最新技術(2017.07.12)

山本Dは激怒した。
「なあ、新谷、最近のADは全然なってないな。」
新谷は、最近ADからディレクターになった男である。
新谷は言った。
「ふむふむ、山本さん、一体何がどうしたって言うんですか?」
山本Dは、自分の部下であるADたちがパソコンの扱いに慣れていないことを嘆いていたのである。
新谷は、「なるほど。なるほど〜。」と言いながら立ち上がって言った。
「では、コーヒーでも行きましょうか。」
僕もちょうどコーヒーでも飲みたいなぁと思っていたので、一緒に付いていった。
そして僕たちは、会社の前にあるコリントという喫茶店に到着した。
まず新谷が口を開いた。
「ということで、どうしたっていうんですか?山本さん。」
「グフ。どうもこうもないよ。ADたちがパソコンを使いこなせないんだよ。」
「パソコンですか?」
「そう。パーソナルコンピューターだよ。」
「でも、使っていれば、使えるようになるもんじゃないですか?」
ここで山本Dはコーヒーを一口飲んで、メガネを外して言った。
「それは確かにそうかもしれない。でももっと貪欲に食らいついて欲しいんだよ。技術はどんどん進化していく。便利になっていく。でもそれを使いこなせないと意味がないんだ。
今や、ディレクターがカメラを持って撮影してパソコンで編集して、テロップも入れる。それが当たり前の時代さ。昔はカメラマンがいて編集マンがいたよ。でも今は、俺は自分でやってる。」
新谷と僕はただ頷いていた。
山本Dは続ける。
「そう。俺は自分でやってる。
でもそれは俺がすごいんじゃない。カメラとかパソコンがすごいんだよ。
それは技術が進歩しているからこそできることなんだ。」
新谷と僕はただ頷いていた。
山本Dは続ける。
「ただ一つ俺がやっていること、それは最新の技術を貪欲に取り入れ、そこから逃げないことなんだ。」
と言ったところで、山本Dに電話がかかってきた。山本Dは
「まあ、そのせいで忙しくて大変だよ。
どこにいてもすぐ捕まっちゃうんだ。ふふふ。グフ。」
と言って、嬉しそうに電話に出た。

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写真は、電話中の山本Dとスマホをいじっている新谷。
山本Dはスマホが使いこなせないらしく、今だにガラケーを大事に使っている。

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