見出し画像

【#毎週ショートショートnote】誘惑銀杏

近所に仲の良い1つ年下の女の子がいる。
見た目がおっとりとした大人しいタイプの女の子だ。


「よしまる~、さっちゃんが遊びに来たよ~」


さっちゃんは、しょっちゅう我が家に遊びに来る。

そんなおっとりしたさっちゃんだが、見た目とは裏腹なことをする。

「よしちゃん、また良いかな?ここ」


指をさした先が、我が家の押し入れ。


僕は黙ってこくりと頷く。


さっちゃんが僕の手をつなぎ、暗い押し入れの中に誘う。

そして押し入れの襖をさっと閉める。


当然だが、中は真っ暗。
古い家なので銀杏のような臭さが漂っている。


何も見えない。



「よしちゃん、暗くて怖くない?」



年下なのに妙に大人びた声をしながら手を握ってくる。
僕は手を握り返して大丈夫と答える。



その時、


唇に何かが当たっている感触がある。


僕はいつものことだと思って動かない。




その間も静寂さを保ち続けている。



「あらあら、そんなところで遊んで。二人とも仲の良いこと」

押し入れの外で母親の嬉しそうな声が聞こえた。


(409文字)



この記事は、たらはかにさん企画【毎週ショートショートnote】参加記事です。
今回のお題は、【誘惑銀杏】でした。


この話は半分実話です。
よしまるは自分、さっちゃんは仮名です。

幼稚園児の頃に頻繁に遊んでおり、一緒におままごとをしたりビニールプールに入ったりしていました。

たまに我が家の押し入れで遊んだりしましたが、当然、大人びたシチュエーションはなく(幼稚園児ですから・・・)、二人でキャッキャと遊んでいました。

ちなみに、ショートショートではさっちゃんが誘ってきたことにしていますが、実際は自分からしょっちゅう誘っていました(笑)。

もちろんやましいことはしていません、多分・・・。

次回も参加させて頂きます。
引き続きどうぞよろしくお願いします!





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?