それは”新たな英雄”に捧げるエールなのだろう~モンハンを代表する名曲「英雄の証」について。

 モンハンライズを初めて早いもので一ヶ月近くが経過した。
 2023年12月25日現在で、進行度は里クエを全クリし、先日集会所の上位★7まで進んできたところだ。

 ★7まで来たという事は、すなわち、アレである。
 既に販売から2年も経過しているゲームなのでネタバレも今更な気はしているんだけれど、まだ遊んでいない方もいらっしゃるだろうから軽くボカして書くと、里に迫る脅威・百竜夜行の原因が解明され、その原因とされている巨龍を退けた……そんな頃合いだ。

 またネタバレを重ねると、この緊急クエストでライズでは初めて「英雄の証」が流れた。酒を飲みながら遊んでいた事もあって涙が出そうになった。
 
そう、基本的に私は「モンスターハンター」というゲームを「新たなる英雄譚を創る物語」だと思っていて、そこに通奏低音のように「生命そのものへの敬意」のようなものがあると感じている。

 そうした猛々しいハンターとしての躍動感と生命への敬意が感じられる、まさにモンハンを代表する名曲だと思っているのがこの「英雄の証」だ。
 タイトルを聴いても名前にピンと来ない人が居ても、聴きさえすれば「あぁ~この曲ってそんな名前なんだ」って分かって貰えるはずだろう。そういう曲。

 そう、「英雄譚」であるよ。
 例えば昔々のモンハンでも、主人公ハンターが赴任してきた村には前世代の英雄である村長がいらしたり、先代のハンターは村の宿敵との戦いの末に深手を負って引退に追い込まれたり……と、主人公ハンターが現れる前から当然ながらモンスターとハンターの戦いの歴史、活躍、英雄譚がある。
 そこに主人公は一介の新人ハンターとして物語の舞台に現れ、カンタンな採集クエストから小型の肉食竜や怪鳥、飛竜らと戦い、最後はその土地の因縁の相手との決着をつけたり……最後は大陸や大都市を揺るがすほどの危険な、災害級の巨龍と対峙し、それを退ける事で英雄となる……!

 そういう、そういう物語だと思っている。
 今でも「P2ndG」の最終クエストをクリアした時の「あなたこそが万夫不当の狩魂、モンスターハンターGよ!」とギルドマネージャーが言っていたのを印象的に覚えていて、物凄い達成感があったのを覚えているくらいだから。

 人々の営みを守れ!
 巨龍を退けて伝説を塗り替えろ!
 新たなる英雄譚を創れ!
 A New Hero. A New Legend. ……そんな物語だと。
 そう感じたんだった。

 なので、今作もそういう物語を感じられて、少し……いや、やっぱり嬉しかったんだと思う。「俺が大好きだったワクワクの冒険物語が、まだ現代も形を変えながらしっかり残っている!」って実感できたことが。


 それが実感できた瞬間が、この「英雄の証」が流れた瞬間だったんだと思う。
 初めて聴いたのは……あ、いや、「P2ndG」のオープニング映像やプレーヤーセレクト画面……といえば身も蓋もないんだろうが、老山龍ラオシャンロンを砦から守る「巨大龍の侵攻」……クエスト名まで正しいかどうかは覚えてないけれど、要するに、それだ。
 実に70メートル弱もある巨大龍・老山龍ラオシャンロンは、その大きさ故に移動するだけでも大災害級の被害を周りにもたらすため、その侵攻ルートにある人里はたまったものではない……という事で、砦を構えて(って経緯であってたっけ?)人類側も応戦する訳だけれど、小さな小さなハンターはそこで自慢の武器を用意したり、爆弾を大量に用意して対抗する。

 それでも侵攻が止まらない老山龍ラオシャンロン最後に登場するのが必殺兵器の撃龍槍。
 これは砦に備え付けられた兵器で、カーンッとボタンを押すと巨大なドリル状の槍が飛び出して老山龍に襲いかかり、ヒットすれば目標達成に大きく近づけるだけの大ダメージを与えられるんだけれど、これがヒットした際に初めて「英雄の証」が流れるようになっている。

 まさに、まさにこの盛り上げ方が私は大好きでだな……。
 規格外の巨大龍の侵攻に人類の最終兵器がヒット! 今こそ巨龍を退ける時! 新たなる英雄譚を創り上げろ! ……と、物語が背中を押してくれる、そんな気持ちになれるからなんだろう。

 モンハンは、今はどうかは知らないけれど、15年も前は比較的……プレーヤーを引き離したような、少しシビアなバランスだったと記憶している。まぁ、その、ある意味で「放り出された感」がプレーヤーの自発的な遊び方や楽しみ、攻略の見出し方を喚起したんだろうなって今は思うけれど。
 かくいう私だって当初は流行りに乗って遊んでみたものの、難しい、とっつきにくい、ちょっと不親切なゲームだなって思った事だってあった。

 でも、だからなんだろうかな。
 厳しい険しいゲーム環境、モンスターとハンターの世界が、初めてプレーヤーの背中を、目的に向かって強く押してくれた瞬間に感じられたのかも知れないし、それがとにかく嬉しくて、ワクワクして、奮い立たされたのを覚えてる。

 何度でも書くが目の前の老山龍ラオシャンロンは規格外の巨龍だ。
 爆弾なんて全部使い果たしちゃったし、手持ちの弾丸だって調合分込みで殆ど掃き切っちゃったし、じゃあそこからどう戦う? どうやってこの巨龍を退けろってんだよォーッ! って焦りまくりながら、祈るような気持ちでとにかく弱点……と思しきデカい腹に向かって通常弾を撃ちまくってた。
 で、ようやくタイムアップ! ……討伐とまではいかずとも体力を一定量以上削りきったから手負いの老山龍ラオシャンロンは引き返していくぞォーッ! ってなった時のアノ達成感よ……。

 と、同時に「コイツを討伐する事なんて出来るのか?」「出来たらどんな素材が剥ぎ取れるんだ?」「その為にはどのくらい火力を積めば良い?」「効率の良い弱点や属性は?」だとか、色んな事がドンドン浮かんできて仕方がなかった。
 クエスト終了と共に「英雄の証」は流れ終わったけれど、新しい狩りへの衝動は鳴り止まなかった。そんな鮮烈なゲーム体験。


 こうなると、20代前半の若造はこの体験は中々忘れられない。
 それから15年ほど経った37歳になってもこうだったんだから、きっと、まぁ、今後もそんな瞬間が訪れたって、何ら不思議ではない。

 そしてきっと私は、聴く度に背中を押されては鼻の奥をツンとさせられる。
 雄大なゲーム環境が魅せてくれる、”新たな英雄”の背中を押してくれる、この力強い激励の音曲エールに。









 遊びはじめて一ヶ月くらいが経過したから今作のモンスターに関するヘビィガンナーなりの所感インプレッションを書くつもりが「英雄の証」名曲過ぎるだろ! みたいな文章になった。
 あ、ビシュテンゴとかゴシャハギ、ヤツガタキ辺りは割と戦ってて面白いと思います。でもラングロトラは相変わらずむちゃくちゃヤなヤツ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?