見出し画像

親は何色に光るか?

グレート・アンミカによると、白は200色あるらしい。では、親は何色に光らせることができるだろうか?
親の七光りとは、親の持つ高い社会的地位や大きな権力が、子供にも影響を及ぼしている様をいい、七というのは、「大きな数」を表している。

俺の父は大物野球選手であり大物野球監督である。だが、そんな父を父たらしめたのは、他でもない母である。自分の働くスナックの常連だった、まだ野球選手になってまもない父に、今後どうなりたいのかと問い、三冠王になりたいとの返答に「じゃあ、歯を矯正しな」と私財を投じたところから、父の華々しい活躍は始まっている。
三冠王になってもハッパをかけ続け、父がソープ通いしていることを問い詰めた際に逆ギレされたことにも「この男はとてつもない大物かもしれない」と可能性を見出し、ソープの技術を自己流で学んで「ソープランドごっこをするから客になりな」と提案を持ちかけたとの逸話まである。
我が母ながらすごい女だ。これは後に読んだウィキ○ディアに書いてあったことだが。

そんな母は俺に言った。「あんた、親の七光りって言われてるけどね、こんなに光る親なんか他にいないよ。七色なんて言わず、100色でも1000色でも光らせてみなさいよ」
たしかにそうだろう。子供の時分から、俺の周りにはたくさんの大人がいて、その中には地位も権力もある人も、ない人も、それを利用しようとしている人も実にさまざまだった。まずは外堀からと言わんばかりに、俺に近づいてくるやつも多かった。
親父を、何色に光らせられるか。立っているものは親でも使えと言うではないか。立っているどころか、うちの親父は光るのだ。

しかし、声優をやりたいと少年時代に考え始めてからは、多様な色で親を光らせようという思惑はだんだんと薄れてしまった。はたして全部が自分で光って手にした結果と周りから捉えられているかはわからないが、結果的に俺は親父を何色に光らせることができたのだろう、と今でもたまに考える。

そんなおり、テレビを見ていたら、グレート・アンミカが言ったのだ。
「白って200色あんねん」と。
白だけで、200色・・・。
親の七光とはよく言ったものだ。俺は、一生かかっても、親父を7色に光らせることは無理だったのだ、と諦めた。

※全てフィクションです。登場された方を誹謗中傷する意図は一切ございません。どころか、ウィキペディアを読んで、特に信子夫人に対し大きな憧れを抱きました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?