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訪問調査を経験して学ぶ


2024年1月から、週に数日だけある地域の障害者認定区分調査員を経験させてもらった。内容は知っていても、実際に聴取して内容を書類にまとめていく難しさを経験できて良かった。3月までの契約で最後の勤務が終わった。2ヶ月と少しの期間をふりかえってみる。

「話を聞く」と「生活場面を見て聞く」違い

相談者の希望もあって、役所で聴き取り調査をすることもある。
相談者の自宅や入居先、入院先など訪問して調査することもある。
言葉少ない人もいれば、マシンガントークで脱線しやすい人もいる。
いずれにしても、初対面はどんな方かわからないので、お互いに緊張しやすい。

人によって「できないと思われたくない」気持ちもあれば、「できると思われたくない」気持ちがあって、実際とは違って聴き取る可能性がある。だからこそ、調査の目的や質問の意図を説明しながら、できるだけ素直に話せる雰囲気をつくる配慮をしながら具体的に聴き取り、適切なサービス利用につなげる重要な調査になる。

役所で聴き取りするときは、相談者の言葉や表情などが頼り。
訪問して生活場面を見ると、風景や環境も確認しながら立体的に理解しやすく、実際を確認できることが多いので、情報量も多く把握しやすい。


第三者からの話を参考にしたい

前述したように、正確に普段の様子を聴くことができているのか、難しさがある。可能であれば、同居している家族にも同席してもらい確認できると、詳細な様子がわかりやすくなる。社会復帰施設などもさまざまで、職員さん
が同席してくれることもある。入院中であれば、看護師さんやSWさんが同席してくれることが多いが、ご本人の様子をどこまで把握できているのか疑問に思うこともある。また、ご本人と家族や第三者の関係性によっても雰囲気の違いを感じる。第三者がいるからと、情報が正確とは限らないけれど、客観的な情報が得られやすく生活状況が把握しやすくなる。
とはいえ、この数か月、ご本人のみの調査が圧倒的に多い。


聴き取った情報を書類にまとめる

質問項目に対して該当する程度や頻度をチェックをする。
それだけではわかりにくいので、文章で状況を書き込むのだけれど、質問項目の意図と記載するべき内容を抑えてい記入する必要がある。
それは、審査をする方々ができるだけ状況を正確にイメージし判断できるようにするためでもあるが、審査する前に記載内容の質問や訂正などを確認するFAXが認定係から届くのです。前述の質問項目の意図や記載内容のコツがわかっていないと、結構な量の質問が届くのですΣ(・ω・ノ)ノ!

初月は、何度も何度も何度もマニュアル資料を繰り返しチェックして、記録をした。質問の解釈が難しいんです。身体障害、知的障害、精神障害のある方共通の質問で、似た質問がいくつもあるけれど、解釈がそれぞれ違うから、どこに何を記入するのが適切か混乱してくる。これが、全国共通で運用する現在の最善な方法となっているのだからと、マニュアル資料を都度確認しながら、少しずつコツがわかってくると、質問の量も少なくなった気がしていたら、FAXではなく電話がかかってくるようになり、数週間前の調査を電話で尋ねられても、即答が難しいのですよ(;^ω^)

1ヶ月ほど経験して、認定係と電話でやり取りで「調査員初めてなんですか?来年度も続けてほしいねと意見がでてるんですよ」との言葉に、素直に嬉しくなりました。わかりやすくイメージしやすく、審査が適切にできるようにと心がけたことが、こんな言葉をいただけるとは有難い(*^^)v

2ヶ月も経過すると、認定係の人によるのか、審査会の気になるポイントによるのか、「実際にはないけれど、一人暮らしだったら難しいのでは?」とか、「実際に支援がないなら支援は必要ないと思う」との指摘や、区分が上がったり下がったり変わることでの影響で記載内容の追加修正が必要になったり、いろいろあるのだなということも学びになった。


様々な難しさを理解できた

期限を考えながら、訪問調査の日程をご本人と調整するが、常勤の担当者は他の業務が超多忙な中に、スケジュール調整を行っている。窓口業務や電話相談や担当ケースのフォロー、習慣スケジュールのプログラム、警察からの緊急対応などしながら、全く余裕がない。調査後に落ち着いて記録する時間もままならない。前述したように、チェック係から嬉しい言葉をいただいたが、僕は調査員の業務だけを担当するから、集中して落ち着いて作業できるからなのですよね(*^ω^*)

調査の日程調整も、なかなか連絡がつかず、手紙を送ったりあの手この手を考える事例も経験した。毎日勤務していないだけに、日程調整も時に難しい時がある。

マニュアルを繰り返し読み込んでも、質問項目の解釈が難しい。マニュアルを読んだときはわかるのだけど、実際の調査をして記録しようとすると、わかったはずのことが、様々な解釈ができて難しいのです。

「具体的な状況」を把握することも大事だけれど、「服薬ができなかったら」とか、家族と同居でも「もし、単身だったら」などを想定した解釈も必要だったりする。実際にはわからないことを、想定して質問して記録することが、本人も調査員も想像しかできないことを言葉にすることが難しい。

記録したものをコンピュータの一次判定にかけた時、前回の区分との違いが出てくることは当然ある。これが現在受けているサービス量が減って影響があると困ってしまうので、そこも考慮して質問や記録もできるようになることが求められるようです。それとは逆で、病状の影響で生活上の支障が増えている時期であれば区分が上がる可能性が高くなる訳ですが、それはそれで考慮することもいろいろとあるようです。この辺りは、受け止め方の難しさも感じるところでした。

調査した記録は、ご本人に開示できるものなので、ご本人の納得できない内容であってはならないということも考慮が必要です。


「程よく適切」な難しさの経験を活かしていこう

相談者も人、調査するのも人、審査するのも人、支援するのも人、みんなそれぞれで様々であることは当然だけれど、それを標準化して適切なサービス利用につなげるための区分であり、そのための調査でもある。
だからこそ、調査時の情報が大事だろうと思うが、引き出しすぎてしまうのもいかがなものかとなるようで、程よく聴取して、過去と未来を見据えた時間軸で生活の困り具合をイメージしやすい内容を目指せれば、様々な方の意見に柔軟に説明できるのかもしれないと思うのでした。

予算がつけば新年度も調査員継続の相談をいただいて、年度途中にお誘いあるとのことで、次年度は迷いがあったが、勤務最終日に4月に公募、面接、5月からとの話をいただいた。勤務日数は減っても曜日固定できなくても対応してくださるとのことで、それならば有難いことと考えた。
そして、別市町村の審査会委員も予定しているので、調査員の経験がとても活かされると感じている。

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