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ボディポジティブってそもそも言い訳とかに使えなくない?って話

■ダイエットを始めるときって

こんにちは、平凡な女子大生です。女子大生の大多数にもれなく、自分の体形に悩みダイエットをした経験があります。

あなたがダイエットしよう!って思い立つのはどんなとき?わたしは大抵、SNSで流れてくるスタイルが良くて可愛い女の子たちの画像を見て、心が死んだとき。この子はこんなに細くてこんなに可愛い服も着られて、さぞかし人生楽しいんだろうな。こんな自分でも好きなメイクをして新しく買った服を着たら楽しいんだもん、こんなに可愛くなれたらもっと生活が楽しくなるはずなのに。この子は可愛くて幸せそうなのに、なんで自分は。

そういうとき、いつもは慎ましくも存在している自尊心が勝手に自殺する。しかも大分派手にバチバチ火薬と棘を心にまき散らせながら死ぬ。勝手に死なないでもらってもいいですか。自分を愛していないからじゃない、逆に自分を愛していて、自尊心を蘇生させたいからダイエットを始めようとする。
ダイエットしようとする人の多くは、多分こんな感じで始めるんじゃないかな。


■ダイエット中に出会うボディポジティブ

ダイエットを始めるにあたり、まずはたくさん情報を集めようとするよね。まずは、ツイッターやインスタで「ダイエット ビフォーアフター」と検索。次に気になったダイエット方法を調べて、どうやって食事制限しようか、どんな運動をしようか一生懸命考える。それから検索で見つけた運動動画を2,3本こなして、他の気になる動画に高評価をつけておく。そしてその日の最後には、これからダイエットを頑張りますので綺麗に痩せられますように、願わくばビフォーアフターが載せられるくらい痩せますように、と神様によろしく言ってから眠る。
そんな中で、たいていの人が「ボディポジティブ」という考えを発見するはず。
ボディポジティブとは、そもそも一体どんな考え方なんだろう?

「自分たちのありのままの姿を受け入れよう」という、つまりは体にまつわる差別を無くそうという運動

うんうん、こういう考え方大事だよね。別に太ってようが痩せてようが、傷があろうが毛深ろうか人の中身には関係ないし。プラスサイズモデルさんもかっこよくて綺麗な人たくさんいるじゃん。差別なんかしてないよ。
まぁそんなこと分かってるし自分のことそうやって思えれば、ダイエットなんてしないんですけどね、はい解散~!


■ボディポジティブなんて、そんなこと分かってるし

そう、多くの人がボディポジティブの根本的な考え方は元々持ってるんだよ。
他人を見た目で判断してはいけない、見た目を批判してはいけない。だってそれは生まれもってきたものだし、自分だって外見を他人にとやかく言われたくない。それで深く傷ついたことだってある。だったらなおさら他人にやってはいけない。
こんな基本的なことが分かっていない愚かな人もいるけどね。にんげんおろかー。そういう人は初手で絶殺しておくことが大切なので、他の人たちに害が及ばないためにも出会った瞬間に亡き者にしておきましょうね。
基本的なこの考え方はみんな持っているのに、なんでボディポジティブを我が事だと捉えられないんだろう。それは簡単。

自分は他人じゃないからです!!!!!!!

他人がやってても許せるのに自分にはできないことってたくさんあるよね。
友達がダイエットを公言してるのに我慢できなくてお菓子食べちゃうのはかわいいのに、自分がやってるとマジで死にたくなる。びっくりするくらい奇抜な服着て歩いている人を見て「自分の好きな服着ててかっこいいな~!」と思えても、自分はなかなか自分の好きな服ばかり着れない。
自分が自分である限り、他人に対しては許容できても、自分のことは許せない。他人のことは差別してないけど、自分は自分だからこそ差別しちゃうというのがボディポジティブが難しい原因だと思う。


■ボディポジティブって太ってる人限定の話なの?

さてここで、ボディポジティブに関して調べていると、こんな予測変換が出てきたんだな。

「ボディポジティブ 言い訳」
「ボディポジティブ 開き直り」

地獄に来たみたいだぜ、テンション上がるなぁ~。なにを言ってんのか分かんねぇなと言いたいところだが、この予測変換が何を言わんとしているのか分かってしまうのが悲しすぎる。
ボディポジティブは自分を認める運動→どんな体型でも自分を許そう!→じゃああの醜いデブも自分を許そうって思ってるの?→そんなの運動しなくて管理もせず食べまくってる言い訳じゃん、開き直りだよ
たぶんこんなところだと思うんだけど。

こんな感じで、ボディポジティブって体型の中でも太っていることを許容するよう求める運動のように語られることが多いと思う。

その理由としては、ボディポジティブのような体型に関する記事を検索するときはダイエットを念頭においている場合が多いから、ボディポジティブを唱えている著名人の中にはプラスサイズモデルがいるから、とかたくさんあるよね。その中でも最も根本的な理由は、太っていることを醜いと見なす価値観だと思う。
ガリガリに骨のように痩せているのはもちろんよくないけど、太っているよりは痩せている方がずっといいという価値観が、今は普通だね。芸能人の中でも肥満体型はおろか標準体型でもデブと言われて、逆に細すぎるモデルは不健康だと言われることはあっても醜いという言われ方をする場合は少ない。


■ボディポジティブがないと起こる悲しいこと

そんな価値観の中で生きているので当然だけど、わたしも太っているのは醜いと思うし、痩せていれば綺麗だと思ってる。その考え方自体は悪くない。美しさの基準は歴史の中で移り変わるし、今は痩せていることが良いとされる時代なんだから、そうやって思うのは普通のことだ。
ただ、じゃあ何が悪いんだろう。それは価値観に合わない自分の体型を見て自分の自尊心が自殺してしまうことだ。

ヨーロッパのコルセット(ウエストを細く見せるために息ができないほどコルセットをきつく締めたこと、手術で肋骨を取り除くこともあったらしい)も中国の纏足(小さい足が美しいとされた価値観の下、足をぐるぐる巻きにして大きくしないようにしたこと。足が変形して歩けなくなる)も、その時代の美しさに見合おうとして行われたことだよね。このような行為が怖くてバカなことだと思った人は多いはずだ。
今のダイエットはここまで過激なことはしていないと思っている人に言いたいことがある。現代の若い女性の多くは、栄養状態が満足に食事のとれなかった戦時中より悪いんだって。実際にその場に身を置いている人ほど、今やってることがどんなことか分からないものだね。美しさを求めることはもちろん良いことだけど、自分を殺して窮屈にさせてまで価値観に見合おうとすることが、後世とても悲しくて愚かだと言われるものだと分かってほしい。

自分の自尊心を守るために自分の身体を削るような行為は確かにバカだ。でも、だからといって自尊心を見殺しにはできない。自尊心が自殺するときの苦しさを、ダイエットを志したことのある人はよく知っているよね。この苦しさ辛さから逃れるために、自分の身を削った方がマシだし、その方が結果的に幸せになれる。その気持ちは本当によく分かる。だからこそ、自分の身体を削る辛い行為をしなくても自分で自尊心を守れるようになろうという運動がボディポジティブなんだ。


■ボディポジティブは誰のためのもの?

だから、ボディポジティブとは太っていることを許容してもらったり、逆にダイエットを否定するための運動じゃない。あなたの身体はあなたしか守れないし、それと同様にあなたの自尊心もあなたしか守れない。

自分がどんな体型であっても、自分の自尊心を守れる。

これだけできていれば、あなたはもうボディポジティブだ。太っていようが痩せていようが、傷があろうが毛が生えてようが、自分のことをまぁいいんじゃないと許せればいい。まぁいいんじゃないと思いつつも、さらにわたしは上を目指すぞ~と思うダイエットはボディポジティブ。あの子は細くて可愛くて、それはとても羨ましいけど、自分はこの体型でええじゃろ。それだってボディポジティブだ。

逆に、自分のことを愛していても自分をそれでいいと思えなければ、とても辛い。自分をちゃんと愛している人はダイエットなんてしない、なんてのはめちゃめちゃ嘘なので信用してはいけない。逆に愛していないものに苦しい思いをしてまで執着することなんてある?(自分が苦しんでまで執着するのは相手を愛しているからというのはオタクの一般常識すぎるぞ)

ボディポジティブは他人のためのものではないし、わたしはこういう考えだからと公言するためのものでもない。今はそんな考え方をしようという運動がボディポジティブと呼ばれているけど、結局ボディポジティブの根本は何かというと、自分の自尊心を守るために自分の中で持つ、自身の体型への寛容なんだ

だからボディポジティブは言い訳、なんてのはそもそもが間違っている。だって他人のために、あんたのために発信しているものじゃないしね。ボディポジティブを分かっていない人が体型の話をしないでもらえますか?


■だからと言って急にそうは思えないよね

もちろんわたしもボディポジティブに出会ったときは、そんな自分に寛容になれるわけないじゃんと思ってた。実際、自分を許そう許そうと思っても、それはなかなかできることじゃない。自分はこのままでいいんだ、許せば幸せになれるんだ、頭ではそう分かっていてもどうしても心が受け付けない。だって自分だよ?そんな簡単に優しくできないよ。

でも最近ようやくわたしも、ボディポジティブの考え方がちょっとだけ理解できるようになってきた。
わたしは背も小さいし、細いわけじゃないし、足とお尻なんてめちゃめちゃ肉がついていて今にでもちぎりたい。切実にBLACKPINKのリサになりたい。一般人でも細くて可愛い子を見れば、なんでわたしはこうじゃないんだと布団の中でうじうじすることだってある。最近行った美容室では、細くて可愛いモデルさんみたいな子が美容室の外に出てポーズまで指定されながら写真撮ってもらってて、施術してもらってる2時間くらいの間にマジで自尊心5,6回は自殺した。(わたしは美容室の中でパシャパシャっと撮られただけで終わった、普通に死にたかった)
それでも、最近ようやく「絵画に出てくるヴィーナスって大体わたしの体型に似てない?神じゃん(文字通り)」と謎の安心を得られるようになった。わたしはこの体型でいいな、小さくてふわふわして可愛いな、と時折そう思えるようになったんだ。これが常に思えるようになればそれがきっと、ボディポジティブな人になった、ということなんだろう。

だから今すぐにボディポジティブになれなんて言えないし、これからあなたはボディポジティブになるべきだとも言えない。
ボディポジティブは自分の信念のこと。なるかならないかという話ではなく、そういう信念を持つ人が存在していて、いつかそう思えるようになれたらいいよね、という話だから。
そういう信念を持てたら幸せになれるとも断言できない。ただ、ボディポジティブの信念を本当の意味で持てれば、きっとあなたはもう、自尊心が自殺するときのあの苦しみを味わなくて済むようになるよ。

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