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「やさしい日本語」でおもてなし③

シリーズで「やさしい日本語」についてご紹介しています。
国際空港利用者数や、「やさしい日本語」が誕生した経緯などについてはすでにご紹介しましたが、今回は「やさしい日本語」の作り方についてご案内します。


「やさしい日本語」の作り方


前回ご紹介した通り、「やさしい日本語」とは、小学3年生ぐらいの日本人が理解できるような言葉を使うことです。
難しい熟語や漢字をわかりやすい単語に言い換えたり、使う漢字も最低限のものにするなど、とにかく「伝わりやすさ」が最も重要です。

「やさしい日本語」を作る上で注意が必要なポイントをご紹介します。

①擬音語・擬態語
「ゴロゴロ」という言葉は、「雷がゴロゴロ鳴る」という文では擬音語(音をあらわす表現)となりますが、「休日はごろごろ過ごす」という文では擬態語(様子を表す表現)になります。このように、同じ「ゴロゴロ」という音の言葉でも意味が異なり、日本語に慣れていない外国人には理解しづらいようです。

したがって、「やさしい日本語」では、「雷が鳴る」とか「休みの日はゆっくり過ごす」というように言い換えます。

②わかりづらい言葉
日本にはたくさんの方言があります。また、標準語でも難しい表現がありますので、それを使う際には注意が必要です。

例えば、「せわしない」という言葉は、関西圏で使われることが多い標準語ですが、「せわしい(=忙しい)+ない」の構造を理解していないと、「世話をしない」という意味にもとられるかもしれません。
しかも、「せわしない」とは「忙しい+ない」という構造なのに「忙しくない」という意味ではなく、「忙しくて暇がない」という意味ですので、こういった類の言葉を使うことは避けましょう。

③和製英語
英語だと思いこんでうっかり和製英語を使うと、より聞き手の外国人を混乱させてしまうかもしれません。
ここで、和製英語の一部をご紹介します。昨今、カタカナ語は日々耳にしますが、それが英語からきているのか、和製英語なのかは意識する必要がありそうです。

・タッチパネル(英語:touch screen)
・クレーム(英語:complaint)※英語のclaimは、苦情というよりも、請求とか主張するという意味合いがあります)
・プレイガイド(英語:ticket agency)
・コック(英語:chef ただし、コック長の意味)
・ガードマン(英語:security guard)
・コンセント(アメリカ英語:outlet、イギリス英語:socket)
・ドライヤー(英語:hair dryer ドライヤーでは乾燥機の意味になります)
・ビニール袋(英語:plastic bag)
・ペットボトル(英語:plastic bottle)
・シャープペンシル(英語:mechanical pencil)
・ピーマン(英語:green pepper)※和製英語ではなくフランス語が語源のようです
・シュークリーム(英語:cream puff)※「シュークリーム」と言ってしまうと、靴磨きの時に使うクリームのことだと思われるようです。

④その他
日本語特有の尊敬語や謙譲語も、単純に丁寧語に直す必要があります。
例:「ご覧ください」ではなく「見てください」

また、熟語も意味を添えてわかりやすく伝えます。
例:「微熱がある」ではなく「いつもより熱が高い」 など

「やさしい日本語」のための「はさみの法則」とは?


これまでご紹介した通り、言葉の使い方をわかりやすくすることで、日本語ビギナーの外国人にも楽しく日本で過ごしてもらえるかもしれません。
最後に「はさみの法則」をご紹介します。

これは「はっきり」「さいごまで」「みじかく」という言葉の頭文字からきているのですが、例えば日本人の街頭インタビューを音声だけで聞いていると、言葉を最後まではっきり言っていなかったり、主語を略していたり、やたらと説明が長かったりすることがあります

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