映画村!親子愛!全フォーム!小林靖子コンボ炸裂の夏映画「仮面ライダーオーズWONDERFUL将軍と21のコアメダル」観たよ。

 大体12年くらい前の映画だったろうか……? 今調べ直したら11年の映画だったので、まぁ、2023年の今から遡れば12年前だ。
 リアタイしていた当時は「800年前の王とかも出てくるのかな~」って思ったのも今では干支一周前の話って訳だ。駆け抜けろそのクロニクル。当時はまさかその800年前の王が登場する話があんな風になっちまうとは夢にも……いやもうよそう……時が経てば「復コア」を許せる日がオレにも来るかも知れない……! いつかの明日で……!



 はい。

 それでも地味に2、3回くらい観た記憶があるんだけど、先日「仮面ライダーオーズ」一気観!(で良いよね?)の流れで再度観る事にしたよ「劇場版仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル」。

 ところで前年は「劇場版仮面ライダーW FOREVER 運命のガイアメモリ」だったので、もしかしたらそんな感じで「ライダー名+英単語+サブタイトル」という夏映画のタイトルテンプレを根付かせたかったのかも知れないんだけれど、この翌年は「劇場版仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ!」なのでなんか普通に落ち着いちゃってるんだよな。
 更にその翌年は「劇場版仮面ライダーウィザードin Magic Land」だったのでもうこの流れがWとオーズだけだったんだろうね。

 フォーゼやウィザードに当たる「FOREVER」や「WONDERFUL」は何が来たんだろうな……そういえばウィザード辺りから平成ライダーに関心が薄れてきたので、ウィザードの夏映画は観に行ってないな。


 話を「劇場版仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル」に戻そうよ。にしても長っげえなこのタイトル。

 ところが、これがね……! 結論から書くと「手堅くまとまった夏のライダーエンタメ映画」なんだよ……とはいえ今作の一番キャッチーな要素は「暴れん坊将軍」とのコラボだ。これがもう全部かっさらっていくようになっている。これはもう仕方ない。
 サブタイトルにも入ってる。
 Wでならガイアメモリくらい、いや運命くらいの比重の大きさだよ。

 そりゃあ、もう、あなた、あの松平健さんが「貧乏旗本の三男坊、徳田新之助だ」って言いながらハッハと現れて、バースに変身した映司とヤミーのバトルの結果転がった一枚のセルメダルを拾い上げて
 「ふむ……? むぅ……ッ?」
 みたいな表情を浮かべるだけで既にオモシロい。
 (そしてこの時の表情の演技がまた絶妙にお上手)

 仮面ライダーは若手俳優の登竜門と呼ばれがちだからこの例え方をするんだけれど、高校球児に混じって伝説的メジャーリーガーがプレーしてるくらいのオモシロい絵面になってしまっている。
 オーラングサークル(※)と共に三つ葉葵が光る絵面とか誰が考えたんだよ。

 ※オーズの胸のアノ紋様


 で、しまいには仮面ライダーと一緒に悪玉と戦ってくれるとかオモシロ過ぎるものな。この松平健さんの演技だけでガーッと記事が書けてしまう気がするし、実際ここまでその事に多めに触れちゃってるんだけれど、キチンと「夏のライダー映画」としての良さも抑えているのがこの映画の良い点だと思う。
 しかもこれで60分と少し(ディレクターズ・カット版で72分とかか)なんだから、濃い映画ながら思った以上にスルッと楽しく、「良かったね~」って言い合いながら終われるバランスの良さに仕上がっている。
 レジェバタ」の3分の1だぞ1時間映画なんだから。
 じゃあ「
レジェバタ」はこの3倍面白かったって言うのかよ。

 この「夏のライダー映画」という言い方をしているのは、前年のWから仮面ライダーは9月スタートになった事もあり、「一年のドラマの集大成」という側面が強くなったからだ。
 つまりもうネタバレはない。最強フォームだって出せるし。
 時系列的には明言されてないものの、映司の中に恐竜のコアメダルが既に入っているので40話前後くらいかなぁ……。
 あとまたWの話をしていいよね? 劇場版で壊された風都タワーがTVシリーズ版でも修復中になってる描写とか凄く好き。

 うん。
 逆に言えば最強フォームが映画でちょっとだけ観られるぞ! みたいな特典感とは引き換えになったんだけど、お陰で作る側演じる側も観る側も、じっくりどっぷりその年のライダーを楽しんでからの劇場版! オーレ! って導線が出来たのが良い。成敗! いや別に毎年成敗はせんが。


 続いて、キチンと親子愛をテーマの一つに盛り込んできている。
 落ち着いて考えればメイン客層に当たる子どもたちが一人で映画館に来るはずがないので、そこには当然保護者の方……一番多いのはご両親だろうかな……が観に連れてきてくれるものなんだろうけれど、そうした保護者さんが観ても楽しめる、心温まるテーマを盛り込んできているのは良く言えば優れたバランス感覚なんだと思うし、悪く言えばビジネス的なものも感じられる。
 脚本の小林靖子さんは電王の頃から映画村ロケ! 親子愛! 全フォーム集合! を得意技のように劇場版で繰り出してくる人だなと思っていたんだけれど、これはこれで一つ手堅く間違いない手法なんだよなって。

 というか前述のビジネス的なものをキチンと面白い特撮ドラマに落とし込めるというのは言うまでもなくスゲー事だと思うので、実は別にそんなに好きじゃなかった小林靖子さんの脚本の事をこの数ヶ月ほどでモリモリ見直し始め……言い方が良くないな、ようやく良さが分かるようになってきたのか。いや、時代がオレに追いついたんだ!(加賀美新)

 この辺の感覚は例えばブレイドの「Missing Ace」やファイズ「パラダイス・ロスト」、カブト「GOD SPEED LOVE」ではまだ持ち得なかった感覚で、この3作はあくまで「TVシリーズの結末のIF」だったり「TVシリーズのパラレルワールドでのライダーの戦い」を描いたものだったので、それと比べれば保護者さんも一緒に楽しみやすい映画に仕上がっていただろうな、と。
 いや、まぁ、もはや当時の時点でハイティーン~20代とかになっていた私としてはそれらの映画もムチャクチャ楽しく観られたんだけどね。仮面ライダーはあくまで子どもたちのための映画で、子どもたちが主役だからね。

 この頃はディケイドの劇場版「オールライダー対大ショッカー」で培ったシニア層の心の掴み方みたいなのをそろそろライダー映画自体が修得しつつある時代だったんだと思う。
 保護者さん世代が楽しんだ往年のヒーローが今の子どもたちのヒーローと共演! 同じく新旧織り交ぜたもっとすごい悪の組織と大バトルだ! みたいなやつよ。

 この辺は後年始まる「スーパーヒーロー大戦」系列の映画や、私が個人的にムチャクチャ好きな「海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」にも通じるものがあるよね。
 もっとルーツを遡るのなら「ウルトラマンVS仮面ライダー」とかもあるし、バンプレストのゲームではSDサイズのガンダム、ウルトラマン、仮面ライダーが共演する「ザ・グレイトバトル」を始めとするコンパチヒーローシリーズがあったりもするけれど、その辺まで書き始めるともう別の話になるから今日はこの辺で切るよ。

 この後に40周年映画「レッツゴー仮面ライダー」だったり、次のライダー・フォーゼと共演する「MOVIE大戦MEGAMAX」、今度は戦隊ヒーローとも共闘する「スーパーヒーロー大戦」などなど、火野映司の旅はもう何作か続く事になるんだけれど、それはまた今度観よう。

 ていうか「レッツゴー仮面ライダー」が11年前の作品なんだよな!
 「BLACKSUN」と「シン」が50周年作品なんだからさあ! ヒャア!!

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