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第2回 伊藤ももこと荻窪

写真企画「本当は嘘なんだ〜27枚だけ撮らせてください〜」企画概要はこちらhttps://note.com/yoshiokahikari/n/n44e069495a88

荻窪待ち合わせと決めたのは自分なのに、電車に乗った時まではちゃんとわかっていたのに、何かがバグって西荻窪で電車を降りた。
私にはこういうバグがよく起きる。
どこにいますか?とTwitterのDMで聞かれて、正直に西荻で降りたこと、14時1分につきます、と伝えた。1分の遅刻を伝えるのって逆に気持ち悪いだろうか。
仕事ではないけど遊びとも少し違うこの奇妙な待ち合わせ、だいぶ緊張する。

慌てて一駅戻ると、荻窪の南口を出たところで伊藤さんは青いチャリにのって待っていた。
なんだろう、この企画、前回の澤くんといい、撮られる人はみんなチャリで現れるのかな。
事前のzoom打ち合わせで決めた、「ハッピーめでポップめな服装」でぽつんといる伊藤さんに駆け寄ってくと、ああって顔した伊藤さんと目が合った。
記念すべき、正式な、3Dでの、初対面。

2回目に撮るのは伊藤ももこさん。
この11月に出会ったばかりの俳優部さんです。
出会ったと言っても直接顔を合わせるのはこれが初めてで、それまではzoomでしかやりとりしていなかった。
わたしがこの時点で伊藤さんについて知っていること。

映画を映画館で見るのが好き。
アイドルが大好き。(私もモーニング娘。が大好きなのでハロプロの話題で盛り上がった。モー娘。の中だとちなみにふくちゃん推し)
けっこうめんどくさがり&プロの引きこもり。

たまたま伊藤さんもわたしと同い年だ。
そもそも年齢の話そんなに好きじゃないし93年組だの93line⭐︎だのっていうのは絶対に書かないけど、でも同い年の特別感はすごくよくわかっていて、年齢を知ってぴったり同じだととたんにうちら同い年ですね!と言いたくなってしまうから心の中にはでっかく「吉岡晶、93line☆☆いつでもフォローミー」と書いているんだと思います。
だって、同じタイミングで大体同じ音楽を聴いて、大体同じ漫画を読んで、大体同じテレビを観て育ったのだ。それってすごくうれしい。

話はずれたけど、他人みたいな友達みたいな、いやまだほとんど知らない人だけどなぜか知らない人な気がしない伊藤さんを、今回も、27枚だけ撮りました。

伊藤さんを一言でいうと、覇気のない野心家、というかんじ。
もちろん一言で人間をあらわすなんてむりだけどいったん表してみました。
伊藤さんはお金を貯めて数年後に海外に行くつもりらしい。でも今は働いてなくって、バイト探さなきゃと思って、と求人募集とまちがえて突然そのへんの家の謎の位置にぶら下がっていたよくわかんないビラとか見たりしていた。いくらバイト探していたって、そのよくわかんない位置のビラは手に取らない気がする。
たまに言動に滲み出る伊藤さんの根元の適当さと勇敢さが私は好きです。まだ話すのは3回目だけど。

私と伊藤さんの似ているところ、家が大好きなところ。でも伊藤さんのそれは私とは格段にレベルがちがう。私も家が好きだけど、家にいるのが突然いやになって、夜中にフラフラとドンキやTSUTAYAに出かけたりすると話したら、へえ(理解し難い、ほうの相槌)と伊藤さんは言ってた。
伊藤さんはいくらでも家にいられるらしい。自粛生活も、家にいること自体は全く苦じゃなく過ごしているらしい。地元の友達に、そろそろ家にいるの飽きた?と聞かれたそうだけど、全く永遠に飽きないという。すごい。むしろ外に出ると悪いことが起きると思ってる。このあいだも、いつも行くスーパーとは違うスーパーに行ったら、チャリの鍵をなくしてしまったそうだ。幸い鍵はもともと2本あるからよかったけど、いつもと違うスーパーに行ったから、それ以前に外に出たから悪いことが起きたと思っちゃう。その理論でいくと伊藤さんは今日意を決して外に出てきてくれたわけで、そのためになんとお風呂にお塩を3掴みも入れて身を清めてから来てくれたそうだ。※塩風呂はよくやるけど、ふだんはお塩をひと掴みらしいので、かなり気合いを入れて清めてきてくれている。
もはや海水ですよね…と伊藤さんに言われて思わず笑った。
たしかに。それはもはや海だ。私今、海帰りの人と並んで歩いている。お家の中で海に入れるなら、本当の海に行かなくて済む。私は本物の海は好きじゃないので、最高です。

たぶん伊藤さんは再来年くらいにはほんとうに海外の、どこの国に行っちゃうかはまだわからないけど東京じゃない他の場所にフラーッと行ってしまって、その場所でも変わらず引きこもってネトフリを観たりしてるのだと思う。いいな。遊びに行きたい。アメリカかもしれないしフランスかもしれないし韓国かもしれない。そこで一緒にハロプロのDVDを観たい。

猫か犬を飼うなら、いまは猫がいいそうです。犬は散歩に行かなきゃいけないから。
名前をつけるなら、チャーハンと牛丼。時々今の家には猫がやってくるらしく、その2匹につけている名前だという。それ以上にベストな名前は思いつかないという。どちらも炭水化物でいいですね、と思ったけど言わなかった。

東京は家と家が近いですよね。
歩きながら伊藤さんは言ってた。所狭しと並んでる家たちをみて、たしかに東京は人と人の距離がいやでも近いですよね、となった。
伊藤さんは秋田出身だ。私も北海道の人間だからか、伊藤さんと話しているとなんとなく地元の友達と話しているような気分になる。
私もたくさん伊藤さんに質問したけど、伊藤さんも私にたくさん質問してくれた。吉岡さんは犬の名前何がいいですか、とか、美大出身ですか、とか、確定申告してますか、とか。

伊藤さんが海外に行く前に、1本でも何かお芝居を一緒に作りたいなあと思ったけど、
実現しなかったら悲しいので直接は言えませんでした。
これから伊藤さんがどこに行くのかわからないけど、私も遊びに行って、伊藤さんがそのときいる場所で何か一緒に作っても楽しいな、と思いました。

現像した27枚を伊藤さんに送ったら、
全部、やっぱり異常ですね!すみません!!!と言われました。
全部やっぱり最高でした。私は全部お気に入りです。
眩しそうで不機嫌そうなのも、ちょっと笑ってる気がする。
また散歩しましょう。

撮る人・文:吉岡 晶
撮られる人:伊藤ももこ
Twitter https://mobile.twitter.com/Im_momoko_
Instagram https://instagram.com/im_momoko_

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