R-1グランプリ 2023 感想・採点メモ


1.Yes!アキト(456点/7位)

 最初は「けっ…!けっ…!」の繰り返しがテンポを削いでいる気がしてハラハラしましたが、ギャグ自体は面白く、後半どんどん畳みかけていたのが良かったです。テーマ性がある分去年よりも見やすく、面白かったです。ザコシショウさんの昨年の品評に対するリベンジも果たしましたが、確かに突き抜けた爆発力も欲しいと思いました。
 あと1年あれば、ギャグの破壊力とテーマ性を両立させた完全体のアキトさんが見られそうでしたが、芸歴制限が本当に惜しいところです。10年間お疲れ様でした!

個人採点:89+2=91点/4位 ※トップバッターのハンデとして、個人採点に2点上乗せしています。

2.寺田寛明(464点/3位)

 3回目の出場で見慣れてきたこともあってか、非常に大きくウケていましたし、とても面白かったです。「暮れなずむ」も「付和雷同」も、確かにそう思ったことがあります。知的なあるあるをキャッチ―に落とし込んだことで誰もが笑えるネタになっていたと思います。それだけに色々と緊張が伝わってきたのが惜しいところでした。
 来年がラストイヤーとのことですが、こういった知的なネタは大好きなので、是非とも頂点を掴み取ってほしいです。

個人採点:92+1=93点/2位 ※2番手のハンデとして、個人採点に1点上乗せしています。

3.ラパルフェ 都留(451点/8位)

 ボケとして何を言っているか分からないという以外の部分でも、ごちゃごちゃしていてわかりづらく感じるところがあったのが惜しいです。ただ、ネタとして見るとしっかり面白く、「阿部寛のHPは開くのめっちゃ早い」みたいな分かりやすいボケもあって良かったです。(もっとウケていいのにとも思いました。)
 都留さんのモノマネはネタが終わった後でも尾を引いて癖になるのが心地良いです。結果的に8位になってしまいましたが、このネタが8位というのが今回のレベルの高さを物語っていると感じます。

個人採点:89点/7位タイ

4.サツマカワRPG(462点/5位)

 ショートコントでその登場人物が入れ替わっていき、最後には最初のラーメン屋さんに繋がるというある種の美しさを持ったネタでした。電車内でのマジックをスッと理解できなかったところが残念でした。
 サツマカワさんも今年でラストイヤーなのが非常に残念なところです。ファイナルでやる予定だったというだるまさんがころんだのネタは本当に得体が知れず、これをあの場で見られなかったのは非常に悔やまれます。10年間お疲れ様でした!

個人採点:90点/5位タイ

5.カベポスター 永見(460点/6位)

 非現実的にも関わらずその情景が思い浮かぶのは、永見さんの表現力と大喜利力の賜物だと感じました。ただ、面白いものとそうでないものの強弱もあって、そこがどう評価されるかと思ったら案の定二分されていましたね。(特に『就活頑張ってね、って~』は、強い部分に挟まれて余計に弱く感じました。)小籔さんとバカリズムさん、どちらの品評もしっくりきました。
 それにしてもカベポスターはお2人とも非常に脂が乗っていますね。M-1を筆頭に今年の賞レースも楽しみです。

個人採点:90点/5位タイ

6.敗者復活⇒こたけ正義感(462点/4位)

 敗者復活は赤木裕さん、清川雄司さん、シモタさん、こたけ正義感さん、山口コンボイさん、二代目ちくわぶさんの6名に投票しました。赤木さん、清川さんは破壊力が、シモタさん、ちくわぶさんは表現力がずば抜けていたので、この4名も是非見たかったです。
 こたけさんのネタについて、敗者復活よりも聞き取りやすく、見やすく感じました。特にパンのくだりは何回見ても面白かったです。寺田さんもそうですが、知的なものをキャッチ―に見せるネタはとても好きです。敗退時の「不当判決」もメチャクチャ笑いました。ABCお笑いグランプリや来年以降のR-1でも期待しています。

個人採点:92点/3位

7.田津原理音(470点/1位通過)

 カードの開封動画にまつわるあるあるや、カード自体の面白さ(ステータス、イラスト、フレーバーテキストなど)、田津原さん自身の面白さが三位一体となってメチャクチャ笑いました。個人的には今大会で1番面白いネタでした。
 1年間このネタを仕上げまくったと記者会見で仰っていましたが、そういった努力が報われるというのは見ている側としても嬉しいですね。

個人採点:93点/1位

8.コットン きょん(468点/2位通過)

 きょんさんの演技力や踊る大捜査線のBGMの使い方など、光るところはあったのですが、ワンテーマの繰り返しであまり変化がなかったのが残念な所でした。KOCではコットンが一番面白いと感じたのですが、ベタながら緻密でセンスが光るという持ち味はちょっと薄かったかなと思いました。
 あと、個人的には寺田さんの2本目の方が見たかったので、ネタのクオリティが高いと分かりつつも点数が伸びていかなかったのはその辺りのバイアスによる気がします。採点する以上は公平でなければいけませんね、反省。

個人採点:89点/7位タイ

1stラウンド振り返り

 初めてR-1のリアルタイム採点をしてみましたが、採点幅が4点とだいぶ小さくなってしまいました。それだけ甲乙つけがたいハイレベルな戦いだったということで、本当に面白かったです。
 最終決戦は、ピン芸人かつどちらかと言うとダークホースな田津原さんを応援していました。

最終1.田津原理音(3票:ザコシショウ、野田、陣内)

 1本目と似たようなカード開封でしたが、タオルの色が違う、キラカードをめくると角度によって見え方が違うカードになるなど、1本目を超える爆発力もありました。一方で始まりと終わりがフワフワしていたり、カードに書かれているテキストが見づらかったりなど気になる点もいくつかあり、点数としては1本目の方が高くなりました。

個人採点:92点

最終2.コットン きょん(2票:小籔、バカリズム)

 ありがちなシチュエーションをリモートでやるというアンバランスさがツボにはまり、1本目よりも点数が高くなりました。ただ、こちらも”キョウコ”という名前が別なコントではきょんさんの役名となっていることや、端末同士で通話ってハウリングしないか、ノイズキャンセルで音が聞こえなくならないかなど気になってしまいました。こうした枝葉末節を気にしてしまうのは良くない癖です。あと、きょんさん並びにコットンの世界観に3分は短すぎます。

個人採点:91点

最終決戦振り返り

 昨年に引き続き3-2の接戦で、しかも今年は最後の陣内さんの開票が明暗を分けるという非常にドキドキしたものとなりました。私自身も田津原さんを1点だけ高く評価していますが、トータルの完成度では全くの互角だと思います。

終わりに

 田津原理音さん優勝おめでとうございます!1年間で1つのパターンを磨き上げてダークホースからの優勝、まさに夢を体現していると思います!ラストイヤー組もそれ以外のファイナリストも、全員が得をした大会になったのでしょうか。去年がR-1史に残る(であろう)素晴らしい大会でしたが、ネタのクオリティはそれに勝るとも劣らなかったと感じています。
 それだけに運営面でのお粗末さが目に付いてしまいます。点数表示ミスを発端としたヤラセ疑惑、ファイナリストの名前間違え、去年の写真の使いまわし等々、それで演者の方々にケチがついてしまうのは残念という他ありません。どうかこの疑惑に負けず、ファイナリストの皆さんが全員売れて、R-1の大会としての価値も更に高まっていくことを願っています。
 ここまでお読みいただきありがとうございました。そういえばM-1の敗者復活戦の記事書いていなかったので、近いうちに上げます。

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