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セールスマンに教えたい「人の心の動かし方」の話

生まれた年も、生まれた街も同じ、
能力も、容姿も、家庭環境も似たようなもので、
働いている会社も仕事も似たような2人のセールスマンがいました。

1人は通常業務をこなすように1,000万円を超える契約を週間ペースで回してくるセールスマン。

しかし一方でもう1人のセールスマンは、数千円の雑誌の契約もろくに取れない日々を送っています。

2人とも仕事に対しての熱意はありますし、いたって真面目。
恋人もいて将来のために真剣に働いています。

しかし仕事で出している結果は天地の差です。

なぜ1人のセールスマンは結果を出し生活を豊かにすることができているのに、もう一方のセールスマンは会社で肩身の狭い思いをしているのか。

その答えは、「売る力」にあります。

……

こんにちは、起業屋さんのYoshinoです。

今回は【セールスマンに教えたい「人の心の動かし方」の話】と題して、消費者心理学について解き明かしていきます。

売る力は、学べば無限に知ることがある広く深い世界です。

そしてお箸の握り方と同じく、一度覚えれば忘れること無く生涯自分を助けてくれる技術でもあります。

セールスマンの優秀さは才能では決まりません。
後天的な知識と経験で決まるのです。

消費者心理学を学べば人の心を動かす為の原理原則を知ることができ、それは素直に売る力、「クロージング」の能力に繋がります。

この記事ではそんな売る力を、消費者心理学よりドルー・エリック・ホイットマン著、【クロージングの心理技術21】から、「生命の8つの力」を参考にして解き明かしていきます。

消費者心理学は売る商品を選びません。

どんな商品、どんな価値でも人の心に訴えかけ、成約にこぎつける為の思考がそこにあります。

明日からのあなたの「売り方」を変えるクロージングの技術を今ここで学んでみてください。

⬜生命の8つの力

人間が持つ心が生んだ、8つの強力な欲求です。
この8つの欲求を知り、売りたい商品によって適切にどの欲求に訴えるかを知ることが最初の一歩となります。

①生き残り、人生を楽しみ、長生きしたい
②食べ物、飲み物を味わいたい
③恐怖、痛み、危険を免れたい
④性的に交わりたい
⑤快適に暮らしたい
⑥他人より優れ、世の中に遅れを取りたくない
⑦愛する対象を気遣い、守りたい
⑧社会的に認められたい

1つづつ紐解いていきます。


1.生き残り、人生を楽しみ、長生きしたい

ストレートな生存欲求です。
とはいえ、人間は高度な脳を持っていますので畜生のようにただ食べて寝て子孫をのこしていれば良し、と思えるような程度の脳ではありません。

死を遠ざけ、娯楽を嗜み、できる限り幸福な生涯を長く全うしたい。

そういった欲求を多くの人が自然と抱いています。

日本人なら働かなくても、お金がなくても生活保護なり農業なりでその日暮らしでも生きていくことが可能でしょう。

しかしその生き方を選ぶ人は少なく、経済的発展を誰もが望んで生きているからこそ昨今のレベルにまでエンターテイメントや医療は発展を見せてくれました。

この欲求がなければ人は無気力に死んだ目をして生きることになります。


2.食べ物、飲み物を味わいたい

こちらも根本的な部分の欲求、いわゆる食欲です。
この欲求だけなら点滴と水分補給で十分なのですが、先の欲求と組み合わさることでより美味しいものを求めるようになります。

味覚や嗅覚、視覚を満足させる飲食を望み、更には日本人に多く見られることですが、食感まで求めだします。

これらの欲求があるおかげで今の私達は美味しい食事ができています。


3.恐怖、痛み、危険の免れたい

人類だけでなく命あるすべてのものがもつ根源的な欲求です。

この欲求が薄いと、骨折して患部が焼けるように熱く痛くなっても喉乾いたな~なんて考えたり、地震が起こって家が崩れそうでもメイクが決まらないから化粧を続けていたり……

この欲求がなければ人間はとうに滅んでいます。

危機回避、将来の不安を避けようとする行動全般の根源にある欲求です。

不良に胸ぐらを掴まれても平気そうに夕飯の献立を考えているような人はこの欲求が希薄なのかもしれませんね。


4.性的に交わりたい

子孫を残したいと思う欲求です。

人類の文化レベルを上げるためにはいつだって大きなお金が動いてきました。

今も昔もお金が投資される先は軍事と医療と性欲が最優先です。

恋愛感情の最終目標地点でもあり、人によっては小学生、幼稚園児の段階からこの欲求に直情的な人もいます。


5.快適に暮らしたい

寒い部屋で眠りたくないから暖かい布団が欲しい。
暑い場所で仕事したくないからエアコンを導入したい。
痛くてじっとしていられないから座り心地の良い椅子が欲しい。
こんな風が強い環境でスポーツなんかできるか!室内遊技場を建設しよう。

これら全てこの欲求から来るものです。

より早い通信環境を求めて、Wi-Fiスポットを探したり、PCを最新のものにしたりするのもこれです。

なんならゲームでより効率的なプレイをしたいと、高価な武具を求める行為にもこの欲求は絡んできます。


6.他人に勝ちたい、世の中に後れを取りたくない

承認欲求、上昇志向、他者との比較……

自分一人で生きていけるわけではない現代、特に義務教育等もあり子供の頃から周囲と比べられて成長していく私達には馴染み深い欲求です。

成績は友達よりも高くありたい。
仲間よりも結果を出したい。
同期よりも高い収入を手にしたい。

あいつよりも、あの人よりも、彼よりも、彼女よりも。

これも人類の発展に大きく貢献してきた欲求の1つです。


7.愛する人を気遣い、守りたい

親兄弟、恋人、妻、夫、子供……, etc.

身内に限った話ではありませんが、大切な関係にある対象を大切にしたいと思う慈愛に満ちた欲求です。

これは意外に思う人もいるかも知れませんが、大なり小なり誰でも持っている欲求です。

あの人はこの欲求が無いよな。

そう思う人も中にはいるかも知れません。

その場合はこの欲求がとても薄いか、もしくは大切な対象がそもそもいないかのどちらかです。

我が子が熱を出してつらそうにしているのを見て平気な親はあまりいません。


8.社会的に認められたい

これも承認欲求の1つですね。

ただこれは先の例とは違い、誰かと自分を比べているのではなく、自分自身にだけ目を向けた欲求です。

「評価されたい。それも絶賛という形で」

この言葉に集約する欲求ではありますが、何も評価や絶賛を直接受ける必要はありません。

グループや集団に所属し、自分がのけ者にされることなくそのグループの一員であると自覚することによって安心感を得ようとする。

これもこの欲求が行き着く1つの形です。

⬜「8つの力」の活用

売る力、クロージングにおいてこの8つの力を見込み客の心を動かすために活用します。

心をどの様に動かせば「商品が売れる」のかと言うと、

①悩みや不安を明確にして、自覚してもらう
②欲求を満たした、よりよい未来を想像してもらう
③商品を手に入れる(使う、契約する等)ことで①を回避し、②を手に入れることができると提案する

大きくこの3つの要素を満たすことが重要です。

例えば「有料note」を売りたい場合を例にして説明してみましょう。


STEP.1 商品に関係する欲求のあぶり出し

まずは売りたい有料noteの内容に関係しそうな欲求を選びます。

今回は「モテる術」の有料noteを書いたとしましょう。

例えば、
①生き残り、人生を楽しみ、長生きしたい欲求
②性的に交わりたい
③他人に勝ちたい、世の中に後れを取りたくない
④社会的に認められたい

noteの内容はこの4つの欲求を満たせそうだ、とあぶり出したとします。


STEP.2 先の欲求に絡めた、悩みや不安を自覚してもらう

問題提起をします。

人は意外と自分が何に悩んでいるのか、何を不安に思っているのかを自覚していないことがあります。

※不用意に不安を煽るのが詐欺の常套手段です。気にしない人は言われるまで気にもしないようなことをわざわざ不安に感じさせるのは控えましょう。

この時に売りたい相手のターゲット像を明確にしておく程、売る際の成約率は高まります。

相手は男性なのか女性なのか、社会人なのか学生なのかニートなのか、若いのか中年なのか高齢なのか、収入はどれくないなのか、趣味は、家族構成は、日課は、将来の夢は、座右の銘は、尊敬する人は、好きな芸能人は、学生時代の得意科目は、異性交友の経験は、好きなTV番組は、好物は、インドア派なのかアウトドア派なのか、後悔していることはないか、住んでいる場所はどこか、このnoteをPCで見るのか携帯で見るのか…, etc.

ターゲット像は細ければ細かいほど高い効果が見られます。

これも売る力の一種ですが今回のテーマは別ですので、このくだりは簡潔に済ませましょう。

社会人で彼女が出来たことがない25歳の男性営業マンがターゲット、としておきます。

①会社と家を往復するだけの日々、出会いもないままでは孤独に一生を過ごさなければならないかもしれません。

②女性経験は男を大きくします。逆に、20代になってもまだその手の経験がない人は自信をなくし、見た目も仕事の成果も衰える傾向があるようです。

③自分よりも醜男で収入も低い後輩や友人が自分よりも経験が豊富だなんてことを知ったら、嫉妬でイライラして生活に支障をきたし、自信もすっかりなくしてしまうもしれません。

④女性経験の話が出るたびに自分に話題が飛んでこないことを願うのはもううんざりではないでしょうか。


STEP.3 悩みのない最高の未来を想像してもらう

人間は想像すると「欲しく」なります。

タバコを止められない人がタバコを吸いたくなる時は、100%タバコのことを考えています。

タバコのことが頭をよぎらないならどんなにニコチン等の中毒症状が働きかけても絶対にタバコを吸いたくはなりません。

CMなどはこの手の手段を当然の様に使用していて、化粧品なら綺麗になった女性を映して
「貴方もこうなれます」。

車のCMなら家族で楽しそうに車に乗っているシーンを映し出して、
「貴方も幸せな家庭を車によって手に入れてみませんか」

想像させるのはクロージングの常套手段です。

売る力の秀逸で有名な例えに、ドリルの話があります。
算数のドリルじゃありませんよ、穴を掘るドリルの話です。

ホームセンターで働く新人が、ドリルを買いに来たお客さんに一生懸命様々なドリルの機能やスペックの説明をするのですが、お客様には響かず、購入せずに帰ってしまいました。

そこへ上司がやってきて新人へ一言。

「お客さんはドリルを買いに来たんじゃない。穴を買いに来たんだ」

この話を今初めて聞いて、はっとしたかたはセールスの才能があります。

欲しいのはドリル、商品ではなく、その商品を使うことで手に入る結果です。

想像させるのはクロージングの常套手段ですが、良い化粧品、良い車だということを想像させようとするセールスマンは大勢います。

しかしそれはあまり有効ではありません。

お客さんが欲しいのは良い化粧品ではなく、綺麗な顔にしてくれる商品であり、良い車ではなく、家族や自分を笑顔にしてくれる移動手段を欲しているんです。

良い車が欲しい人は、それを持つステータスが欲しい、とかね。

その事を踏まえて「モテる術」の有料noteを手に入れることで提供できるであろう素敵な未来を、また8つの力から考えてみましょう。

①1人で遊ぶのが好きな人と、1人で遊ぶしかない人は違います。
友人とではない、恋人と過ごす時間って日々のストレスを発散するのではなく溶かしてくれるような、そんななんとも言えない幸福感を与えてくれます。

②彼女がいれば妄想が現実に、2次元が3次元になります。努力しないと彼女は出来ない?いいえ、モテる男には向こうから好意を持って近づいてきてくれるものです。

③可愛い彼女や妻がいることは一種のステータスです。街で友人や後輩と出会った時の優越感は相当のもの。後日彼らと会うのも楽しみになります。

④自分は勇気を出してこっちから女性に話しかけても反応が悪いのに、顔がいいだけのあいつらは向こうから話しかけてきてくれる、しかも好意を持って。嫉妬しても仕方がないけれど、自分もそうありたいものですよね。


STEP.4 商品を購入することで理想は現実になる

お客様に
「将来の不安、現在の悩み」→「理想の未来、満たしたい欲求」
と順に想像してもらった状態で、その不安を払拭し欲求を満たす方法がある事を提案します。

それがクロージングの最終段階、「理想を現実にする商品の提案」です。

今まで想像していただいた不安や悩みを丁寧に1つずつ潰していける商品。
今まで想像していただいた理想や欲求を丁寧に1つずつ満たしていける商品。

そういう提案をこの段階で持ちかけていただきます。

例えば今回の商品ならば「この商品にできること」を箇条書きにするのもいいでしょう。

・不潔な見た目とはもうおさらば。電車で自然と女性が隣りに座ってくれる様になる身だしなみ改変法
・話しかけなければ始まらない。ビジネスシーンでも活躍する自然なコミュニケーションの入り口を作る技術
・無理のない会話を展開し、またこの人と話したいと思ってもらう後を引く会話術。
・モテる男はここが違う。そもそもの本質を知り今までの勘違いを矯正修正。
・女性の心はここで動く。千差万別な女性の心理を感覚で掴んでおく能力。
・釣った魚に餌をやらない男は最悪。適切に幸せな関係を保つ為の正しい恋愛知識。

と、こんな風に売りたい商品で提供できる価値を箇条書きにして提案します。

「こんな都合の良い商品があるのか?」

あります。

何しろ今まで散々想像してもらった不安や悩みを解消するために生まれたのがこれから売りたい商品であり、同じく想像してもらった理想や欲求を満たすために生まれたのがこれから売りたい商品なんです。

書いてあることは全てこの商品に備わる機能です。

違う商品を売りたかったらはなから違うことを想像してもらっています。

自分が売りたい商品を売るために、自分が売りたい商品で回避して満たせる未来を最初から順よく想像してもらっていました。

だからお客様の思考は段々と信頼から期待へ、期待から焦燥へと変化してきています。

何しろこの眼の前に提示された商品が、今頭の中にある不安や理想をいっぺんに「なんとかしてくれる」商品なんですから。

売りたい商品に今だけの割引だとか、自分からの提案でなければ購入できない制限など、「今買わなければならない理由」があればなお売りやすくなりますね。

⬜心で動いて頭で言い訳をするのが人間

衝動買いってありますよね。
あれは人間の本質的な、本能的な買い物です。

何しろしっかりと計画を立てて下調べをして、必要なものだと確信を持って購入する商品でさえ最初に欲しいと思った感情は衝動に過ぎないのですから。

人間は自分の決定や行動に対して自分で言い訳を考えます。

自分の行動が如何に正しく論理的で、感情に流されたものではなく適切な判断のもとになされたものだったのかということを心で動いた後に勝手に脳が考えてくれます。

つまり売るために、商品を購入してもらうために訴えるべきなのはお客様の心です。

いくら丁寧に賢いお客様にも響くように商品がどれだけ素晴らしいものかを説明したところで購入してはくれません。

誰も最初から「売ってくれ」なんて考えないんです。
現代人のセールスや広告回避は既に本能レベルですから。

例えばノートパソコンを売るときも
「最新のCPU搭載、GPUは10世代、16GBのメモリでストレージは256GBの大容量」と説明するよりも、

「起動から2秒で立ち上がるノートパソコン」

と説明した方が売れます。

セールスは如何に相手の心を動かすかです。

そしてその心を動かす方法が「想像させること」なんです。

順序よく適切な想像をしてくれたお客様なら、下手にセールスを仕掛けなくても向こうから「売ってくれ」と言ってきてくれます。


今回は想像させる方法の1つとしてドルー・エリック・ホイットマン著、【クロージングの心理技術21】から、「生命の8つの力」を参考に使用させていただきました。

心理学書やマーケティング関連の書籍以外にも、小説などからも人の心を動かす方法は学べます。

情報収集の場は無限です。

何ならあなたが今から「人の心を動かす方法」の情報を発信するのも面白いかもしれません。

その時は私にも紹介してくださいね。
喜んで読みに伺います。


セールスマンに教えたい「人の心の動かし方」の話は以上です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

あなたのビジネスライフに幸多きことを心よりお祈り申し上げます。

--Yoshino


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