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漆かぶれと井上涼展

2022年8月18日
ひどくかぶれた。
夏休みのある日、趣味の金継ぎをしているときに漆に触ったからだ。今までも漆にはよく触ってるし、かぶれも指が痒いくらいはあった。でも今回は結局ほぼ全身かぶれる非常事態となった。なかなか辛かった。

今思えば手袋くらいすればよかった。素人なのにそういうところははしょってしまう。
はみ出した漆を灯油で拭いていた。
なんの案配か左指先に「べたっ」とついてしまった。今までもかぶれたことはあったので、すぐに手洗い。見た目は取れたのでとりあえず安心していた。
作業が終わり数時間後。左薬指の腹が痒い。あ、まずいな、とまた念入りに洗う。が、力が入りすぎたらしく、ちょっとだけ体液が・・・。しばらくすると隣の指も赤く痒い。あ、うつった。しまった。でも痒い。無意識に指を掻き出す。気がつけば、あれ、右の指も。
他を触らないようにすればいい。が、意外に無意識に顔を触っているらしく、気がつけばまぶたや頬が赤い。ううーん。

夜寝ていると、暑い日が続いていたのもあり、寝苦しい。夢の中で全身掻きむしっている。なぜか夢では堂々と掻いてよい設定らしく安心して掻いている。徐々に覚醒し途中ではたと焦る。まずい。当たり前だが本当に掻いている。
起き上がり洗面所で明かりをつけると、腕、足、そしてお腹や背中まで赤い。赤いだけでなく、所々血が出ている。気色悪い私の肌。慌てて痒み止めを塗るが傷口に沁みて縮み上がる。

夏休みなのに何日か出勤したのもストレスだったのかもしれない。抵抗力が落ちていたのか。

「漆かぶれ」検索。
人にはうつらない。
酷ければ皮膚科にいってもいいが特効薬はない。
二週間もすれば治る。

とりあえず長袖を着て過ごそう。暑いけど。


2022年8月28日
MOA美術館の井上涼展に行く。最終日に間に合った。
腕のかぶれはかなり改善したので半袖が着れた。(酷いときは皮膚が黒ずんでいた)
足はまだ痒い。鞄にムヒを入れる。

今回は「キラキラ☆ゴールデンびじゅチュ館」とのことで、なかなか豪華絢爛で見ごたえあり。勝手にニッチな人気の人だと思っていたので、老若男女の客層に驚き。勘違いしてました。すみません。
そんななか、井上涼さんが漆を扱う映像を見る。途端に自分のかぶれとつながり、平気な様子で扱う手元をハラハラしながら見守る。
そうか、自分は金継ぎでしか漆をつからないけど、むしろ工芸で当たり前に使うものですね。いろいろできたら楽しそうだ。
せっかくだから、木工で何か作って漆で仕上げれば・・・と妄想しながら展示を見る。
まずは早く治らないかな。というか、昔からみんな漆かぶれに悩まされてきたのかな。と、気がつけば勝手に偉大な工芸家たちを身近に引き寄せて考えていた。
それにしても井上涼は天才だ。


2022年9月10日
いや、本当に治るんだね。全く痒くない。まだ跡は残ってるけど大丈夫だ。半ズボンも平気だ。もう肌寒いけど。

結論。
漆は手袋して扱いましょう。



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