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「M」

超歌手の大森靖子さんの楽曲に「M」という曲がある。とあるAV女優の手紙をもとにした(本人了承済)という大森さんの曲の中でも異質でありながら特別な意味を持つ曲だと思う。そして如何にモデルとなった彼女の手紙が大森靖子の世界を内包しつつ自分の事を語っていたかが、手紙の内容を歌詞として並べ替えて最後の二行しか付け足していないという大森さんのブログからも推察できる。

とあるAV女優の手紙が元となって生まれた曲であるなら、その感想を含め手紙として残すのも自然だと思い、私の敬愛する女優さん宛に書きました。


拝啓 戸田真琴 様

Twitterにいない貴方にこの文章が届くことはないであろうと知りながら、この曲を語る照れ隠しの体裁にこのような形で文章にしたためる事をお許しください。

何度も大森さんのライブで「M」を聴いて泣かされた身としては、それくらい特別な曲なのです。

「とあるAV女優」がモデルであるこの曲を聴く度に何故か貴方の事を考えて同一視してしまい、これまで紡いできた大森さんとの関係性に心震わせてきましたが、時を重ねるにつれ歌詞の世界の女優と若干のギャップを感じる事もあります…例えば、

「借金しながら教習所に通って車を運転できるようになりました 人生においてしたいこと たいせつなものはほんとそれくらい 全然ないのです」

デビュー時のインタビューから「映画撮りたい」と答え、今現在クラウドファインディングで監督処女作の映画を撮る為に精力的に動いてる姿は歌詞の中の女の子の切なさとは別人の様に感じましたし、

「処女という付加価値に乗っかってギリギリ専属のはしっこで生きてます AV女優の私に助けられ照らす私の愛が私だから」

スカパーアダルト大賞で最優秀女優賞を勝ち取り、文字通り日本一のAV女優として「ギリギリ専属のはしっこ」どころか、本当にファンが追い付けないくらいの勢いで次々と新しいイベントを精力的にこなす貴方の姿は本当に眩しく、AV女優としてのファン以外にも様々な角度からフォロワーが増えていくのを実際に自分も通ってる現場で肌感覚で感じるからこそ日々ギャップが生まれるのだと思います。

貴方がスカパーで最優秀女優賞を獲得した翌日、大森さんはライブ自由字架にて「M」を歌いました。

仕事で会場に来れない貴方の為に「まぁきっとアイツが撮るでしょ」と曲前にアイコンタクトで私に訴えてスマホが録画可能状態になるまで待っててくれてる間の1分にも充たない時間(私が焦りすぎてライト光らせたり失態だらけで永遠にも近い時間にも感じましたが)やっぱりあの時の大森さんから貴方に向けた「M」が一番泣かされすぎて手の震えが止まらずブレまくり結局まともに録画された映像を貴方が観るには「Re:Re:LOVE」特典の二宮さんの映像まで待たなければいけなかったのも一生モノの失敗談として忘れられなそうです(二宮さんの映像にはグシャグシャに泣いてる私の顔が残らなくて良かったとの安心感も含めて)そういえば自由字架の会場で貴方の最優秀女優賞の受賞のニュースを知った時に喜びすぎて帰りのエレベーターのボタンを背中で全部押しながら投票を協力してくれた人達に御礼を叫んだダサいエピソードの目撃者のスクショも貴方が笑ってくれた事で救われました。

「強く強く生きるのは どうしようもなく恥ずかしい若くて ダサくて 不器用で 傷だらけだから美しい」

思えば自分は小狡くて常に何らかの打算を伴って行動してしまう癖に貴方の前では失態ばかりでしたね。スカパーアダルトアワードの投票期間中も常に貴方への投票をお願いするツイートには貴方と大森さんとのツーショットを載せたり、大森さんのグッズを纏った貴方の画像で少しでもフォロワーの気を引こうとしてました。もしかしたら一番、貴方の実力と受賞を信じていなかったのは私なのかも知れません。そんな中、投票期間最終日にライブ直前にも関わらず投票をお願いする私のツイートをRTして背中を押してくれたのも大森さんでした。

AVのイベントに来るファンは相変わらず日々、増えてますが、どうやったら大森さんのファンの人達にも現場に来て貰えるか考え、いつからか貴方をAV女優でなく暗に大森さんとの繋がりを示す「クソカワ女優」と呼んでました。大森さんのアルバムの中でも「M」が収録されてる「kitixxxgaia」だとキ●ガイ女優みたいだし「MUTEKI」だと違うAVレーベルになってしまうし「クソカワ」が一番似合いますよねとお話した時に「うん、私もそう思うよ」と笑顔で仰ってくれた事を思い出す度に自分の打算が恥ずかしくなりますが、今なら笑い話になりそうです。

本当に強いという事について考えた時に先日の貴方のTwitterを辞める宣言は一抹の寂しさと同時にとても勇気のある撤退だと思いましたし、SNSに奪われた膨大な時間と心の安らぎを取り返すとの言葉に、心ない言葉に傷つけられても不器用ながらも前に進もうとする意思の強さを感じました。

いつだってファンとの対話に真摯に向き合い、現場で大森さんの事しか話さない時でも耳を傾けてくれたり、現場に通って三度目のサイン会の時には私がスタッフにサインの宛名を聞かれた時に「この人は(認知してるから)いいんです」と私が名乗らずともサインしてくれた事、ちゃんと努力してミスiDを勝ち抜いてるのに、馬鹿なツイートやらかして落ち込む私に大森さんがくれた「おっさんiD大森靖子賞」の受賞を祝ってくれた事、ちゃんとファン一人一人を心を込めて愛してくれるからこそ「SNS上で誰がいなくなっても荒野でおはよーと吐き続ける」と宣言した大森さんとは違う道ですが、貴方の選択にあらためて私も同意と尊重と尊敬の念を捧げます。

「終わりがすぎてしまえば 終わりの終わりもまた過ぎて 人生を少しくれたら私の愛は全部あげる」

長くなってしまいましたね…自分の字の汚さや文章の稚拙さを恥じるが故にまこりんカフェのお手紙BOXには期間中ファンレターを入れる事ができませんでしたが、いつでも歌詞の中の「とあるAV女優」と同じように「心なんて全部あげる」と優しさをくれる貴方の心遣いと「M」という曲に出会わせてくれた事、大森さんの現場とハシゴの為にイベント終了を待たずに会場を出る事も多い自分を受け入れてくれた事に心から御礼を申し上げます。許されるのであればこれからも現場に通い愛させてください。貴方の撮る映画を心から楽しみにしているファンより。敬具   


※なお、この文章は超歌手とAV女優という異なる職業の二人の女性にガチ恋をこじらせたオタクの妄想フィクションを含むファンレターという体裁をとっております。くれぐれも文中の女性方に直接、真実を追及するような行為はお控えください。それはこの文章を読んだ人が双方の現場に通った上で、各々の中で答えを見つければ良い事なのですから。

※追記の追記※
文中にある戸田真琴実験映画集「永遠が通りすぎていく」制作発表のタイミングで「M」の映像化が発表され、2021年10月10日より大森靖子さんの楽曲の正式なMVとしてYouTubeに公開されました。

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