食洗機お試しレンタル導入ガイド

1.はじめに

食洗機、正確には「食器洗い乾燥機」という。
昔は「食器洗い機」だったが、乾燥もしてくれるようになって名前が長くなった。まあ「食洗機」で通じる程度の知名度はあるだろう。

これまで食器類は手洗いでやってきたのだが、結婚&引っ越しを機に食洗機の導入をしたくなった。手洗いはメンドくさいし手肌も荒れる。独身時代はシンクが使用済みの食器でいっぱいになるまで溜め込むこともしばしばであった。しかし結婚して一人だけの生活空間ではなくなり、食器の大量放置は避けねばならない。

しかし食洗機というのはそれなりに大きいし、価格もまあまあ高い。その一方でエアコン・冷蔵庫・洗濯機のように「既に住宅にあるのが当たり前」の家電と異なり、そもそも置くことを想定されていない住宅もまだまだ少なくない。いきなり買うことが難しい家電の一つと言える。

そこで色々調べた結果、食洗機のお試しレンタルができるサービスがパナソニックにあることを知り、それを利用した。結果から言えば、食洗機のレンタル→返却→新規購入、という流れで我が家にも食洗機が定着した。ただそこについてまとまった解説がなかったので、レンタルから返却まで一連の流れについて解説したいと思う。

なお、記述は基本的に2023年12月申し込みのものなので、現状と異なる可能性もあることをお断りしておく。

2.レンタルの流れ

レンタルのサイトはこちら。「食器洗い乾燥機定額利用サービス」が正式名称である。

この「定額利用サービス」は以前(2023年12月)だと必ず新品が来ていたのだが、今は「再生済み中古品」も選べるようになっており、少し価格が安くなる(NP-TSP1-W本体のみの場合、新品2570円/月、中古品1760円/月)。パナソニック側で点検は当然されているから、どっちがいいかは気分の問題だろう。

NP-TSP1-W本体(パナソニックの商品ページより)

今回借りた「NP-TSP1-W」は「スリムタイプ」という、置き場面積がコンパクトなタイプ。それだけでなく、扉が上側に開くため、扉の開閉のために確保する寸法も少なくて済む。まさに食洗機の設置に迷っている人向けのものと言えよう。

レンタルの一連の流れはこのようになる。食洗機本体のやりとりを除き、すべてオンラインで手続きできる。

・Club Panasonicに登録
・定額利用サービス契約
・食洗機到着、設置
・食洗機利用
・サービス解約申し込み+回収キット申し込み
・食洗機梱包、発送(返却)
・サービス解約完了

実際に食洗機が届いてから解約までは、後の項で改めて詳しく書こう。

3.費用

さて、気になるのが費用である。特に短期で返却した場合の総費用がサービスサイト中に明確に書かれていない。このレンタルは、36カ月利用を続けるとそのまま自分の物になるのだが、普通に購入するより割高になるので満期を目指す人はあまりいないと思う。短期間使って気に入ったなら返却して改めて別途購入、というのが取るべき戦略だろう。

また、このサービスでは2種類の食洗機があるが、いずれも「タンク式」と呼ばれるタイプしか指定できない。タンク式は水道を繫ぐ部材や作業がいらないので、とりあえずの導入にはよい(だからレンタルに向いている)が、継続利用には不便である。購入時にはタンク式でない「自動給水式」にすることになる。絶対なる。予言してもいい。そのへんの経過についても後で書く。

さて、短期で返却する前提での費用の計算は以下のようになる。

このサービス、最低利用期間は設定されていないので、1カ月使っただけで解約してよいことになっている。なのでレンタルは1カ月と決めて早く返したほうが得だ。その場合の費用(1カ月利用→返却)としてはこうなる。

・利用料として、月額費用1カ月分
・回収キットの送料330円
・解約手数料として、月額費用2カ月分

うちの場合は、NP-TSP1-W(新品)の専用置台つきコース(2720円/月)としたため、2720+330+2720×2=8490円であった。解約手数料がちょっと高いと思うかもしれないが、食洗機はそれなりに大きくて重く、水を伴い衛生面に関わるものでもあるので、売却先は限定される。そのため「確実に引き取ってくれる」安心感はとても大きい。結果的に導入を諦めるかもしれない可能性を考えると、安心料として十分な価値があるだろう。

また、新品本体を普通に買うのと違って、専用洗剤(専用洗剤チャーミークリスタ・内容量900g)のセットがオマケでついてくる。これは買っても1000円程度なのであるが、量があるのは安心できる。食洗機本体にもサンプルの洗剤がついてくるが、3種類×3~5回分程度と少なめなのでオマケの分は心強い。念のため書くと、オマケの洗剤はレンタル終了時にも返却は不要である。使いかけを途中で返すわけにもいかないので当然だが。

4.申し込みから到着・設置まで

さてここからは実地の話だ。まず、定額利用サービスを申し込む。申し込んですぐ受け付けられるわけではなく、審査があるらしい。僕の場合申し込みから契約成立まで3日、そこから発送まで1日、到着までさらに1日かかっている。だいたい1週間と見ておけばよいだろう。

到着したら、当然ながら製品は段ボール箱に入っている。基本的には売られている製品そのままなのだが、本体や説明書には定額利用サービス用のラベルが貼られている。
重要なのが、NP-TSP1-Wに限れば届いたときの段ボール箱はすぐ捨ててしまっていいのだ。
僕はこの段ボール箱をどうしていいか分からなかったのでとりあえず返却時まで取っておいたのだが、返却時には「回収キット」という段ボール箱を別に取り寄せて、それに入れて送るのだ。食洗機は体積が大きいので段ボール箱を潰さず取っておくと非常に邪魔になる。そう、僕は愚かだったのだ。これを読む人はそんなことせずさっさと捨てて家庭のためのスペースを確保しよう。回収キットの段ボール箱も当然のように大きいので二つ揃ったらおウチはもう大変どころじゃない。ハハハ!笑ってくれ!俺はピエロさ!

設置については、タンク式の食洗機は電源とアース線を繋ぎ、排水ホースを流しに垂らせばいい(アース線は繋がなくても動くが、安全のために繋いだ方がよい)。洗うための水は、付属のピッチャーみたいな水入れで水道から本体下部に注ぐ。問題なのが、この水は9リットル必要なのだ。しかし付属の水入れは2リットル。最低5回は汲まなくてはいけない。やってみるとすぐ分かるが、思ったより大変である。9リットルを入れ終わるとブザーが鳴るので量や回数については意識しなくていいのだが、1回につき2リットルぴったり汲めることは少ない。2リットルの水は2kgだから、なかなか重い。途中で切り上げてしまいがちになり、結果として回数は7~8回くらいになる。そして注ぎ口は結構狭いため、気をつかわないと溢れてしまう。

食洗機に水を注ぐ労働の図(パナソニックの商品ページより)

そこで人類の誰もが気づくのである。楽をしたくて買った食洗機なのに、水汲みという謎の労働が新たに発生してしまうのだ。最初は自分を誤魔化して水汲みをしていても、水汲みから開放を求めるようになる。絶対なる。というか「金を出して導入した食洗機の奴隷として水汲みをさせられる」悲しい未来が見えてくる。人類の尊厳に関わる事態だ。

しかし!慌ててはいけない。タンク式の食洗機も、この水汲みから開放される方法がある。それこそが人類の叡智「分岐水栓」である。タンク式をタンク式として使用し続ける限り、分岐水栓からのホース取付口は要らないのだが……そこはさすがパナソニックというべきか、タンク式にも分岐水栓が取り付けられるようになっているのだ。これは、まさに「粋」というやつである。

分岐水栓の一例

分岐水栓……それは、流しにある蛇口の根元あたりに取り付けて、食洗機が自分の判断で水を内部に汲んでくれるようになる部材である。蛇口は今まで通り普通に使える。蛇口の根元に取り付ける関係から、操作するハンドルの位置がやや(製品によるが、4~6cm程度)高くなるが、実際使ってみると違和感はほとんどない。それよりも何よりも、食洗機に水を汲まなくてよくなる!文字で書くとそれだけに見えるかもしれないが、文字通り「労働からの開放」が実感できる。皿洗いから開放されても、新たに水汲みに従事していた自分が開放される喜び!これは是非味わって欲しい。個人的には食洗機そのものより分岐水栓を取り付けた時の喜びが大きかった。
まあ、タンク式じゃない自動給水タイプの食洗機は最初から分岐水栓が必須なんだけど。

さて、分岐水栓である。分岐水栓はご家庭の蛇口によって必要な物が異なる。なので、あらかじめ自宅の蛇口に合う物を調べておくとよい。幸いなことにパナソニックによって検索サイトが用意されているので、調査は難しくない。蛇口本体に型番のラベルがあれば、それを打ち込むだけで調べられる。だいたい1万円~1万8000円くらいのようだ。食洗機本体とは別に買う必要があり、高額と思うかもしれない。しかし、食洗機導入のコンセプトである「労働からの開放」のためには絶対に必要なアイテムだ。これがあるとないとでは食洗機は存在意義レベルで別物になってしまう。食洗機設置の最大の壁は分岐水栓なのだが、このタンク式食洗機のレンタルとは「分岐水栓を買いたくなるための仕掛け」と言っても過言ではない。

分岐水栓はあまり店頭在庫を持たれないタイプの部材なので、自分で取り付けられるなら通販での購入がよいだろう。安い店だと発送まで数日かかるのが普通なので、その間は屈辱に耐えてタンクに手で水を注ごう。

さらにタンク式の食洗機には「分岐水栓に取り付ける水道ホース」がついていないので、それも買う必要がある。これは標準の1.2mのものが2000円くらいである。

分岐水栓の取り付けは、自分でやった限りはさほど難しく感じなかった。だが、ウチの場合は手持ちのモンキーレンチだと口径不足だったので、新しくモーターレンチ(2000~3000円程度)を買う必要があった。また水道を扱う以上、元栓を閉めるなどの準備をきちんとしないと大惨事になる。うちの場合は蛇口が比較的新しくて固着などもなく、スムーズに外せたのも大きい。少しでも自信のない方は業者に頼んだほうがよい。

分岐水栓がついたら、その瞬間からタンクに水を注ぐ労働から開放され、食器と洗剤を入れ、フタを閉めてボタンを押す……それだけで食器が洗われるようになる。それこそが食洗機の真の力である。おめでとう!君は労働から開放されたのだ!

5.返却(解約)の流れ

さて、分岐水栓と共に食洗機の本当の力を実感できた頃には1カ月が経過して、食洗機の本格導入を決めるべき時が来ているだろう。何だったらもう1カ月くらい悩んだっていいのだが、決断には潮時というものがある。

定額利用サービスの解約について

このページに書かれているように、毎月20日がその月の解約の締め切りである。手続きはやや手間がかかるので、安全を見て数日前に行っておくとよい。Webで「解約問診票」への回答(故障がないかのチェック)と、「回収キット」の申し込みを行う。回収キット自体は無料だが、なぜか送料が330円かかる。そして、解約を申し込んだ翌月5日までに返却が必要となる。そのため、実際に発送するまで多少余裕ができる。返却が遅れると翌月分を請求するとあるが、実際のデッドラインがいつなのかはよく分からない。回収キットが到着次第、早く送るのがよいだろう。

解約時返送について

回収キットが発送されて、到着までは1~2日かかる。
さらに手元で梱包して発送後、回収先に到着して5日ほどで「返却完了のご連絡」というメールが来る。発送したものに不備がなければ、それから1日ほどで「サービス解約手続き完了のご案内」というメールが来て、めでたく解約完了となる。
ちなみに一番額の大きい解約手数料(2720×2=5440円)がクレジットカードで請求されたのは解約の翌月であった。これについてもメールが来るので、忘れないようにしよう。

6.自動給水式食洗機への買い換えについて

さて、レンタルできるタンク式食洗機「NP-TSP1」には姉妹機と言うべき機種がある。「NP-TSK1」だ。PとKの1字違いだが、Pがタンク式、Kが分岐水栓のみ使用できる自動給水式となる。まあ、Pも自動給水にできるのだが、タンク式は自動給水式と比べて下が長い。水を溜めるタンクの分だけ高さが大きい(+給水口の分だけ前にも出っ張っている)のだ。そして他のスペックは全く一緒である。内部の寸法から、本体の足の位置まで一緒だ。分岐水栓を導入してタンクを使わないのであれば、そのスペースは邪魔なだけになる。

パナソニックのプレスリリースより。

「なら、自分で買うには自動給水式が良いのでは?」と思うのは必然である。高さが低いので、レイアウトの自由度も上がる。ついでに値段も自動給水式のほうが安い。自動水栓をつけたNP-TSP1で問題なければ、買うのはNP-TSK1だ。

さて、自動水栓をつけてしまったNP-TSP1からNP-TSK1に買い換えると、分岐水栓につけるホースが標準でついてくる。ついてくるけどもう持っていれば要らない。いまさら新品に交換しても仕方がないので、メルカリででも売ろう。

7.その他小ネタ

7.1 「専用洗剤入れ」の謎

正直、パッと見でどういう意味なのか分からない。

この食洗機には扉を開けたところに「専用洗剤入れ」というモールドがある。当初、あまりに漠然としていて意味が分からなかったのだが、「このへんに入れる」程度の意味でしかない。洗剤は液体の物と固体のものがある(本体についてくるサンプルにも両方のタイプがある)が、どちらも底に到達していればどこから入れようと気にしなくていい。

7.2 レンタルで返却する物・しなくていい物

食洗機本体は当然として、排水ホースや吸盤(排水ホースの固定用)も返却の必要がある。吸盤は小さいし、使わなくてもいいので返却時になくしているかもしれない。そういう時は新品で買った本体に付属している物をつけるしかないだろう。

返却時の梱包手順書と注意書き。回収キットに付属している。
排水ホースと吸盤

逆に、専用置台「N-SP3」は返却しなくていい。これは返却時に始めて知った。説明書はよく分からないので同梱してしまったが、それよりもレンタル費用に入っている置台を返さなくていい、と明確に記載されているのは驚きだ。月額150円(差額分)、解約手数料分を含めても450円払っただけなのに本来4000円くらいの物を貰える、というのはなかなか大盤振る舞いである。だったら回収キットの送料330円なんて取らなくていいんじゃ……と思うが、まあ気にするまい。たぶん、どうしても水がかかって跡がつくので回収する意味は薄い、という判断なのだろう。ちなみにこのN-SP3を調べたら、中古でもヤフオクで1500円くらいで売れていた。ええのか、これ。

専用置台N-SP3。ステンレスの板にゴム足がついたもの。

7.3 返却伝票の書き方

返却時に宅配便の伝票を書くが、伝票の品名蘭に「契約番号」を書く必要がある。のだが、なぜか下記のページにしかその記載がない。

解約時返送について

契約番号を伝票にも書けというのを見た記憶はあるのだが、メールや回収キットの説明書には記載がなく、あれこれ探してしまった。返却をスムーズに済ませるためにも、これは忘れずに書いておこう。契約番号はメールやWebから確認できる。

7.4 新品の食洗機を安く買う方法

基本的に、価格.comなどで調べて安値のところを探すことになるだろう。
パナソニックの食洗機で気をつけたいのは、ヨドバシカメラやビックカメラなどの量販店で「ポイント対象外」となっていてポイントが一切つかないことがあることだ。理由はよく分からないが、ここはよく確認しておきたい。「10%ポイント分を加味すれば最安値」だと思っていたらポイントがつかず結果割高、みたいなことがありうるのだ。逆に通常ポイントがつかない場合でも、期間限定でポイントがつく場合もある。現に、今(2024年3月上旬)だとNP-TSK1はビックカメラだとポイント対象外だが、ヨドバシカメラだと7000ポイントプレゼントのキャンペーン中だった。

それ以外の店だと、ごくごく稀なのだが「間違って一度開封してしまった新品」といった物が格安で楽天市場等に出ることがある。私が見た物は新品より2万円くらい安かった。こうした出物は時の運である。出会いがあったら幸運、くらいの気持ちで探そう。

パナソニックのプレスリリースより。

あとは、同型でも色違いの値段が違うことがある。NP-TSK1は「-W」(ホワイト)と「-H」(スチールグレー)の2色がある。色による価格差は洗濯機などでも起きるので、こだわりのない人は両方で探してみるとよいだろう。水を扱う家電は白い水垢がつきやすく、それが目立たない白色が好まれる傾向があるため、多少であるがグレー系を安く売っているのも何度か見た。

7.5 設置場所の採寸はしっかりと

この記事を読んでいきなりレンタルを申し込んでしまう人はいないと思うが、巻尺などを使ってシンク周囲の採寸はしっかりとしよう。パナソニックのスリム型食洗機は今まで食洗機を置けなかった家庭への導入を意図して設計されてはいるが、置く場所があるかどうかはそれぞれの家庭事情で異なる。ちなみに販売店に行くと実物大の大きさを書いた紙を配布している。蛇口からの距離も大事だ。その結果に応じて専用置台をレンタルに含めるかどうか検討しよう。

なお、うちはレンタル時には専用置台の上に設置し、返却後にNP-TSK1を購入した際に別の台を購入した。川口工器の伸縮式ラックである。これは奥行きが短いNP-TSK1用にピッタリである。

8.おわりに

というわけで食洗機レンタルから本格導入までの解説でした。食洗機は今日も元気に食器を洗ってくれています。ただ、うちの食器類はテキトーに買い揃えたので食洗機に綺麗に納まらないものが結構あり、食洗機の説明書にあるようにピッチリと綺麗に入らないのだ……次の課題は「食洗機に合わせた食器を買うかどうか」である。そのへんはもしも機会が来れば記事を作りたいと思います。

NP-TSP1とNP-TSK1の説明書。表紙の写真が違うが、この二つを同時に見る機会は少ないだろう。レンタルして新品を買った証である。

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