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吉村昭記念文学館の企画展とトピック展

吉村昭記念文学館で行われている
・企画展「吉村昭の手紙」 〜5月15日
・トピック展「吉村昭とボクシング」 〜4月17日
を母と見学しました。
 実は父の最初の芥川賞候補作品はボクサーの小説「鉄橋」で私はこれを学生のころ読んでかっこえー、とうなった作品でした。
 このトピック展によるとボクサーが登場する作品は「孤独の噴水」「十点鐘」と3作あり、実は「鉄橋」以外、私は読んでいません。私は父についての講演で白状していますが、父の作品371作品の中、半分も読んでいないのですが、ボクシングの作品があと2作?「孤独な噴水」はアマゾンでKindle化していましたので今注文しました。

 さて、今回の企画展が「手紙」。吉村家は膨大な手紙と日記を吉村昭記念文学館にお渡ししています。プライベートそのものである手紙などを、なぜ人様に明け渡してしまうのか?それは父の作品を読んでもらえればわかります。証言者が現存しない幕末の作品などは、残された日記や手紙などを資料にして書いている。

 そもそも小説家というものは隠したいプライバシーというものが希薄、自分の恥部さえネタにして書いてしまうもの、。
 それに吉村家は文学館の企画力を全面的に信頼している。しかし手紙そのものを企画展のネタにするとは!正直予想していませんでした。
 どうやって構成し、吉村昭の文学の”様”に迫るか、まさに文学館の総力をあげての取り組みにわくわくして来館しました。
 そして本日、そのクリエイティビティにまた脱帽させられた次第。特に学芸員である深見美希氏に敬意を表します。
企画展「吉村昭の手紙」については何度か切り口を変えて複数回に渡る新構成ができるのでは?と提案させてもらいました。

 父と母の間にかわされたラブレターも展示されていますが、その中の一通を紹介すると、。

「僕は、君が、僕の小説を通して僕を好きになってくれたことを知ってゐる。
だから僕は、君に信頼がおける。良い小説をかく。
と同時に僕も君と同じだ。
だから僕としては、
君にずっと小説をかいて行ってもらいたい。
そのために特殊な夫婦になっても僕は、誇りと思ふ。」
吉村昭・北原(津村)節子宛書簡昭和二十八年

母は結婚というものをしたくなかった。結婚したら小説が書けなくなるから。無数に及ぶ父からのラブレターの中のこの一通が母を結婚に踏み切らせた一通ではないか、と思いました。
 今回の企画展で俳優緒形拳さんに当てた手紙が公開されています。これを来月の四日市市・文化会館で行う私の講座ネタにつかわせてもらうことにします。
内容は当日まで内緒。

吉村昭記念文学館
場所:ゆいの森あらかわ
入場無料
https://www.yoshimurabungakukan.city.arakawa.tokyo.jp/ind...

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