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「赤星ゼミの考今学」第1話

赤星(教授)「とうとう開くことができたぞ!」
碧(学生)「ついにやったんですね先生!」
赤星「ああ!これは間違いなく2000年代のSNSデータ!つまり100年前のSNSだ!」
(PCに移るSNSタイトル)
“New Worldへようこそ。”

(研究室にて)
2174年現在にとって2020年は100年以上前の話。考古学者は2000年代の出来事を解き明かすために大海と化したネットの海から情報を探す時代。
[赤星学、東京大学教授、42歳。国家認定考古学者 (大人の余裕と人当たりの良いおおらかさたまに周りが見えなくなりそうな時も)]
赤星「国に保管されているデータの閲覧、あらゆる情報の宝庫ダークウェブ、そのすべての閲覧が許可される国家認定ライセンスの取得はまさにこのため!
特にSNSなんてのは当時の生の声を聞けるわけだ。考古学者にとってこれ以上の資料はない!私はこれからタイムスリップするわけだ。ブツブツブツブツ」

[樹下碧、研究生、21歳 (人の気持ちを読むのが苦手。ただ人に対して優しくないわけではない。)]
(赤星のPCを覗き込みながら先にSNSを見る)
碧「開けたなら早く見ましょうよ」
(疲れた感じを出しながら)
赤星「おいおい、何故かセキュリティが硬くて開くのに1ヶ月もかかったんだぞ。少し浸らせて欲しいな…」
碧「ほら、これとか面白そうですよ」
(このSNSはいわゆるタイムラインとスレッドの両方が存在するタイプ)

(世界的に有名な漫画となるドラゴンマンの第一話の感想スレ、2036年)
“第一話実際どう”
“ポテンシャルは感じる” ”おれは絵が受け付けねぇわ” “わかる。3ページで切ったわ” “正直切って正解。打ち切り筆頭” “そうか?ワイはジャンプの看板になるような気がしてるが。”

赤星「私より先に見るんじゃないよ…」
碧「今では伝説の漫画として語り継がれてますけど、当時は賛否あったんですね。」
赤星「何にだってケチをつけたがる人はいるもんさ。」
碧「でも予言が的中してるような書き込みもありますね。」
赤星「当たり障りのないことを書いてるだけじゃないかな。」
(ようやく赤星がSNSで検索し始める)
赤星「まぁでもテンションが上がるのももっともだ。普通のSNSは放置された故人のアカウントはしばらくすると消滅してしまうが、このSNSにはデータがしっかりと残っている!さっきのスレッドみたいにな。まさに宝の山だ!2000年代の代表的な謎として、スペースシャトル「鳳」の爆破事故、伝説の画家バンクシーの正体、クリア方法が未だに不明な幻のゲーム「オルコスオンライン」の攻略方法、顔の見えない歌姫odAの素顔、その全てを解明できる可能性を秘めているんだ!」
赤星「さっそく興味深いものを見つけたぞ。」

(連続殺人鬼Xに関するスレッド、2030年、犯行現場の写真載せる)
“また殺人鬼Xが出たぞ”
“これで何人目だ” “8人目じゃね?7人目と結構時間空いたな” “事故現場の映像ゲット” ”野次馬の人数えぐいな” “怖いねぇ(他人事)”

赤星「これは2030年に起きた連続殺人だね。8人も殺害されたにも関わらず犯人が捕まらず迷宮入りになった事件だ。もしかしたらこの書き込みに手がかりがあるかもしれんぞ!」
碧「何言ってるんですか先生。SNSで犯人が分かるならとっくに捕まってるに決まってるでしょう。それを調べるなら警察の捜査資料見ましょうよ。せっかくその権利あるんですから」
赤星「まぁいい!いまはこのSNSを見て回るとしよう。」

碧「でも少し不気味ですね。」
(タイムラインを見ながら。動画や時事ネタの投稿。いつものSNSのような感じで)
碧「今と同じように各々の生活があって、文化があって。でも絶対に動くことはないんです。こんなに身近に感じるのに…」
赤星「なら見るのをやめとくかい?」
碧「見ますよ!もう!」
赤星「何か発見があったら報告してくれ。」
碧「はい!」

(日が暮れて)
碧「先生!見てください!このSNS最後の書き込みなんですが…」
赤星(コーヒーを飲みながら)「これは…」
(最後のタイムライン、2042年、写真や映像を絶対に載せない)

“おいこれなんだよ” “助けて” “おいこれ死ぬんじゃね?” “アカンアカンやばいって” “何が起きてんの!?”
(大量の慌てふためく書き込み)

碧「これらの大量の書き込みを最後にSNSの更新は途絶えています。一体、何が起きたんでしょうか。」
赤星「どうやらこの書き込みがあったのは2042年の11月12日、同じような内容の書き込みが大量に投稿されている。これはいったい…っておっともうこんな時間、君はもう帰りなさい。」
(7時ごろ)
碧「先生は?」
赤星「私はもう少し調べてみるとするよ。明日は忙しくなるぞ。」

(次の日、碧が研究室到着)
碧「先生、おはようございます。」
(先生床でぶっ倒れている。)
碧「ってうわぁ!先生大丈夫ですか?」
赤星「なんだぁ、もう朝か。気づいたら寝てしまっていたようだ。」
碧「脅かさないでくださいよ!一晩中研究室いたんですか?」
赤星「ああ、そのおかげで面白いことが分かったぞ」

(コーヒーでも入れながら)
赤星「発見は二つ!一つ目はこのSNSのデータの近くにもう一つまた別のビッグデータが存在していてね。しかもそのビッグデータ、SNSよりもさらにセキュリティが硬いうえにそのデータそのものが大きく破損しているようなのだ。」
(エラー画面を見せながら)
これが開けなくてね。しかしこの破損したビッグデータのおかげで一つ仮説を立てることができたんだ。それが、災害の発生だ。災害の発生により大量の人がパニック書き込みをした。いつの時代も変わらず、自分の身の安全よりも書き込みを優先する。そして少し時間差でこのサーバー元も災害によるダメージを受けた。物理的に。
(地震と津波のようなイメージ)
そのダメージのせいでsnsの運営ができなくなり、ビッグデータの方も破損したわけだ。」
碧「なるほど。納得がいきますね。」
赤星「しかし、発見二つ目だ。実はこの2042年、どこを調べても災害、さらにはテロのような事件もが起きたという記録が残ってないんだ。」
碧「つまりどういうことですか?」
赤星「ここから考えられることは二つ、記録にない災害があったかもしくは記録されていない事件が起きていたか…」

(赤星腹の音、ギュルルルー)
碧「先生、朝どころか昨日の夜も食べてないでしょ!匂いもひどいです!とりあえずシャワー浴びて朝飯行きますよ。」

(朝食シーン、赤星は米、碧は洋食やスムージーを食べている)
赤星「日本の考古学者たるもの朝は米だろう!」
碧「そんなこと言ってるの先生ぐらいですよ。ほら周り見てくださいよ。みんなおしゃれなパンケーキとか食べてますよ。」
(パンケーキの写真をSNSにあげる女子を眺める。)
(赤星ひらめく)
赤星「ずっとあった違和感はこれだ。碧君、もし仮にここで災害が起きた場合、避難したのちSNSにどんな投稿をする?」
碧「そりゃあ、災害の様子を動画で取ったり、建物が壊れてたりしたら写真撮ったり、ですかね。」
赤星「そう、災害があったら写真を撮ったりするもんだ。しかし、あのSNSでは…」
碧「写真はありませんでした!1枚も!」
赤星「ああ、つまり災害が起きた可能性は0になったね。
さぁ、私も少し出かけてくるよ。ところで碧君、調べてほしいことがあるんだが…」

(研究室に戻って数時間後)
赤星「ここまでで考えられる可能性としては疫病やテロなどといったところか。さて、頼んでいたものは調べてくれたかな」
碧「はい、調べたところ最も古い書き込みは2029年の11月12日、見たところ管理者自身の書き込みのようです。

“今日から運営開始となりました! よろしくお願いします!”

それを踏まえて2029年の出来事と最後の書き込みがあった2042年の出来事をリストアップしてみました。」

(2029年, 紙幣硬貨の完全廃止, 安楽死法案施行, 消費税を17%に引き上げ…)
(2042年, セントルイス冬季五輪での大規模テロ, 松田島疫病, 安楽死法案改訂…)

碧「出来事をリストアップしたところ、特に気になるものがふたつ。2029年はじめて安楽死法案が適応され例の最後の年、2042年に改訂されています。」
赤星「安楽死法案… 初めて安楽死を認めた法案だね。改訂された法案は現在の物と同じで、改訂される前の物がその原型となっていると言われているが、その内容は明らかになっていない。ここでこのライセンスの出番というわけだな?」
碧「そういうと思って国のデータベース、調べておきましたよ。ですが見てください。安楽死法案のページ、明らかに人為的に消去されています。」
(安楽死法案のページを見ながら)
赤星「これは不可解だな。あと怪しいのはこれか…松田島での疫病蔓延。」
碧「これも少し気になって調べてみました。これは今もある孤島、松田島での出来事ですね。疫病の蔓延により死者も出たそうです。病原体の発生元も不明で対処が難しかったため、政府は隔離という方法しか取れなかったとか。結果的にこの隔離のおかげで病原体が日本本土には上陸せずに被害は最小限に抑えられたらしいです。」
赤星「もし仮にこのSNSがこの孤島限定の物だったら辻褄はあうが…
まぁ、SNSのユーザ数や投稿数からみるに可能性はないだろうね。」

赤星「では、私の収穫も共有させて貰おうか。例の破損したビッグデータに関してなんだが…」

(ここから赤星の回想)
赤星「黒沢いるか?」
(黒沢圭吾, 東京大学教授, 42歳, プログラミング研究の第一人者)
黒沢「こんなところに何の用ですか、国家認定考古学者さん。」
赤星「実は手伝って欲しいことがあってな。」
黒沢「この前データの解凍を手伝ってやったじゃねぇか! さらにおれをこき使おうってか?偉くなったもんだな。」
赤星「まぁまぁ、おれとお前の仲じゃねぇか。さてこれなんだが」
黒沢「おれに拒否権はねぇってか。(データを見ながら) ほう、これは… 少し時間をくれ。」

(数分後)
黒沢「おう、少しわかったぞ。データ自体を見ることはまだできねぇがこれはあれだな、まるで異世界みてぇな感じだ。」
赤星「??」
黒沢「つまり、オープンワールドのゲームの世界に近いな。映像や音声、それだけじゃねぇ生命体の情報や高度なAI、こりゃすげぇこれはいつの時代のデータなんだ?」
赤星「正確にはわからねぇが、おおよそ2030,40年代の物らしい。」
黒沢「2030年付近、まさか…
これを見てくれ。
(電脳世界への移住計画論文)
これは人間を電脳世界に送る計画の論文だ。」
赤星「まさかこのデータが電脳世界だということか!?」
黒沢「可能性の話だ。ただこの論文いくつか問題点があってな。一つが人間を電脳世界に送る際に、その肉体が耐えられず死に至ってしまう点だ。」
赤星「電脳世界への片道切符というわけか。よくそんなものを世に出せたな」
黒沢「まぁ、そのせいもあってかこの論文数年後に撤回されている。」
赤星「そりゃ、利用者の死なんてもんは撤回されるだろうよ。」
黒沢「いや、原因はそれではないと考えられている。なんせ撤回されるまで約10年もかかっているからな。」
赤星「10年も?」
黒沢「あぁ、理由は詳しく知らねぇが、論文の発表と撤回は確か…
(研究室場面に戻りながら)
2029年と2042年だ。」

碧「先生それって。」
赤星「ああ、つながってきたね。だが証拠になりそうなものはすべてデータから抹消されている。となると最後は実際の声を聞いてみるとしよう。」
(SNSを見ながら)
(二人で調査してる場面をダイジェストで。)

(今までの過去回想を交えながら)
碧「先生!」
赤星「ああ、学会発表と行こうか。」

(数日後、赤星による学会発表。)
(ダイジェストで簡単にSNSの説明)
赤星「ここまで調べてきて私が注目したのは安楽死法案と電脳世界です。SNSの開始と終了、安楽死法案の施行と改訂、電脳世界の論文の発表と撤回。この3つがここまできれいに重なるのはさすがに偶然で片付けるのは無理がある。しかし、この3つが関係している証拠は残っていませんでした。ただ一つ、このSNSの書き込みを除いては。これを見てください。」

“電脳世界ほんとに来れた件について”
“電脳世界ホンマにこれたわ。現実とはおさらば。” “てかマジで実感ねぇ。おれたち一度死ねるんだよな。” “時代の進歩を感じるね” “あのくそ野郎どもともう関わる必要が無いってのがマジ最高。” “完全に逃げ切ったw”

赤星「これはSNSで見つけた実際の書き込みです。安楽死法案と電脳世界の関係はこれを見れば確実でしょう。つまり導き出される答えは一つ、当時の安楽死法案とは、死して電脳世界へと移住することだったのです。」
(観客ガヤガヤ)
赤星「現実から逃げたいけど死ぬのが怖い人、自分を追い詰めた人はのうのうと生きていることに不満を感じる人、はたまた単に電脳世界へ興味がある人。電脳世界への移住を望む人は多かったでしょう。そしてこのビッグデータの正体は電脳世界そのものであり、このSNSは安楽死を選んだ人たちによるSNSだったわけです。さらにこの電脳世界への移住には条件があった。それは書き込みからわかるように現実生活との連絡を完全に断つ、半隔離状態になることだと考えられるでしょう。」

(電脳世界で第二の人生を歩んでいる風景)

(観客がやがや)

赤星「ここで残る謎は二つ。一つもちろんパニック書き込みの謎。そしてもう一つがなぜビッグデータのみが破損し、SNSのデータは無事だったのか。その解明にはこの二つを合わせて考える必要がありました。まずはこれをご覧ください。」

(パニック書き込みがすべて23:51にあったことを示す)

赤星「これらの書き込みはすべてが同時刻にありました。50分、52分にはその書き込みは一件もなかったことからまさに一瞬の出来事だったことが分かります。そしてビッグデータの破損…これから導き出される結論は一つ。」

(黒沢との回想)
黒沢「ある程度解析してわかったのがこのビッグデータ、SNSの方と使われている言語が微妙に違う。つまり製作者が違うんだ。そしてもう一つ、このデータの破損の仕方は恐らく…」(回想終わり)

赤星「ずばり、ハッキングです。」

(観覧者がやがや)
赤星「電脳世界における大量殺人事件、これが私が導き出した答えです。だとするとすべて説明がつきます。SNSのデータが無傷であったことも、言語が違っていたため電脳世界に対して離れ小島のような状態となり、ハッキングから免れることができたのだと思います。」

記者「ではなぜ製作者が違うとお考えで?」
赤星「あくまで推測でしかありませんが、このSNSは電脳世界の住人が作ったのではないかと思います。電脳世界ができたての頃はSNSが存在しておらず、住人たちにより作り出されたものであるとしたらセキュリティの強度に差があったのも説明がつきます。」

赤星「政府としては大失態でしょう。安楽死者とはいえ、多くの命を守れなかったのですから。そこで彼らは電脳世界と現実世界が隔離されていることを利用した。これが安楽死法案の改訂です。皆さんご存じのとおり電脳世界などない、今の形の安楽死法案へと変わったのです。おそらく電脳世界のサーバーのパンクや、安楽死を選択する人の増加、などを理由にしたんでしょうね。そして政府の目論みどおり、電脳世界のことなど忘れ去られてしまったわけです。」

(決めポーズで)
赤星「電脳世界における大量殺人テロ、これが事件の真相です。」

(研究室に戻って)
赤星「ただいま。」
碧「先生、お疲れさまでした。早速見てもらいたいのもが…」

碧「気になって調べたんです。当時の殺人鬼Xの捜査資料。実は、犯人が捕まってないだけで事件はほとんど解決してたんです。」
(事件資料を見ながら)
(殺人鬼X捜査資料。被害者は合計で7人。いずれも自殺志願者であり犯人とはネットを通じて知り合っている。1~6人目は3年間での犯行に対し、6人目と7人目の犯行が起きた年は2028年と2030年である。)
碧「この犯人はネットを通じて出会った人たちの自殺援助という形で殺人を繰り返していました。犯人は事件現場に必ず自分だという印を残し、犯行のペースも3年間で6人と、半年に1人のペースでかなり猟奇的です。しかし、6年目と7人目の犯行には2年の間が空いています。」
赤星「2028年と2030年…これは、まさか安楽死法案か!」
碧「はい。2029年の安楽死法案の施行とともに自殺志願者は軒並み消えて皆安楽死を選ぶようになりました。そのためターゲットがなかなか見つからなかったんです。ターゲットを見つけるにはかなりの時間と労力が必要だった。
しかし探すのに大きく動いたため逮捕寸前、犯人をあと一歩のところまで追いつめることができました。そこで犯人が逃げ先に選んだのが、」
赤星「電脳世界…ということだね。完全な隔離空間。警察も手が出せない。」
碧「はい。犯人としてはまさに最高の一手です。犯人を苦しめた電脳世界、それを逆に利用したわけですから。しかし、悲劇が起きます。」
赤星「なるほど。このハッキング攻撃がこの犯人に対しての復讐だとしたら。確実に犯人を殺すにはこの手段しかなかった。とすると犯人は被害者遺族…」
碧「僕もそう思ったんですが、警察の捜査資料を調べていくうちにそもそもこのハッキングに関しては捜査すら行われていないことが分かりました。このハッキングの徹底的な隠蔽、僕はある結論にたどり着きました。これを」
(本應 光, 7人目の被害者の兄, 巡査, 2042年辞職)
碧「つまりこのハッキングは警察関係者による犯行だったんです。だから警察、政府はいち早く隠蔽したんです。」

(一息ついて)
碧「先生、僕が考古学を研究したいと思った理由、覚えてますか?」

(赤星、初めて碧が研究室に配属されたときのことを思い出す。過去回想)

赤星「はじめまして。樹下碧君だね。よろしく。さて、君はどうしてこの赤星研究室に入ろうと思ったのかな?」
碧(はじめましてか…)
(以前あったことがあることを碧のみが覚えている状態)
碧「僕は…人の感情を読み取るのが苦手です。相手の感情よりも合理性を重視してしまって相手から距離を取られることも多々あります。でもある出来事がきっかけで歴史には多くの人の想いが重なり合ってることに気づかされました。だから僕は考古学を通していろんな人たちの感情に触れてみたいんです。」
赤星「そうか。立派な理由だ。私の研究室でできることは何でもしていきなさい。」
碧「(そのことに気づかせてくれたのは先生なんですけどね)」
(回想終わり)

赤星「ああ、覚えているよ。」
碧「僕はこの結論に至るために自分だったらどうするかを考えてみました。もし自分が殺人鬼Xだったなら。殺人に2年の間をあけたのは何故だろう、自分だったらどこに身を隠すだろうって。そうしたらこの殺人鬼は非常に合理的で、わかりやすかった。
でも僕はわかりませんでした。このとき本應光はどんな気持ちだったんでしょうか。自分の妹含めたくさんの人を殺害した犯人を追っていたはずなのに、自分がさらに多くの人の命を奪ってしまった。彼は電脳を命とは見ていなかったのか、しかし彼は犯人を電脳の命であっても奪う決断をした。復讐に取りつかれてしまったのか合理的ではありません。やっぱり僕は成長出来ていないですね…」
赤星「いいや、君は成長しているよ。なぜなら君は一番重要なことができているからだ。それは相手の立場になって考えること。これができない人が世の中にはごまんといる。
そうやって考えて考えて、それでも理解できないもの。それこそが歴史の面白いところさ!こんな大量殺人を調べて面白いなんてひどい話かもしれんが、だからこそ私は考古学が好きなんだよ。」
碧「先生…」

(残りの研究生が遠征から帰ってくる)
(走ってくる足音)
竜ヶ崎桃「先生!私たちがいない間に新しい研究発表したって聞きましたよ!ずるいですよ先生!ライセンス取れたら今まで入れなかった遺産に行きましょうって言ってたじゃないですか!」

赤星「君たちは遠征中だったじゃないか。 で、どうだったんだい?」
観音紫苑「まぁ、いつも通りでしたよ。あとで報告書出しとくんで今日は帰りますね。」

碧「先生、こうと思ったら一直線なのは相変わらずですね。ライセンスで見れるデータに、現ZouTubeの前ver.であるYouTubeの全動画データや、これは出会い系アプリですかね。その履歴なんかも全部見れますよ。面白そうなのいっぱいあるじゃないですか!」
赤星「そうだな、よし研究の始まりだ。」

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