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映画「昼顔」を見てきた。

ネタバレがあります。これから見る予定、知りたくない!と言う方は閉じてください。



あの夏、私はドラマ昼顔を見るためだけに生きてたと言っても過言ではなかった。
毎週これだけを楽しみに生きていた。
映画化の告知は本当に嬉しかった。また、さわちゃんに会える。北野先生に会える。りかこさんと加藤さんがどうやらでないのは残念だったけど。
昼顔は、私にとっても一夏の恋だった。

映画公開の6月中旬から、体を壊してたので正直映画どころでなく、外出もままならなかった。見に行きたいのに、絶対劇場で見たいのに。絶対ネタバレを踏まないように気をつけて来た。よく今日までもったと思う。(8/1)ここのところ体調も良くなって来たので、思い切って映画館へ。
上映終了後の率直な感想は

え?…………いやいやいやいや、、、え?

抜け殻。絶望感。

映画館の照明がついてもため息しか出ないし、外は曇天だし、電車に揺られてても、買い物してても、ずっと、後味の悪さ、寂しさが張り付いてくる。映画の中の様々な場面が蘇ってくる。

一晩眠っても、やっぱりまだ信じられない。私が元からの感情移入しすぎおばけだからか、ちょっと精神的に病んだ後だから余計そうさせるのかはわからないけど。
不倫がテーマだから、さすがにきゃっきゃうふふのラブラブハッピーエンドじゃないだろうな、とは思ってたし、もしかしたら、っていう気持ちもあったけど。酷い…酷すぎるよ……

ホタルなんですぐ死んでしまうん?

正直、絶望感が酷すぎて、再会の喜びとかときめきとかぶっ飛んだ。
いや、確かにきゅんとしたし、わー!!さわちゃんと北野先生だー!!って思ったんだけど、感想としてもう連ねられない。
さわちゃんが北野先生と過ごせたのがどのくらいの期間なのかわからないけど(ざっくり半年くらいなのかな?)、鍵かけて大切に大切に私の心の百葉箱にしまっておくことにする。

自分がどんな視点で立ち位置で見るかによって、感想変わってくるとは思うんだけど、私は別に不倫を推奨したいわけでもなく、自分がのりこ側だったらやっぱり狂うと思うし、むしろ自分が当事者になるのは絶対に嫌だ。メンタル弱すぎて、絶対できない。
でも、好きになっちゃったんだから仕方ないじゃんとも思うし。
オーナーの、「傷つけられた人間の気持ちもわからず自分だけが被害者面するな」っていう八つ当たり?苛立ちもうん、うん。だし。
のりこの「私が悪者みたいじゃない、私は悪いことなにもしてないのに」もう〜ん。そうなんだよな〜。ごめん、ドラマの時からほんとのりこ嫌いだったけど正論なんだよな〜〜だし。
でも、昼顔の世界では、やっぱりさわちゃんと北野先生を応援しちゃう側の人間で。
不倫なんだけど、不倫じゃないというか、別に2人が背徳感を楽しんでるわけじゃないし、夫婦間の憂さを都合よくお互いで晴らしてるとか、そう言うわけじゃない。ただ、好きになった人が、お互い相手がいたってだけで。
だって2人ともすごい真っ直ぐな人間じゃない?どこまでもお人好しというか、隙があるというか、不器用というか。優しい、とはまた違うかな?だからこそ、この2人がすきで応援したくなっちゃう。計算だらけの人間だったら、ここまで応援はしたくないと思う。
さわちゃんは、警戒心解いて(完全に解いてたかはわからないけど私にはそう見えた)オーナーと海で楽しく過ごして、心開いちゃって身の上ペラペラ話しちゃって噂ばら撒かれちゃうし。けじめつけたかったからってわざわざのりこに会いに行ったり。
「別れた後も裕一郎って呼んでいい?」
「嫌です」
とか言っちゃうし。いや、そこは嘘でも余裕を見せて〜〜〜〜これ以上荒立てないで〜〜〜。
バス降りる時転んだのりこのこと支えて起こしてあげちゃうし。
北野先生だって、のりこの怪我の理由信じてほいほい世話焼いてあげちゃうし。
それはあなたを繋ぎ止めるための、嘘でしょうが!!!
全ての責任が取れるようになってから、すきって言おうと決めてたとかなんなんだよ、そんな漢気いらん。
言ってくれよ。
す………す………って、なんだよ!!
送ってあげる、なんて言葉簡単に信用するなよ。
せめて自分で運転してくれてれば。
ドラマの終盤からおかしくなってたのりこだから、こうなるのはなんとなく予想できただろうに…
北野先生、一応夫婦として暮らしてきたんだからのりこの気質わかってるだろうに……
でも、7階から飛び降りても、助手席の人間が即死するような事故でも死ねない、って言うのも業だと思い。
彼女もまた、背負って生きていくんだなと。口では、私じゃなくてあなたが殺したのよとか、あなたを一生恨むと言ってても、消えないでしょ。思い出すでしょ??私に謝ってやり直そうって言ってたわって強がっても、忘れないでしょ。
最愛の人が、最期に言ったのは、

「わからない、でも、たださわが好きなんだ。」

なんだから。完全に気がふれてたら、それすらもわからないのかもしれないけど。
さわちゃんが、転んだのりこを支えておこしてあげたとき、その手を振り払わず、ありがとうって言ったのが唯一の救いだと思った。

北野先生が落ちていく時のシーンが、何度もフラッシュバックする。

「わからない、でも、たださわが好きなんだ。」

なんで〜〜〜〜〜〜。なんでだよ〜〜〜〜〜。やめて〜〜〜〜〜〜。
車から飛び降りて!とか、
横からブレーキ踏んで!!とか。
きっと大事故だけど奇跡的に助かって、でも植物人間に?とか、
やっぱりのりこと2人とも死ぬのか?いや、そんなのは絶対嫌だ。とか。
もう、のりこ並みにパニックおこしながら訳のわからないことを考えてヒヤヒヤしてたんだけど。落ちていく時の表情がなんともいえなくて、花火が見えて。

だめだ、呆けた。

警察署で、ゆびわ、ゆびわはどこ、北野先生、北野先生って喚くさわちゃんが本当に痛々しくて。
踏切のレールにヒールを引っ掛けたときの、フラッシュバック。
もう、やめてくれ。
信号がホタルに見えて、ふらふらと吸い寄せられて行って。
赤くなって、ホタルいなくなっちゃったと絶望して線路に寝転がったら、北野先生と一緒に見た星空が見えて。
左手にホタルがとまってて、ちょうど薬指の所で光るんだよ。誓いの指輪みたいにさ。このホタルは、北野先生の魂かな、なんて。
ホタルが飛び立ってしまって、我に帰る。踏切がもう降りてる。警報機が鳴ってる。どうするの、さわちゃん?
さわちゃんも北野先生のところに行っちゃうの??
さわちゃんは、転がって、はいつくばって、這い上がった。
北野先生のいない世界を生きていくと、自分で決めたんだ

生かされたのには意味があった、と言ってたけれど。数ヶ月後、北野先生とのこどもを身ごもっていることがわかる。

「かみさま、あなたはまた私を強くしました。」

さわちゃんと北野先生の、ホタルの水辺にこどもたちがやってくる。
朽ちかけた百葉箱を開けるメガネの少年。
小さな包みを見つける。
麦わら帽子の少女の指に、指輪をはめる。
緑色に光る石はホタルのようで……
エメラルドかな?石の意味調べたら幸福、夫婦愛、愛の成就。浮気を防止する、なんて意味もあるそう。深い。
指輪を見つけた少年が、シンポジウムに来ていた子?とも思ったけど、北野先生が綺麗に磨いたはずの百葉箱がまたボロボロになってたから、メガネの少年か、麦わら帽子の少女どちらかが北野先生とさわちゃんのこどもだったらいいな。そうに違いない。
でも、こんなことがあったのにずっとこの町にとどまるかしら?ともおもったり。
でもせめて、指輪はさわちゃん自身に見つけて欲しかった。でも、2人の思い出の場所だからつらくて行けなかったよね……仕方ないのか。
さわちゃんと北野先生のこどもができたことが僅かな希望。
無事に産まれてくれたことを祈ります。
健康に育ってくれたことを祈ります。

「女はね、自分ができなかったことをやってのける女がいちばん嫌いなの。」

のりこは、北野先生と永遠に結ばれた。
さわちゃんは、北野先生とのこどもを身ごもった。

「幸せになろうなんて思ってないんです。ただ、1日でも長く彼と一緒にいたいんです」

「自分が裏切ったことあると相手の事信じられないの」

不倫を推奨するような内容にできないのは倫理的になんとなくわかるものの、でも、フィクションなわけだから、もう少し救いがあってもよかったのではと思う。正直。
酷すぎるもん。
不倫て、死んで償わなきゃいけないような罪なのかな?
しかも、「遺体の損傷が激しいので今はご覧にならない方がいいでしょう」なんて言われるようなむごい死に方で??
酷すぎる。まだフグの毒でももられたほうがましだったよ。
人をただすきになっただけなのに……。
しばらくは昼顔ロスから立ち直れそうにありません。
でも、絶望しているのに、もう一度見たくなってしまう。もう一度、さわちゃんと北野先生の笑顔を見たくなってしまう。でも、つらい。二度と見たくない気持ちもある。

「決して、もう、二度と。せめて、もう一度」

本編見てから余計この言葉が沁みてきます。
一夏の恋で、思い出にしておけばよかったのか?
もう一度恋を初めてよかったのか?
誰にもわからない。
でも、後悔してない。
きっと、後悔しない。

こんなことになっても、やっぱり昼顔、大好きでした。
一生忘れない恋だと思う。


#映画 #昼顔 #昼顔映画

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