日輪神一厘の仕組 Vol.10
世界に起こる偶発的な天災。
我々が乗り越えるべきはそれだけじゃない。
まずはもっと身近なことから。
有事の際、大量に発生する火事場泥棒、我を失った輩たち。
同じ日本人の姿をしていても心無い人々が国内に数多くいるぞ。
真の敵は外じゃない、自分の周りの中にこそ沢山いるぞ、日々の乱れた人道に反する事件の数々を刮目し心せよ。
全員で次の世界を歩むことは叶わない、もうわかるはず。
だからせめて身近な女子供をその背で守れ。
今こそ守るために命を懸けるとき、かつて曽祖父たちがそうしたように。
彼らは打ち勝って見せたぞ、次は我々の番だろう?
今そのことに命を燃焼させるのだ、いよいよ魂を震わせるとき!
心ある人々で、心一つにして。
この先にある、誰も見たことのない素晴らしい未来。
数万年の人類の悲願はもう目の前。鎮魂、岩戸開き。
今なお神一厘の仕組は動き続けている。
どうか長生きしてみてください、とても面白い世界が見られますよ。
2032年、弥勒の下生。
「矢の様な島に第三の太陽が昇る時、世界は生まれ変わる」
「その島の名を、ジ・パングとそう呼ぶ」
おわりに
「日本は間違った戦争をした挙句、敗戦国となった大した国じゃない」
周りからこうした声が聞こえたのは一度や二度ではありませんでした。
私はずーっと、これらの言葉たちに違和感を感じておりました。
私の母方の祖父は終戦の折、戦地から生還した経験を持ちます。
祖父たちが間違った戦いをしたなんておおよそ信じられなかったのです。
福岡の大刀洗平和記念館において、特別攻撃隊の方々の遺書を拝読し、自分が間違っていたことを思い知らされました。
愚かだったのは私のほうでした。
当時の戦争の意味、天皇という存在の意味、何も知らなかったのです。
だからせめて、今回の一連のマガジンをかつて世界のためにその身を捧げた、天の英霊の皆様へ哀悼の誠を捧げる思いで書きました。
本当のことは書けないし書くべきではない。
でも誰でもない者であれば、ほんのさわりくらいなら。
この世は文字通り、人間の認識力では理解できないほど複雑で不可解。
人は誰しも目の前で起こる出来事に一喜一憂し、それらの意味が分かるのはずっと後のこと。
だから気にするなといっても、それができないから人間。
ならせめて心を慰めるため、少しの言葉なら許されるのではないか。
最後まで読んでいただいた皆様、ありがとうございました。
以上、なすのによるフィクションでした。
おことわり
この度の連載「昴の心臓さざれ石」は、フィクションであり、ファンタジーであることをあらかじめお断りいたします。登場する名称等、実在する名称等とは無関係であることを御理解のほどよろしくお願いいたします。
いつも本当にありがとう。 これからも書くね。