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壱岐のイルカと共に実現すること

アメリカのフロリダ州のグラッシーキーにある、”Dolphin Research Center” に来ています。

昨年9月に来訪し、とんでもない衝撃を受けて、すぐに全トレーナーを連れてくる!と決めて、今回の出張になりました。

今回は、壱岐イルカパークにいるすべてのイルカトレーナーが参加して、DRCが提供する、Professional Animal Trainer コースを特別に受講しています。
DRCが推奨している、”Relationship Based Training” を座学と実習で学べるスペシャルコース。

何が違うって???

動物との付き合い方、距離感、関係性、その全てが違います。42年間生きてきて、水産大学と大学院で海洋研究所を卒業するまで、たぶん100近く訪れてきた水族館、飼育施設でみてきたモノと全く違う動物との関わり方。

一言で言うならば、
コントロールではなく、コミュニケーション。

僕はずっと、動物を飼育する、調教する、って、何処か上下関係を感じていました。だから、飼われている動物を全部「かわいそう」と思ってた。捕まった時点で彼らは生存競争に敗れた動物で、もはやコントロールされて生きているだけ、と思っていました。

ましてや、イルカを追い込んで捕まえて、飼うなんて!!!!!!って。。。だから、そんなかわいそうなイルカを見たくないから、壱岐のイルカパークもずっと視察を拒んていました(笑)

BUT NOOOOOOO!!!!!!

ここで見たことは全て違う。
全く人間同士が付き合うのと同じように、普通にイルカと遊んでます。
人間もイルカも明かに楽しんでます。
どこから見ても、イルカは本当に幸せそう。
いや、本当に。

よく動物園とか水族館でみられる、ずっと同じところを行ったり来たりするような行動わかります?あれは一般にはストレスの現れと言われています。

イルカやアザラシ、シロクマでもずっと同じ体の動きで、同じコースで泳いで、同じタイミングで潜って、って、やっているのを見たことありませんか?あれです。どんなに広いプールがあっても、この行動は起こります。ぶっちゃけウチのイルカ達も「ずっと浮いている」という行動が見られます。

壱岐のイルカパークはいまの体制になるまで20年以上、新卒で入ってきたトレーナー達が、ちゃんと教えてくれる先輩もいない中、現場でいきなりイルカの面倒を見ました。学校のテキストで学んだだけの、ほんの少しの知識を持って、全く経験もないままに、いきなり生き物を飼育します。

教えてくれる人も同じように現場で叩き上げた人たち。しかもまともに教えてくれる(教えられる)先輩もいない中で、先輩達がやっていること、言っていることを「正」と信じ、とりあえず現場で見て学び、経験を積んでいきます。

結果、ある日彼らは自分達なりに「イルカを守ろう」と考えて、イルカを9m*9m*5mの生簀に閉じ込めました。理由は「健康管理をする上でイルカを取り上げる必要がある。そうしないと広い入江で自由に泳いでいるイルカを取り上げることができないから。」そして、そこから4年くらいで、イルカは泳ぐことをほとんど忘れたのです。かなしいけど、これが現実でした。

ここのイルカにはそんなの全くありません。もちろん、浮くのが好きなイルカはいます。けど、ほとんどの時間、自由に泳ぎ周り、自由に遊び、思い思いの時間を過ごしています。

イルカはもちろん、トレーナーも本当に幸せそう。

僕らの研修中にも、ココで40年以上のキャリアのあるトレーナーが、ふと現れたイルカの行動を見て、嬉しそうに「ねー!みてみて!あの子、こんなことしている!すっごい可愛い!!!」って、無邪気に笑って他のトレーナーに話してる。40年ですよ。そんなに経験があっても、まだ新しいことが生まれるんです。

ココのイルカで最も長生きしたイルカは、推定60歳。今生きている最高齢も40歳オーバー。そして、まだ全然健康。ちなみに日本の飼育下のイルカの平均寿命は20歳くらい。この違いはなんでしょう。。。

実際、自然界では20年くらいだよね、と言われている大西洋ハンドウイルカが、その倍生きているんです。しかも、超元気に。日本にいる、太平洋ハンドウイルカも自然界なら、寿命はそんなもん。でも????

そして、いまココDRCにいる26頭のイルカのうち、21頭がココで生まれた子。自然界から来たのは、昔、捕獲された雄の個体、レインボーとサンディ。二人とも40歳オーバー(笑)。と最近自然界から来た3頭は、レスキューといって、サメにアタックされて死にかけてたジャックスとオイル被害で死にかけてたルイ、ストランディングした大西洋マダライルカのサマーの三頭を助けた結果、いまココにいます。

長生きが幸せとは思いません。けど、ココのイルカを見ていると、本当に幸せそうなの。

日本にそんな施設あるかな?

日本でこんな風にイルカとコミュニケーションをとっている施設あるのかな?

イルカが見るからに、明かに、幸せそうで、イルカと話しているみたいな施設あるかな?

なにより、上下関係のない、飼育ではなく、共に生活しているような施設ってあるかな?

賭けてもいい、絶対に、絶対にない。

だから、僕はウチがその最初になろう、と決めたんです。全く動物と関係ない畑違いの人間が来て、リニューアルだけどいま日本で一番新しい飼育施設だし。
なんでもできるもの。しかもイルカに負担をかけることではない。

超わかりやすくいうと、僕らは日本で唯一の
「誰でもイルカと話せる」施設になるんです(笑)

イルカショーでは、トレーナーがイルカと話しているようにするでしょ?でも、あれはサインがあって、その行動をしたら餌があるの。NON. そんなのいらない。イルカが単純に人間を好きで一緒に遊びたい、と思えるような環境を作る。それだけ。

DRCのメソッドを学びに来ている人は日本人も含めて、超たくさんいます。

でもね、なんと!!!!!!
誰もこのやり方をやろうとしてないの(笑)

なんでだろう?変えられないんだろうね。怖いんだろうね。やり方は去ることながら、意識さえも。だって、今まで自分達が信じてやってきたことを全く違うアプローチでやっちゃうんだもの。

結果、言い訳をすぐに探す。一番多いのは「DRCはさ、ほとんどココで生まれた個体だものね」って。日本にいる個体の大部分は太地町や壱岐から購入したもの。最近ではようやく人工授精を始めたけど、まだまだ。アメリカの成功率の半分くらい。で、結局、自然からつれてきているから、難しい。って(笑)

違うよ。

9月にウチのヘッドトレーナーがDRCを見て、彼女なりにトレーニング方法をとりいれて、あっという間に変えてくれました。そして、変えていった結果、たった3ヶ月で昔のイルカパークを知っているかなりの人達が「かわった」と言ってくれてる。イルカも楽しみたいんだよ。ウチのイルカ達は信じられないくらい変わりましたよ。ウチのイルカ達は、100% 太地町から来ているよ。

僕は飼育のプロでも、トレーナーでもない。
だからもっと思う。変えればイイじゃん。
だって、こっちの方が、圧倒的にステキだもん。

**Don’t TRY, JUST DO IT. ;) **

悩む必要なんて全くない。

たぶん、全部のイルカが変わるには、半年くらいはかかるかもしれない。もっと長いかもしれない。
でも、どちらにしても必ず変わると思います。

僕たちは、日本で唯一のイルカの施設になります。

既存の水族館のやり方を否定はしません。学びたくてもやっぱり遠いです。動物を飼育しながらアメリカにいく、とか難しいです。かつ、自分で行くにしてもトレーナーの給料は決して多くはない。

だから、DRCのやり方をフロリダまで来なくても、壱岐で見られるようにします。これでたくさんの人に見てもらって、少しでも日本の飼育スタイルが変わる種をまければ嬉しいし、たくさんの若いトレーナー達に感じていって欲しい。そして、いつか彼らがトップに立ったときに、思い出して変えていってほしい。

もう一度言います。
僕たちは、


そして、日本の、アジアのトップランナーとして、
世界中のお客さんにたくさんの驚きと感動を届けていきたいと思います!!!

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