キミトベ

 中学生の時が僕の人生の分岐点だったと思います。しかし、ここでいう分岐点とは、あのとき違う高校を受験していれば……、とか、もっと部活を頑張っていれば……、とか、あの子に告白していれば……、とかそういう部分的なものではなく、変な表現ですが中学生時代そのものが一つの塊として分岐点だったと思います。どのタイミングでなにをしたかのひとつひとつで人生が大きく方向転換するようなスリルがありました。

 思えば、中学校というのは特殊な環境で、特に受験などで選別されていない公立校では色々な種類の人たちが集められています。金持ちや不良やスポーツマンや貧乏や賢いやつやアホなやつが区別なく狭い生活圏を共にしているのです。それぞれに自分が何者であるか、その自覚がなんとなく顕れてくる時期なのかと思います。
僕は目立つタイプではなく、かといってそれほどダメなやつともいえず、要するにフツーでした。そんなフツーな僕でも、生徒会でひとりで垂れ幕つくらなきゃ事件や、卓球部で自分以外全員退部事件や、女子からの手紙を悪戯と勘違いして目の前で破って泣かす事件や、生徒会演説前に廊下で不良に殴られる事件や、生徒総会で吊るしあげ事件や、修学旅行でハスり過ぎてつまらない事件や、イジメ問題でどっちかというと被害者側なのに一番損害をこうむった事件や、英検受かったのに嬉しそうじゃないという理由でキレられる事件や、エロい単語を知ってるのに知らないと言い張るキャラを確立した事件などなど、たくさんの出来事がありました。
それもこれも、中学校という特殊な環境が作り上げた化学反応だったのでしょう。

 どの事件がどういう風に作用したかはわかりませんが、結果的に僕というまずまずフツーの大人が出来上がりました。現状に特に不満もないし、当時のことで後悔してることもないのですが、もしも一つだけ過去の自分に言ってやれるとすれば……。えー……。別にいいです。特にないです。

今日の音楽
キャプテンストライダム「キミトベ」
中学のとき好きだった曲。塾の帰りに自転車をこぎながらよく歌っていた。夢中で歌っていたら、知らないおばさんをひきそうになった。そして次の日、おばさんから学校に通報されて怒られた。
あ、当時の自分には「おばさんに気をつけろ」と言いたいです。

最後まで読んでくれてありがとー