今こそつらつら語りたい「魔界塔士 Sa・Ga」

 自分用の備忘録として。
 GB発のRPG「魔界塔士 Sa・Ga」について書いておこうと思う。
 なんとスクウェア初のミリオンセラーだったりもする歴史的タイトルだ。

 発売年が1989年なので、2022年(の年の瀬)ともなれば実にもう32年も前のゲームなんだね。
 今でこそGBのRPGと言えばポケモンが代表格だと思うんだけれど、初代ポケモンが発売になったのが95年とか、96年とかそのくらいの事なので、まだまだGBの可能性みたいなのは見えてなかった時代……というか、「ポケモンの人気でGBごと爆発的に売れてしまってGBというハードそのものが息を吹き返した」というのが時代背景的には正しいんだろうか。
 15年ほど前のPSPとモンハンみたいな関係性だね。
 その後にポケモンフォロワーとして「メダロット」だったり「ゲゲゲの鬼太郎~妖怪創造主現る!~」だったり、そういうゲームが出ていた気がするんだけれど、話がまた逸れていくからその辺の事はまた気が向いたら書くよ。


 とにかく今回は「魔界塔士Sa・Ga」(もう以下面倒臭いんで初代サガとかそういう表記にします)の事を書きたい。
 1986年生まれの私はポケモンが出るまで主にサガばっかりGBで遊んでいた気がする。セーブデータは一つしか作れなかったから、5つ年上の兄が飽きた後にセコセコと遊び始めたんだったかな。

 もはや古典過ぎるゲームなのでボンヤリとあらすじを知っている人も、そうでない人もいるだろうから、簡潔にどんなストーリーかも書いておこう。

 世界の中心に楽園に通じると言われている塔が立っていて、その塔の謎に主人公がギルドで募った仲間たちと挑んでいく物語。
 本当にザックリと書くとそれだけのお話。

 塔の各階にはそれぞれ世界が広がっていて、その各階の謎を解いて少しずつ登っていく……って書いていくとSAOのアインクラッドみたいな感じがちょっとしてきたんだけれど、実際に冒険を進める世界は1、5、10、16の4階層くらいで、後は小さなマップの小世界とも呼べる階層で構成されている。
 この1、5、10、16階にはそれぞれ玄武、青龍、白虎、朱雀という四天王が存在していて、それぞれが守っているクリスタルを入手すれば次の階への……玄武を1階で倒せば5階まで登れる……扉が開く、という仕組みだ。

 各階の世界は続編の「2」程ではないにせよバラエティに富んでおり、オーソドックスな中世欧風RPG的な世界から、浮島に乗って海原を進んだり、海中に潜る世界。雲の上に存在する街々をグライダー(飛行機)に乗って飛び回る世界、それにバイクに乗って駆け抜ける荒廃した近未来風の世界だったりが存在する。
 小世界も「食べて、寝て、夢を見る。素晴らしい生活さ」と言って住人たちが過ごす文字通りの楽園のような世界だったり、かと思えば悪魔たちが支配して住人たちが責め苦を受け続ける地獄のような世界、終盤には何とか子どもたちを避難させたものの飢え死にした父親が核爆弾(最強武器の一角~!)を持っているシェルター世界だったり、色んな世界が「各階」というまとめ方をする事で一本のゲームの中に収まっている。

 この「複数の世界観が違和感なく一つのゲーム内に存在する」やり方は続編の「2」の「天の柱によって繋がった幾つもの世界」だったり、PS版「サガ・フロンティア」の「混沌の海の中に浮かぶ無数のリージョン(領域)」だったりと、サガの伝統のようなところはある気がする。
 だから武器だって「ロングソード」から「手榴弾」に「ビームライフル」。「与一の弓」「核爆弾」果ては「エクスカリバー」なんかが共存できる。なんでもアリのゲーム性だ。愛しい。


 主人公は三人の仲間を募って四人パーティを組んで世界と塔の謎に挑んでいくんだけれど、ここではキャラメイクならぬパーティメイクができる。
 古くは「ウィザードリィ」、DS時代なら「世界樹の迷宮」に近い感覚だけれど、「サガ」の場合は職業ではなく種族だ。

 初代サガは人間(男女)、エスパー(男女)、モンスターの3種族の中から主人公を含めて4人を選ぶ事ができる。
 各種族の特徴はザッと書くとこんな感じ。


・にんげん
 装備枠が8つ。男女の違いはせいぜい初期の力(攻撃)と素早さがちょっとずつ違う程度。
 「HP200」や「ちからのもと」「すばやさのもと」と言ったアイテムを与える事で成長する。

 バトルでの役割は豊富な装備枠を活かした物理アタッカー。
 単体向け、グループ向けの武器はもちろん、資金面で余裕があるなら後半は敵の弱点を衝く属性武器を複数持たせるのも良い。
 初期に限っていえばポーションを持たせていざという時の回復を担当させても良いだろうけれど、中盤以降はエスパーの「ケアルの書」の方が回数や回復量的に有利なのでそちらを頼る機会が増えてくる。
 反面、魔力は全く上がらないので魔法の書は持たせても意味がない。

 前述の「HP200」とは文字通り1つ与えると10~20程度の最大HPが上昇し、HPが200を超えると急に1しか伸びなくなるアイテム。後に同じ方式の最大HP強化アイテム「HP400」「HP600」が登場していくので、事実上のレベルキャップのような役割だ。新しい「HP○○○」が登場すればお金さえ貯めれば即最大HPを強化できるものの、600以上は1ずつしか上がらなくなるのでカンストのHP999にまで上げるのは苦行。
 せめて「HP800」まで売ってくれればなぁとは今でも思う。

 逆に「ちからのもと」「すばやさのもと」は1階から売っていてカンストは99なので、頑張ってお金を貯めれば1階の時点で力(攻撃)と素早さはカンストまで伸ばす事も可能……まぁ、1階は敵が落とすお金も少ないので、私は大体5階でお金を貯めてカンストまで伸ばしていたけれど。


・エスパー
 装備枠は4つと人間の半分だけれど、もう4つはエスパーならではの「特殊能力」を習得できる。
 戦闘後にランダムで各パラメータが伸びていく上、前述の特殊能力の習得もそのタイミングで行われる。ので、なんか気付いたらパラメータが伸びてたりしている。
 最終的に全てのパラメータがカンストしてしまう最強の存在。
 ……というか、最近遊んだのが後期ROM準拠の「サガ・コレクション」収録版だったからかムチャクチャ強くなったんですけれど、子どもの頃に遊んだ初期ROM版だと全然HPとかも伸びなかったり特殊能力はテレパシーとかばっかりだった気がするんだけどな。

 バトルでの役割はオールラウンダー。最強の勇者。真実の王者。
 苦戦するのって本当にパラメータが伸びてない、お金がなくて魔法の書が買えない最序盤くらいなんじゃないかエスパーって。

 魔力が伸びるので魔法の書を持たせてガンガンとグループ攻撃を仕掛けていってもいいし、魔力依存武器のサイコダガー、サイコソードを振れば単体相手だってリーズナブルに戦えるし、ここぞという強敵には最強の魔法・フレアの書を持って全体に大ダメージを与え続ける事もできる。
 なんなら力(攻撃)や素早さも伸びてくるので人間と同じように物理攻撃をさせても遜色ない活躍が可能。

 回復面だって他の使い捨てアイテムのポーションやハイポーションが使用回数3回にも関わらずケアルの書なら30回使えるからアイテム欄的にも断然お得だし、装備枠が少ないという唯一の弱点も最終盤になれば兜・鎧・篭手・靴の4箇所を1つで補える全身鎧が登場してしまうので解決。

 いや書いてて本当に隙がない種族だなと思ってしまった。
 これ本当に初期ROMと後期ROMで成長速度にテコ入れ入ったんじゃないんですか??

 弱点と呼んで良いのかちょっと微妙だけれど、強いて挙げるなら特殊能力が勝手にランダムで入れ替わる点かな。
 せっかく使い勝手の良い全体攻撃系の特殊能力なんかを習得しても、どこかのタイミングで勝手に忘れたり別の役に立ちにくい特殊能力と入れ替わったりはよくある話。「2」だとどの能力と入れ替えるか選べたりもするんだけれど初代サガにそんな器用な真似はできない。

 とはいえ、ハナから特殊能力のみを頼りにした装備にしていなければ済む話なので、そこまで弱点と呼べる程の弱点でもなく……。


・モンスター
 装備という概念がそもそもありません。
 種族ごとのパラメータと手持ちの能力で戦います。

 バトルでの役割はなんなんだろうな?
 サガは戦闘後に入手する事ができるモンスターの肉をモンスターに食べさせる事で別の種族のモンスターに変化するので、そのモンスター毎に出来る事がそのまま役割です。だから主にアタッカー……?
 一応、種族によっては回復能力を持っているモンスターもいるので、そういう場合は回復薬もこなせます。

 モンスターの成長の概念がこの「食肉による変化」で、それでも面白い事に1階の時点で現れるモンスターの肉を順序よく食べていく事で序盤から終盤でも通用する強力な種族に変化できたりもする。
 (今は検索すれば幾らでも肉の食い合わせの表なんかが出てくる時代よ)

 こうなると高いパラメータを活かして10階くらいまでは無双もできる。
 それにモンスターは装備の概念がないからノーコスト。

 ただ強力な技を持った種族が殆ど居ないのでラスボス相手なんかだと正直火力不足が否めない。最高レベルのモンスターであっても使える技が「つめ」「キック」「つるぎ」とかでいまいちパッとしない。
 攻略に徹するって遊び方なら終盤はエスパーと入れ替えた方がラクなんじゃないかな。
 あくまで序~中盤にノーコストで活躍してくれる種族、って割り切った方が攻略するだけなら正解な気がしなくもない。それでも肉の食い合わせによっては強くない種族になってパーティの足を引っ張る局面もしばしばあるけれど。

 まぁでもこの食肉のバクチ性がサガの面白さの一つだとも思うのと、このゲーム自体がラスボス以外は普通に遊んでても大して苦戦しない程度のバトルバランスなので、一体は入れてバクチ性も込みで楽しみながら遊ぶのは個人的に全然面白くて良いと思う。




 いや種族の説明だけで思いの外、尺を割いてしまったな。
 あとやっぱり「サガ」を語る上で欠かせないのは「セリフ回し」だろうか。

 お店に入れば「なんの ようだ!」
 お金が足りなければ「おいっ ぜにが たんねーぞっ!」と叱責され、
 酒場で気に入らない相手に絡まれれば
 「しずかにしろよ さけがまずくなる」とケンカを売り、
 ガラの悪い奴らに女の子が絡まれていたら
 「ガルガルやろうといいおんなと どっちがすきだ?
 「きくまでも なかろうよ!」
 と女の子を助けに飛び出す。 

 「バカめ! おまえのバリアは やくにたたないんだ!」とどう考えても敵方のセリフにしか思えないようなセリフを敵に言ってのけ、
 ついさっきまで仲良くしていたはずの相手だろうと殺されてしまえば
 「しんでるぜ」の一言で済ます。

 昔のゲームは容量との戦い! というのは子どもの頃からウスボンヤリと理解していたにしても、このザックリとした荒っぽいセリフ回しはもう初代サガの見どころの一つと言って良いんじゃないかってくらいに好き。


 タイピングもそろそろ疲れてきたんで〆るんですけど、
 ラスボスの「かみ」は敵を一撃で倒すチェーンソーでバラバラにできます。今も語り継がれている有名なバグ……後に仕様となるアレ。というか、たぶん結構キッチリ鍛えてないと正攻法で勝つのはちょっと難しいくらいのバランスなんだよこのゲーム。
 こちらのHP上限は999だけど中盤以降は毎ターン250~300前後のダメージの全体攻撃を撃ってくる割にはこちらには全体回復手段がないので自動的に速攻を強いられるんだけれど、運が悪いと相手がHPを満タンまで回復させたりするので。
 (でもドラクエ2のラスボスもそうだったし、結構昔のゲームにそういうのってありがちなのかも知れない)

 ある程度削った後は1回切りの「核爆弾」や「ガラスの剣」でガッッッと一気にHPを削り切って回復の暇を与えないとか、そういう攻め方に緩急をつける工夫が地味に必要だったりする。そういうゲーム。


 機会があって気が向いたら次は「サガ2」を書いて、あと今遊んでる「サガ3」もどこかで書きたいなあ。


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