大人も子どももワクワクできるエンタメ大作映画「スーパーマリオブラザーズ」観てきたよ。

 いややっぱり気になって仕方なかったんだよマリオ。

 「(GWに)行きたいところない?」って聞かれて
 「す、スーパーマリオの映画…………」って返す程度にはさ!


 最高のエンターテイメントだったと思う。
 
(こういう事をこの人は軽率に言います)

 だから観てきたよ。マリオの映画だよ。
 1986年生まれの私からすれば、1990年にスーファミと同時に発売された「スーパーマリオワールド」を夢中で遊んだものだったし、何なら今でもまぁまぁ上手だし、コミックボンボンではマリオの漫画もムチャクチャ読んだりしてる世代な訳なんだよ。
 後はハリウッド版の実写版「スーパーマリオ 魔界帝国の女神」なんかも小学生の頃に友達の家で観た気がする……「スーパーメトロイド」とか「ドラクエⅤ」を一緒に遊んでくれて、香川県に引っ越しちゃった明石くんの家で。

 いや、まぁ、そこは一旦今は良いよ。
 と言っても、何せファミコンの時代から任天堂と日本のゲーム業界を牽引していたスーパースターコンテンツなので、私とは別の世代にはその世代の方の楽しみ方や楽しい思い出があるだろうなぁ……とも思うし。それでも、私は私として一気に引きずり込まれる、面白い映画だったと思う。


 まぁ、もう、ネタバレ込みで書くので。
 そういうのが気になる方は今は読むのを控える方が良いかも知れない。








 物語の冒頭をカンタンに書くと……。

 ニューヨークのブルックリンでそれまでの会社から独立し、二人で配管工を始めたマリオとルイージの兄弟。TVCMも作ってさぁ頑張るぞ! と意気込むものの、なかなか仕事は上手くいかない。
 ある時、ひょんな事から街の水道管破裂事故の現場を修復しようとするが、二人は地下水道にあった不思議な土管に吸い込まれてしまう。
 吸い込まれて行き着いた先は、マリオがキノコ王国。
 ところが途中ではぐれてしまったルイージはクッパの支配する暗黒の領域に。そして案の定クッパの手先に捕まってしまうルイージ。
 マリオたちの住む現実世界とは違い、キノコ王国の存在するこの世界は今、大魔王クッパが率いる軍団によって侵略を受けているのでした。
 クッパは物語の冒頭で雪に閉ざされたペンギンの国から秘宝の「スーパースター」を奪い、愛するピーチ姫に求婚すべくキノコ王国に進軍を始めたところでした。

 そんな折りにキノコ王国に辿り着いてしまったマリオ。
 非好戦的なキノコ王国の住人にしては珍しく冒険を愛するキノピオの案内で、弟と探す為に王女であるピーチ姫に助力を請いますが、話をしたところルイージはクッパに捕まってしまったであろう事が濃厚に。
 また、ピーチ姫もクッパの魔手から国を守るという点で目的が一致。
 こうしてマリオ、キノピオ、そしてピーチ姫の三人は、まずはクッパ軍団に対抗できるであろうドンキーコングの国に協力を得るための使者として旅に出ます……!


 ……といったお話。
 そうです、事前情報なんにも知らなかったんですけれど、ドンキーコングも登場するんですよねこの映画。
 老いた王様としてクランキーコングや、ドンキーの友人として少しだけディディーや、セリフはなかったもののディクシーやディンキーなんかも居たんだったかな? まさかドンキーコングたちまで登場するとは思っていなかったのでコレには私もなかなか興奮と喜びが隠せなかった。
 いや大好きなお好み焼き食べに行ったら鉄板焼でこれまた好きな焼き海老まで出てきたような感じの嬉しさ。目的外のところで好きなものが急にお出しされるの、嬉しくない? 私はスゲー嬉しかった。

 因みにドンキーコングの声は別に山寺宏一ではなかった。
 ディディーも林原めぐみではなさそうだ。


 まぁ良いよ!
 途中、キノコ王国に助力する条件としてマリオとドンキーコングが一騎打ちするシーンもあるんだけれど、このバトルステージも初代「ドンキーコング」のゲームを彷彿とさせるような鉄骨が渡されたステージで、あぁコレは間違いなくそれを意識してるよな~って。
 それでいてドンキーコングに勝つ切り札になったのはネコマリオへの変身だったりして、まぁ、私はネコマリオの登場する作品は遊んだ事はないんだけれど、これも知っている世代からすれば嬉しい展開だったろうな~と思える。

 他にも旅の途中でマリオたちがカートやバイクに乗る展開があったり、その走るコースは「スーパーマリオカート」シリーズでお馴染みのレインボーロードだったり。クッパと戦う際は懐かしいタヌキマリオに変身して尻尾で空を飛んでくれたり。
 本当に「色んな世代のマリオ・ファン」へのサービスの行き届いた映画だったなぁと思える箇所が随所に見られる。


 観ていて、やはり感じたのは「マリオを知っている皆の為に作られた映画」である事だろうかな。
 今やマリオというコンテンツは30年以上の歴史があって、私みたいなおじさんから、それこそ未就学児の子どもだって知っている。でもそんな皆が見て「面白い!」って思えるだろう仕掛けをキチンと散りばめている。
 私は私の世代として観て面白く感じられたし、きっともっと若かったり、幼い世代の人が観たらそれはそれで私にはない面白く感じられる点が見つけられるんじゃないかな? と思わせてくれる。
 いわば”懐の広さ”が感じられる物語だった。

 分かりやすく、エンターテイメントに振り切っているのも良い。
 やっぱり皆が「マリオ」に触れるのって今となってはポケモンとかと同じくらいの幼い時代からだろうし……いや、世の中には大人になってからマリオに触れる方もいらっしゃるのかも知れないけれど……そうなってくると、目指すのは「童心に帰って楽しめるエンターテイメント」だったのかなって私は思った。
 大人も子どもも一緒になってマリオの冒険と活躍にワクワクした気持ちを揺り起こされるような、そんな映画なんじゃないかなと思う。


 本当に、こう思えた箇所は幾らでも、本当に書き切れないくらいにあったんだけれど、例えば最終盤でクッパに追い詰められながらも何とかスーパースターを手に入れたマリオとルイージが、キラキラ光りながらアノBGMに乗せてクッパ軍団をバッタバッタとブッ飛ばしまくるシーンなんかがある。
 それは物語的にも、バトル・アクション的にも最高潮クライマックスを迎える大事な大事なシーンだ。


 当然、スターを手に入れたんだからマリオもルイージも無敵状態だ。

 それまで劣勢に立たされていたマリオ・ブラザーズは迫りくる無数のクッパ軍団たちを面白いように薙ぎ倒してはスピード感マシマシの演出でクッパすらも翻弄して、最後は兄弟同時のキックでクッパをノックダウンさせるまでに至る。




 でもこれって「マリオはスターを取れば無敵になれる」という共通認識がもうみんなの中にあるからこそ可能な演出なんだなって思うんだ。
 ルイージを救う旅の道中で、ピーチ姫がファイアフラワーを触ったらファイアボールが出せるようになったのと同じで。

 これが全く別の映画でならスーパースターに当たる物は「物語の最初に敵の大ボスが雪の国から奪った謎のアイテム」でしかない。
 なんとなく、価値があるお宝なんだろうな~、くらいのアイテムだ。

 ところがそんなものが物語の終盤で主人公たちに無敵のパワーを授けるキーアイテムだなんて設定を唐突にブチ込んだら「何の伏線もないのに乱暴なまとめ方だなぁ」って思う方も出てくるかも知れない。そういう事なら、もしかしたら物語の途中で「あの国にある宝物は手にした者に無敵のチカラを授けるという言い伝えがある……!」みたいな説明のシーンを挟むのかも知れない。

 でもこれが「スーパーマリオ」の世界でそのアイテムが「スーパースター」だったらもう全てが解決しちゃう。
 これってもう物凄い事ですよね。
 足らない言葉をブッ飛ばす問答無用の無敵パワーだよ。

 「スター取ったらマリオが大逆転できる!」って、劇場に来てるみんながもう知っていて、それを期待して、その高揚感カタルシスに浸る事ができる。
 なるほど国民的名作ゲームだよ! って、なんならちょっと涙ぐんでしまった。37歳ともなれば涙脆くなってしまうんだろうか。

 後は観ていて良いなと思えたのがピーチ姫の活躍。
 私の世代だとね、まぁ、ピーチ姫と言えば何かとクッパに連れ去られて助けを求めるヒロインのお姫様って感じなんだけれど、それはそこ。今となってはマリオと一緒にガンガンアクション作品にも参加している事もあってか、今作ではマリオを食うくらいのカッコイイ活躍が沢山あったりする。
 マリオと一緒に旅に出る前にもキノコ王国に作られたアスレチック──コレもまた、まさに「マリオ」って感じのギミック満載のコースなんだ!──を使ってマリオを鍛える展開があったり、ファイアフラワーを取ればファイアボールを撃つし、クッパに捕まればアクロバティックな身のこなしでクッパ軍団を翻弄したりして……これがまたカッコイイ! ってなる。

 こういうのは昨今のポリコレ的どうのこうのって話題に使われがちな部分なのかも知れないけれど、少なくとも私が観ていた分には「今やピーチ姫だってガンガン活躍できるヒロインだもんな~」って楽しく観られた。
 「マリオRPG」の時点で既に公式チートみたいな存在だったしな。

 それに今回はクッパに捕まる役になったルイージだって終盤はマリオと一緒に活躍するシーンがあったし、しっかり兄弟愛や絆が感じられたので私は満足できた。
 あとは劇中でマリオがお馴染みのキノコを食べて身体を大きくする、いわゆるスーパーマリオにパワーアップする演出があるんだけれど、スーパーになるマリオはちゃあんとドット絵準拠なのか、ピーチ姫の半分くらいの身長で描かれているのも芸が細かいな~と感じた部分だったり。


 とにかく面白かったです「スーパーマリオブラザーズ」。

 マリオを知っている方ならそれぞれの面白さが見つけられるような、童心に帰られるオモチャ箱みたいな映画だった! こうなるともうハリウッドに本気出して貰ってミラ・ジョヴォヴィッチ主演「スーパーメトロイド」とか作りません? 作りましょうよ!!! 絶対カッコイイから!!!!!

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