期的に無線コンサートを開催中です。
アマチュア向け無線受信セットは,当店が同じメーカーで製造したもので,10ドルより販売しています。
ー販売場所:西地階売り場
ピッツバーグ・プレス(地方新聞)1920/9/29,p11
Air Concert "Picked Up" By Radio Here
Victrola music, played into the air over a wireless telephone, was "picked up" by listeners on the wireless receiving station which was recently installed here for patrons interested in wireless experiments. The concert was heard Thursday night about 10 o'clock and continued about 20 minutes. Two orchestra numbers, a soprano solo - which rang particularly high and clear through the air - and a juvenile "talking piece" constituted the program.
The music was from a Victrola pulled close to the transmitter of a wireless telephone in the home of Frank Conrad, Penn and Peebles Avenue, Wilkinsburg. Mr. Conrad is a wireless enthusiast and "puts on" the wireless concerts periodically for the entertainment of the many people in this district who have wireless sets.
Amateur Wireless Sets, made by the maker of the Set which is in operation in our store, are on sale here $10.00 up.
-West Basement
The Pittsburgh Press, Sep.29,1920, p11
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