若さゆえの選択⑥ (詩乃) ~近くて遠い、その隔たり~
「ここじゃ、迷惑になるから」
そう言って、詩乃は両親をシャアハウスから連れ出した。
ここに居座られて、これ以上、玲奈さんをはじめ皆に嫌な思いをさせるのは絶対に嫌だった。
「早く立って!」と声を荒げ、詩乃は両親をソファから立ち上がらせた。
「ひとりで……大丈夫?」
玄関を出る間際、玲奈さんに呼び止められた。心配そうな目が、詩乃を見つめる。
「玲奈さん。ご迷惑をおかけして、本当にすみませんっ。私にも何の連絡なしに、いきなり訪ねて来て」
玲奈に謝りながら、詩乃はとにかく頭