雨の日記

 今日は遅くまで仕事をした。帰り際、同僚の河童がうきうきしていたので何事かと訊ねると、どうやら、雨が降っているらしい。
 駐車場までいくと、結構な深さの水溜まりができている。しかも都合のわるいことに僕のクルマはこの水溜まりを避けては通れない位置に停めてある。ビショビショになる覚悟を決めて水溜まりに足を踏み入れると、思ったより深い。深いというか、これほ本当に水溜まりだろうか。肩まで浸かってしまった。しかも、抜けだせなくなった。水溜まりと僕の体がジャストフィットしてしまっている。

 まじかよ、だれか助けてと思っていたら河童が通りかかった。助けを求めると何を勘違いしたのか、僕の隣にあった水溜まりに入り込んでくつろぎ始めた。おいおい、助けてってば。
ふと、河童と目が合う。至近距離で見つめ合う二人。とくん、とくんと心臓の音が大きく聞こえる。今、わかった。僕は河童のことが好きだ。こわいけれど勇気を出して言おう。

 ぼーっとこっち見てねぇでさっさと助けろ。

最後まで読んでくれてありがとー