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「若くていいわねぇ」と言われて返す言葉


さっき、天気が良いので庭先で軽く洗車をしていたら
散歩中の70-80代くらいの女性が声をかけてきた。
足腰もまっすぐスッとしてて、小綺麗な服装。しっかりした足取りで歩いてるようなひと。

「綺麗にしてるのねぇ」
確か前も1回話したことがある人。
ご本人は覚えてないようで、以前にも聞いたことがある娘さんの話を再び聞いた。

去年あたりに、娘の家(この辺)に引っ越してきたという話。
娘さんは、おそらく50代くらいなのだろうか。
娘の話になると明らかに表情が暗〜くなって、あまり話そうとしないので

いつもこの辺を独りで散歩している(という)理由に何か関係あるのかと思って、深くは聞かない。当たり障りのない天気の話なんかを続けてみる。

接客業を20年以上やっていたので、"仕事"モードに切り替えれば、初対面の他人と当たり障りなく交わせる会話のバリエーションは、まぁ色々ある。

女性はふいに、なんの脈略もなく私の顔をまじまじ見ながら
「若くていいわねぇ」と言った。

何か、唐突にすごくびっくりした。
自分では"若い"などという認識は全くない年齢にすでに差し掛かってると思っていたから。

でもよく考えれば、10代の頃は年上の人にそう言われたし、20代の頃も、30代も、年上の人にそう言われたのだから
40代になってもそれ以上の人にはそう言われることもあるんだろうな、と納得した。

昔からそのような事を言われた誰もが、
『何と返答したら良いかわからない』
と一瞬考えたであろうこのやりとりだが
(相手の年齢や状況にもよるだろう)

私も多少の困惑を感じながらもニコニコしながら
「まあ、みんな平等にどんどん歳取っていきますからねぇ」
なんてことをからがら答えた。

最大限のあたたかみを込めた口調で言ったけど、
よく考えたら残酷な返事かな?
私って淡々とした考えかたをしてしまうから
後から、(他になんていうのが良かったかな?)なんて思い返してしまった。

その後も近所の話などを聞きつつ、洗車しつつ、してたらまた突然に
「若くていいわねぇ」
ともう1度言った。
また全然脈略はない。

もし親しい人だったなら、私自身の、おばあちゃんとかだったなら

「どうしてそう思うの?」
「何かやりたいことがあるの?」
「いまの人生に後悔や、何かつらいことがあるの?」

と聞いたかもしれない。
私なら、どういう時に自分より若い人に対して、羨ましいと感じるだろうか
と想像するから。

幸いなことに、性格によるものなのか、
私は四十路に差し掛かる今まで、自分より若い人に対してその若さを羨ましいと思ったことは殆ど無いように思う。

若いな、という客観的事実を口にしたり、若さによる美しさやしなやかさに、綺麗だな、元気だな、と感嘆することはあれど
羨む気持ちとは、違うようだ。

それとは別に、自分自身に関していえば、
(歳とったなぁ)と実感することは色んな側面で、当然ある。

いくつになれば、もう、若くていいわねぇなんて、言われなくなるのかと考えたら
50.60...?正直よくわからない。私はまだその年齢を体感してないので。

見た目のこともあるだろうけど、見た目のことでもないんだろうとも思う。

何か
『自分のしたいことをしてるぞ!』
という青春の気迫のようなものや情熱が、そう感じさせるのかな。

私はただ、すっぴん髪ボサのスウェットフリースに長靴で鼻歌歌いながら洗車してただけだが。

ただ、少し背中を押されたような気もした。
いまチャレンジしようとしてることに、まだ私は十分トライしていいんだよ、頑張れ、というような、天からのメッセージということにでも、しておこう。

そしておばあちゃんには、また道で遭遇するんだろうと思う。

「若くていいわねぇ」
10代で言われたとき
20代で言われたとき
30代で言われたとき

思い返せば全部違う。
自分にはどうしてあげることもできない、何が言いたいのだろう??という少々の苛つきを感じながら、なんて返答しようか悩みながら、あの手この手で相手を思いやり返してきた色々な言葉。

「先輩も、まだまだ若いですよ」
「(自分は)中身おっさんですけどね。笑」
「いやいや身体も色々ガタが来てますよ」
「そうですか?若くみえて良かったです。ありがとうございます〜」

...etc


結局、人は必ず平等に歳を取る。そして死んでいく。みんな同じ。
今できる、ベストを尽くして後悔のない人生を。
または、自由にきままに自分を愛し、人に優しく、
まあまあワルくない人生、で上出来。

そして目下の人を助け目上の人をいたわる気持ちを、忘れずに。













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