棘上筋の上手くまとめられたような話

肩関節外転の際に三角筋の筋収縮が優位となってしまうケース。

この場合、外転はできるが三角筋部に痛みや違和感を訴えることが多い。
違和感は「重たい・だるい・苦しい・窮屈感・わからない」などがある。

こういった場合には外転筋の中でも三角筋が優位に働いていることが示唆される。

外転筋は主に二つ。

三角筋と棘上筋

そしてこれらは外転という運動方向に対してどのベクトルを持っているのかを理解する必要がある。

三角筋は主に頭側方向に向かってベクトルが発生します。

棘上筋は主に体幹中央に向かってベクトルが発生します。

この両方の筋肉が主に働くことによって外転動作がスムーズにできるようになります。

でも、棘上筋のベクトルが発生していないと外転は三角筋が主に働くので症状として肩甲骨挙上(シュラグサイン)によってさらに外転を行うようになります。
こうなると外転可動域はさらに制限されますし、疼痛も発生しやすくなります。

なので棘上筋が筋収縮することによって外転90°からさらに外転しやすくなるのです。


棘上筋の筋収縮を促す運動。

筋肉の多くは伸張位となっているところから運動を行うことで、筋収縮を促し筋肉の緊張を感じることができます。

上肢下垂位・側臥位・前腕回外位で術者が介助しながら運動を開始していきます。

運動は内側上顆を体幹からほんの少し浮かす程度に外転方向へ動かします。
感覚としては動かすというよりも上肢を浮かすという感じ。
疼痛が強い人は関節運動があると疼痛が促進されてしまうので浮かすというよりも腕が動かなくてもいいくらいの力加減と伝えることもあります。

この運動での目的は棘上筋の筋収縮を促すことなので関節運動がなくても筋収縮が行えていたらそれで十分です。
この際、棘上筋部を触診して筋収縮をモニタリングしましょう。

この運動を繰り返し行うことによって徐々に筋収縮を術者も患者さんも感じると思います。
ただ、感じにくい患者さんもいらっしゃるのでしっかりモニタリングをして筋収縮が確認しましょう。

棘上筋の筋収縮が確認できたら、その肢位のまま自動運動を介助しながら行ってもらいます。
この時も棘上筋をモニタリングしながら筋収縮ができているかを確認します。

これである程度の筋収縮を促すことができます。


さらに強度を上げたい場合。

どうしても棘上筋の許容範囲を超えた動作があるとさらに力が入りやすい筋肉に収縮が入りやすいです。
またそれを繰り返し行うことによってそれが運動学習されてしまいます。
そして、その運動学習された動作は自然な動作として動いてしまいます。
そしてまたその動作を繰り返してしまうのです。
悪循環ですね。

こうならないように、運動強度を上げる際には筋収縮ができていることが必須になります。

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