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時間のはなし

六歳になったあおいさんの話。


このまえ、あおいさんが、家族ぐるみで仲良くさせていただいているご夫婦にお手紙を渡したんです。

一枚は、その日が誕生日の旦那さんに、「おめでとう、大好きだよ」と。で、もう一枚は、奥さんに、「大好きだよ」と。で、更にもう一枚。お二人が飼っていた愛犬に対して「大好きだよ」と。

飼ってい「た」と言ったのは、1年以上前に亡くなってるからです。でもね、あおいさんの言い方が、別に過去のこととしてではなく現在のこととして言っている言いぶりで、しかも、とってもナチュラルで、とっても素敵だったんですよ。

なんとなくですけど、僕には言えない言葉だな~、と思ったんですよね。実際に、貰ったご夫婦も涙ぐんでました。

それがなんでステキと感じたのかを説明できなかったんですが、ふと、直近の大豆田とわ子に出てきたセリフと時間の理論を思い出して、なんとなく腑に落ちました。

時間の理論で比較的新しいものに「スポットライト理論」というものがあります。絶対的な時間はなく、「過去も現在も未来も同時に存在していて、観測者である我々が各々でスポットライトを当てている行為を時間のように感じるだけ(頭の中で時間が生じている)」というものです。ともすれば、絶対的な時間を共有していないという意味では悲しいように思いますが、過去も現在も未来も同時に存在していると考えれば、この世界を一緒に生きている感覚にもなれるんですよね。

あおいさんの言葉はそれを思い出させてくれました。あなたは、いま、そういう時間軸で生きてるんですね、と。その世界をシェアしてくれてありがとうと。

さて、大豆田とわ子のドラマの中で出てきたセリフを転載しておきます。オダギリジョー、カッコいいんすよ、マジで。

「人間にはやり残したことなんてないと思います。過去とか未来とか現在とか、そういうものって時間て別に過ぎていくものじゃなくて、場所っていうか別のところにあるものだと思う」
「人間は現在だけを生きてるんじゃない。
5歳、10歳、30、40。その時その時を懸命に生きてて、過ぎ去ってしまったものじゃなくて、あなたが笑ってる彼女を見たことがあるなら、今も彼女は笑っているし、5歳のあなたと5歳の彼女は、今も手を繋いでいて今からだっていつだって気持ちを伝えることができる。
人生って小説や映画じゃないもん、幸せな結末も悲しい結末もやり残したこともない。あるのはその人がどういう人だったかっていうことだけです。
人生にはふたつのルールがあって、亡くなった人を不幸だと思ってはならない。生きてる人は幸せを目ざさなければならない。
人はときどきさびしくなるけど人生を楽しめる。楽しんでいいに決まってる」

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