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日記と芸術のはざまで

ずっと、日記はプライベートなものだと思っていた。固有名詞はバンバン出てくるし、読み返すと恥ずかしくて死んじゃいそうな自分の心の叫びもどんどん書いている。とてもじゃないけれど、人様に見せられるような代物ではない。


でも残しておきたかった。それは自分の分身のようなものだった。いつだったか、杏ちゃんの本を読んだ時に「残しておかないとなかったことになる。それはとても悲しいことだ」と書いてあって、本当にその通りだと思った。私のことは、私が残してあげないとなかったことになってしまう。だから、その時の感情を余すことなく拾い、文字にする。たとえ恥ずかしいことでも、後々見返した時に、きっと宝物になると信じて。


そしてこれまた最近気づいたことなのだが、恥ずかしい日記はいつまで経ったって恥ずかしい。例えば恋愛の始まりの頃なんて本当にやばい。世に出せない。
そうか、ならばオブラートに包んで残せばいいのか。唐突にそう気づいたのだ。そしてそれが、世の芸術家が皆やっていることなのだということがようやく腑に落ちたのだ。自分の感情を一般化する。でもそのことによって自分の経験が消えるわけではない。ということで、これからは過去の自分を精算しつつ、芸術として昇華できればと考えている。

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