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伝プトレマイオス『百言集《センティロキウム》』40


LX.
[羅]上昇位が災厄惑星に攻囲される時に生まれる者はものごとの卑しさを好み、悪臭を愛するようになる。

惑星もしくは上昇位に対する邪悪惑星の圧迫は、二つの災厄惑星の間で眺められている時に起こる。たとえば♂が♈にあり、上昇位が♍つまり♌と♎の間にある時。これらが♂と相をなしており、処女宮はその間にある。つまり♍にどの惑星があるにせよ、♂によって攻囲されている。それにとどまらずある場所、或る星座が二つの邪悪惑星によって攻囲されることもあり得る。たとえば、♄が♍にあり、♂が♏にあるような場合、♈は両者の逆位(♓と♉)からの光の発出(放射)に攻囲される。♄は双魚宮を、♂は♉を逆位から撃つ。これらの間に♈はあって攻囲されている。この圧迫は隣接度数が近接(減じる)ほど酷くなる。♄が♎の12度、♂が♏の10度にあるなら、両者の光線は四角相をなし♑の25度を攻囲する。これらの度数は土星の四角相と三角相、火星の六角相と四角相によって占められることとなる。この寸言は、諸惑星の光線の場所だけが撃たれるわけではなく、攻囲するものも考慮されねばならないということを教えている。また善惑星に囲まれると繁栄がもたらされ、邪悪惑星に囲まれると苦しめられる。攻囲された場所とは、15度以下の離角で攻囲されているのでなければならない。

[希] 東(ホロスコープ)が邪悪(惑星)によって阻害される時生まれる者は腐敗したものを好み、腐った臭いに満足を見出す。
占星術師(算術家)たちは、東(ホロスコープ)の主(惑星)はそれだけで、他に参与するものがない条件のもと、東(ホロスコープ)の主(惑星)そのものの自然本性と適合(一致)したものを生まれさせる、と異口同音に言う。この主(惑星)が土星であるなら、生まれてくる者は酸っぱく収縮性の食べ物で満足し、火星であるなら熱と塩分のある食べ物、刺激性のもの及び重い葡萄酒を好む。土星と火星は匂いに関しては同じことを指し示している。わたしは或る裕福な人と知り合った。彼は土星と火星の支配のもとにあった。両親は権勢を誇り、彼は腐った肉に塩を塗りたくったものを歓んで食べていた。彼の妻が何種かの香辛料を用いたが、彼はこれに我慢がならず、彼女と性交もできず、逆に交接にあたっては汗と汚れ(糞尿塗れ)に興奮した。

[亜] プトレマイオスは言った。誕生時日〔星図〕において邪悪〔惑星〕の数々が昇位点(アセンダント)を支配しているなら、これをもつ者は忌まわしいことどもを好み、嫌な臭い等々を好む。
註解
占星術師たちは、誕生時日に昇位点(アセンダント)の主〔惑星〕だけが指し示すもの〔指標〕となり、諸他の惑星と結びつかない時、誕生する者の自然本性はこの惑星によって描出されるところとなる、と一致して認めている。土星は誕生する者に酸っぱい味覚を望ませ、火星は辛いものや濁った葡萄酒を望ませるとともに、嫌な臭いを望ませ、性交時に糞尿の臭いを望ませ、腐った臭いのする海の動物の料理を好ませるまでに到る。
わたしは、火星と土星を誕生時日の支配惑星にもつ裕福な上層階級の男を見たことがある。彼はほとんど塩をしていない嫌な臭いのする海の動物を自ら竈tannuriyahで焼いて調理して食べるのだった。その間、嫌な臭いが漂いつづけていた。彼は閨房で若い女中が無臭だと性的不能になるが、不潔で淫らなふるまいに到ると興奮すると言ったものだった。


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