若さゆえの選択⑤ (詩乃) ~対面、そして決意~
上京してから、初めての冬。
街行く中で目に入るネオンやイルミネーションは、地元と段違いだった。
煌びやかで、華がある。
地元の冬は、ただ寒くて暗い、一年の谷間だ。過ぎ去った後の春を待つだけの季節。でも、東京の冬は違う。イルミネーションやクリスマス、師走で賑わう飲み屋やショッピングモール。冬ならではの活気が、そこにはあった。
「お前、正月ってどうすんの? 実家に帰ったりすんの?」
午後の仕事もひと段落ついたころ、遼平が詩乃に訊ねた。彼は詩乃より2年先輩だが、手先がと