米国発前川のニュースレター
いつも私のニュースレターを読んで頂き有難うございます。
きょうは近くの海沿いの公園で開かれたクラシック・カーのイベントの写真です。クラシックカーのオーナーが自慢の車を展示します。市が道路を閉鎖して展示場所を確保します。凄い賑わいです。アメリカ人は1950年、
60年代の古き良きアメリカが好きなんですね。
4月最後のニュースレターをお送りします。
【株式・為替市場の動き】
4月29日、24日の急落から回復し、ダウ工業株、S&P500、ナスダックとも続伸しています。5月1日には雇用統計の発表と米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれますので、それまでは様子見ムードが広がり、大きな上げ、下げはなさそうです。
為替相場は、日本時間の29日に1ドル160円を突破した後、一気に急騰154.52円になり、その後じわじわと再度下落し始め、現在は156円前半まで戻っています。政府は為替介入に関してノーコメントですが、恐らく為替介入があったのでしょう。
為替介入が今後の相場の流れを逆転させることはできないので、米国雇用統計、消費者物価指数(CPI)などの発表により、インフレが再度、低下を始めたとの確信情報がない限り、誰が考えても、また160円を目指して円安に動くと思います。であれば、安心して円売り、ドル買いが当分続くでしょうね。米国債市場の高金利が続くとドル高になり、円安が続くでしょうが、それだけではなく他の要因もあるので、経済の動きで説明したいと思います。
【不動産・住宅ローン金利動向】
3月の新築住宅販売件数は増加に転じました。ローン金利高で売れ行きが悪くなり、在庫が増えたので、価格が下落したことがその理由です。
新築物件の場合、物件完成前に契約が完了し物件の建築が完成後にローン審査が完了するので、建築完成時のローン金利が確定できません。
ですから、もし、金利が上がっていると予想する人は、費用を払って数カ月前から金利を確定させます。下がっていると考える人は物件完成までローン金利を確定させないで待つこともできます。銀行としては、現時点で費用を払ってもらい、金利を確定してもらう方がありがたいので、まだ金利が上がるかもしれません、今金利を確定させるのが安全ですと言うでしょうね。
ローンが始まる次期にもよりますが、1年後であれば、下がっている確率の方が高いでしょうね。市場を見ていれば、これから金利が更に、8%、9%となる確率はほとんどないと思います。世間の長期金利に関するニュースは、株価への影響に軸足を置いたものが多いので、視点が短くなる傾向があります。今年に入って、消費者物価指数(CPI) ,個人消費支出(PCE), 国内総生産(GDP)、雇用統計などの経済指標でインフレがしつこく、雇用も強く、GDPの伸びも大きいなどと発表されるたびに、米国10年国債の利回りが上昇して、住宅ローン金利が上がり、円が安くなってきました。しかし、物価は明らかに下がり傾向で(予想よりインフレの低下が遅いだけ)不景気の芽がそこかしこから出ている状況ですから、一本調子に金利が上がることは考えにくいです。ただし、思ったよりは早く住宅ローン金利が下がっていません。家の購入を考えて居る人にとっては、昨年の予想とは違い、ローン金利、物件価格が高止まりですので、何とも歯がゆい状況です。往々にして、人はその様な状況の場合、希望的観測をしてしまいます。金利が下がって、物件価格が下がったら家を買おうと。そんなことはあり得ませんよね。そうなったら、物件の取り合いで、物件価格が上昇します。そう考えると、出来るだけ早く物件を購入し、金利が下がればローンの借り換え(リファイナンス)をすると言う伝統的な方法がやはりベストだと思います。もし、今家の購入が出来るならです。いま、家の購入が出来ない中、低所得層が米国で増えていることが問題です。
今後のローン金利の予想ですが、先にも述べました様に、経済統計によって、上がったり、上がり過ぎたら下がったりを繰り返している米国債の利回りに連動して住宅ローン金利が上がったり、上がり過ぎるとまた下がて来たりを当分繰り返すでしょう。金利高止まりですね。
明らかに不景気のサインが出たら、金利は下がってきます。それが何時かを言うのは難しいですが、ひょっとしたら、夏以降かもしれません。
1-3月のインフレ率が高かった、個人消費が高かったのは、ひょっとしたら、Taxシーズンとの関係もあったかもしれません。
ことしの税金申告の調整払戻金(Tax refund)の平均金額は$3,011となっていますので、これは思わぬ金が入ったから、消費に回ったかも知れません。それが高インフレの理由のひとつかも? もしそうであるなら、第二四半期はインフレ率が大人しくなり、金利が若干下がるかもしれません。 先週と比べると、政府系のFHAローン金利、高額のJUMBOローン金利が下がっていますが、Conventionalは若干ポイントが下がった程度でほぼ横ばいです。しかし、上昇はしていません。外国人投資ローンの金利は0.25%上昇しています。このローン金利は市場の動きから遅れて変動してきます。
【経済の動き】
今日の経済の動きは何と言っても為替相場の乱高下ですね。米国債の利回り上昇に伴う日米金利差の拡大が原因で円安に振れるのとは明らかに違う動きでした。この所は米国債の利回りが下がると、同じように日本国債の利回りも下がっているので、金利格差はほぼ同じように進んでいました。故に、大きな円安、大きな円高は日米金利格差だけがその原因とは言い難いですね。
ここに一つのデータがあります。昨年からウオーレン・バフェットのバークシャー・ハザウエイは日本で円建て社債を約1.5兆円分発行しています。円で資金を調達しました。日本の商社株を買ったと話題になりましたが、それ以外にも米国本国へ資金を送金している可能性大です。米国で日本で調達したお金を運用する場合は円を売ってドルに換えます。その動きは円キャリ―トレードと同じです。これが円安を促進します。 日本政府が新NISAをプロモートして米国株を国民に買わせているのも円安を助長します。実際に円安が進めば、円で資金調達して会社はドルで利益を上げて円で返すわけですから、その円が安くなると、返すお金が少なくても済むわけで、ここでも利益が出てきます。ヘッジファンドも日銀の動きを見ていると、今のところ安心して円売りに動きます。また、日銀は今年は、政府や財務省からの要請?で円安を止めるために利上げをする意向のようです。(日米金利差を縮小させるため)しかし、利上げをすると、日本国債の利回りが上がりますから、日本国債の値段が下がります。そうすると、ますます、円建て債の発行などが進み、かえって円安を引き起こしてしまいます。
この流れは簡単に止められません。ひょっとすると1ドル200円が来る可能性もあります。今日の急激な円高への逆戻りの流れは、恐らく為替介入が入ったからですね。この円高は長くは続かないでしょうね。
円安をうまく使って、日本経済を強くすることが出来れば、円高になるのでしょうが、1-2年ではそれは無理でしょうね。国内に製造業を戻して、それも、生活費が低くても大丈夫な地方に製造業を誘致して、定年を無くして、収入が上がっても、年金額を減らさなければ、60歳以上の人たちを雇い、収入を上げて消費をしてもらえれば、日本経済は復活すると思うのですが、無理でしょうか?外国人を呼んできて、稼いだお金を本国に送金するのであれば、何もしない方がましです。海外に日本のリソースを使わせてお金を渡しているようなものですからね。日本の個人消費を上げて景気を回復させ、国力を上げなければ本格的な円高への動きはないでしょう。
FRBは次のFOMCで政策金利を下げることはしないでしょう。当分様子見でしょうね。4,5,6月のデータを見てインフレ率の低下、失業率の上昇などのサインを見なければ行動を起こさないことは明らかです。
【今週の???な国際ニュース】
先週米国議会で軍事支援パッケージ予算が下院で通り、上院でも可決しました。この予算は、ウクライナ支援、イスラエル支援、台湾支援が含まれており、総額約960兆ドル(約15兆円)規模の予算となっています。これまで、予算権限を持っている下院で審議されなかったこの法案ですが、いきなり下院議長のマイク・ジョンソン氏が同意して、超党派で可決されました。これまでこの支援法案に反対だったトランプ大統領も何も言わなかったのは不思議でした。この法案可決前に英国のキャメロン外務大臣がトランプ大統領と会談し、岸田首相が米国を訪問しています。彼らの訪問が法案可決に影響を与えていたのでしょうか? どうもそのようです。
この所、トランプ大統領を各国の首脳が訪問、会談しています。ポーランドのドウダ首相、アルゼンチンのミレイ首相、麻生副総裁などです。これは、トランプ氏が次期大統領選挙で勝つと各国首脳が考えているからでしょうね。さて、どうして、いきなりこの法案が可決されたかですが、恐らく、選挙で確実に勝つ為に、押さえておかなければならない州、
所謂スイング・ステイトへの影響を考えたからでしょう。アリゾナ、ウイスコンシン、ミシガン、ペンシルバニア、ジョージア、ネバダ、ノースカロライナの7州は製造業、特に軍需産業の工場があり、そこで働く労働者にとっては、軍事予算が直接会社の業績向上につながるので、地元産業を支援してくれる候補へ投票する傾向があるからです。いつまでの、共和党が軍事支援パッケージに反対すると、共和党が不利になるとの読みがあったのでしょう。この法案には崩壊している米国の国境問題の解決予算が入っていないのですが、共和党としては、11月の選挙に勝ってから、国境問題に取り組もう。まずは選挙で勝つことが大事と考え、この法案を通したのでしょう。
それから、もう一つ大きな働きをしたのは岸田首相だったと思われます。この法案はウクライナへの援助金を援助金ではなくて、今回は貸付とした点がポイントです。しかし、ウクライナが返せるはずもありません。焦げ付きの可能性が高いですね。そこでこの貸付の保証人が必要ですが、
岸田首相は日本が保証人になることを今回の訪米で約束したようです。日本がこの法案の手助けをした。戦争が長引くとウクライナの人々がより多く死んだり、負傷したリするだけです。それに日本は加担していることにならないでしょうか? ウクライナとロシアの紛争に日本は関係ありません。
また、この法案にはロシアの凍結資産を没収して、ウクライナ支援へ回す法案もパッケージで入っています。米国が凍結しているロシアの資産は米国債で、約49.5億ドルです。EU域内で2,260億ドルが凍結されており、その内2,055.90億ドルはベルギーの銀行にあります。米国はEUにもロシアの凍結資産を没収してウクライナ支援へ回せと圧力をかけています。問題は、合法的に入手した資産を、対立したからと言って、勝手に没収してしまうと、今後米国債は同盟国以外は買ってくれなくなる、米国のやりたい放題の行いは米国の敵を増やすことになる心配が出てきます。世界金融の中心である米国債が大きく売られると、世界金融がおかしくなってしますとの懸念が金融界からも出ています。世界の覇権国だから何をやってもいいと考えるのは、独裁国家的な行動ですね。
中東情勢は当分落ち着く様子を見せてきました。イスラエルがシリアのイラン大使館攻撃から、イランの300発にもお及ぶミサイル攻撃、その報復としてイスラエルのイラン攻撃で一応落ち着きました。イスラエル、イランそれぞれ被害はごく少ないと発表していますが、実は、イスラエルの防衛網の弱点をイランは掴みました。ミサイル防衛網は一度使うと再度準備するのに時間とお金が掛かります。イスラエルが攻撃されたのは核施設の近くの基地でした。 イラン側も核施設防衛網が攻撃、破壊されました。これで五分五分です。お互いの弱点を探ったところで一時休止となっていますが、いつ再開されるかもしれません。イスラエルは米国の支援が無いと武器弾薬を十分補充できませんし、仮にガザ地区を制圧しても、レバノンやシリアなどパレスチナを支援する隣国から攻撃を受けますから、紛争は終わりません。ここでも米国がKEYを握っています。米国がウクライナ、イスラエル支援を止めると、米国は儲からなくなり、国内の景気は悪くなるでしょうが、原油価格、天然ガス、食料品の価格は下がり、世界のインフレも安定し、世界経済も良くなると思います。この戦争は必要ですか?
【豆知識】
家の購入から売却までの期間が最も短い都市、長い都市は?
売却期間の長い都市 (平均年数)
Barnstable, Massachusetts (13.2 years)
New Haven, Connecticut (13.06 years)
Bridgeport, Connecticut (12.99 years)
Santa Cruz, California (12.94 years)
Oxnard, California (12.36 years)
売却期間の短い都市 (平均年数)
Provo, Utah (6.33 years)
Panama City, Florida (6.57 years)
Austin, Texas (6.59 years)
San Antonio, Texas (6.6 years)
Chattanooga, TN (6.61 years)
【今日の住宅ローン金利】
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