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米国発前川のニュースレター

いつも私のニュースレターを読んで頂き有難うございます。
先月、日本に一時帰国した時にホテルの近くの高輪神社にお参りしてきました。室町時代から続く古い神社で、高輪地区の総鎮守として親しまれ、開運の神様としても知られています。皆さんに開運の御利益が届く様に今週はこの写真でニュースレターを始めたいと思います。6月3日、6月最初のニュースレターをお送りします。

高輪神社

【株式・為替市場の動き】
3日のダウ工業株は、先週末に比べて大きく下落、その後戻して115.29ドル安の38,571.03ドルとなりました。
最終的には、S&P500とナスダックは若干の上昇、となりました。
為替相場は、米国10年国債の利回りが2.85%下落したので、円高に振れ、1ドル156.07円と155円台を伺うレベルまで来ています。
 
米国債の利回りが下がった背景は今日発表された、ISM製造業指数のデータから、5月に製造業活動の縮小ペースが加速し、受注が2年ぶりの大幅な落ち込みになったことが分かったためで、これは同時に景気の減速を示唆しているため、株式市場にとっては、悪影響だが、逆にFRBの利下げを後押しすることにもなるデータなので、ダウ工業株が大きく下落した後、戻して、115.29ドルの下落に踏みとどまったと考えられます。
雇用指数は22年8月以来の水準となる51.1に上昇しましたが、これは製造業の人手が確保しやすくなっていることを示しており、労働市場の逼迫が緩んでいるともいえる為、6月7日雇用統計は弱含みなデータが出てくる可能性が高くなってきました。そうなれば、さらに円高に向かうでしょう。
 
 
【不動産・住宅ローン金利動向】     
今日は、ローン金利の指標となる、米国10年国債の利回りが1週間ぶりの低水準となり、先週の火曜日の住宅ローン金利より若干下がってきました。
先日の米個人消費の弱含みのデータ、可処分所得の縮小や、貯蓄率が16カ月ぶりの低水準となるなど、これまでFRBのタカ派姿勢を支えてきた要因がじりじりと弱まり始めました。住宅ローン金利の下落にとっては追い風、米国景気にとっては逆風です。雇用が弱く、消費が落ち込めば、住宅の売り急ぎ、住宅価格の値引き率の上昇が起こって来る可能性が高まります。そこかしこで、価格下落の兆しが見え始めてきました。対前年比で、マーケットに出たけれど、売れなかった中古物件の件数が、先のリーマンショック以後では一番高くなっているそうです。これは、住宅購入希望者にとっては嬉しい事ですが、まだまだ住宅不足が解消されていませんので、競争が激しい地域では本格的な価格下落はこれからでしょう。
以下は、全米で人口流入が多い都市のランキングです。
人口流入も多いけれど、住宅供給も多い都市は価格が下がり、逆に住宅供給が少ない都市は価格が上がりますので、以下のランキングは購入のしやすさとは一致しません。しかし、人口流入の多さは都市の今後の発展に寄与しますから、投資物件の場所選びには参考になると思います。 
 
1 Myrtle Beach, SC/Wilmington, NC (1st in 2023)
2 Ocala, FL (4th in 2023)
3 Houston, TX (5th in 2023)
4 Greenville-Spartanburg, SC (10th in 2023)
5 Charlotte, NC (16th in 2023)
6 Raleigh, NC (20th in 2023) 
7 Phoenix, AZ (18th in 2023)
8 Knoxville, TN (7th in 2023)
9 Jacksonville, FL (8th in 2023)
10 Asheville, NC (17th in 2023)
11 Boise, ID (15th in 2023) 
12 Portland, ME (13th in 2023)
13 Nashville, TN (11th in 2023)
14 Atlanta, GA (Not ranked in 2023)
15 Johnson City, TN (Not ranked in 2023)
16 Huntsville, AL (Not ranked in 2023)
17 Dover, DE (Not ranked in 2023)
18 Orlando, FL (3rd in 2023)
19 Savannah, GA (19th in 2023)
20 Greensboro, NC (Not ranked in 2023)
 
【経済の動き】
今週の経済の動きは、為替相場、特にドル円相場にフォーカスして、お話したいと思います。さて、今後のドル円はどうなるのでしょうか?
経済理論、ドル円金利差、国際収支、国の景気動向、政治などの観点で考えてみます。経済理論では、為替に影響を与える最も重要な要因は通貨の発行量の差です。発行量の多い通貨は他の通貨に対して弱くなります。この理論で行けば、現在の円相場はドルに対して弱すぎます。 対ドルで、125円から130円が妥当なところだと言われています。 米国は、コロナ対策、戦争支援、移民対策などドルを刷りまくっていますが、ドル安にはならず、逆にドル高になっていますね。ドルだけが例外なんですね。基軸通貨だからです。ドル円金利差理論を使えば、今後米国10年国債の利回りが下がって来ることが予想され、FRBの利下げによって利回り下落が加速されると共に、日本の10年国債の利回りが上昇し始めていることから、円安が逆転して円高に振れてくると考えられます。しかし、いつもこの理論が有効ではないことは過去の歴史が証明しています。日本の国際収支、景気動向を見ると、今のところ国際収支は赤字、GDPも下落と弱いので、その点では、引き続きの円安の不安があります。もし、日銀が利上げでもすれば、さらに日本の景気に悪影響を及ぼすでしょうから円安の圧力が掛かるでしょう。  
さて政治が為替にどう影響するかを考えると、話は大きく変わってきます。
米中の対立は今後も厳しくなってくるでしょう。中国に対して優しかったバイデン政権ですが、この所EV関連品目への関税引き上げなど政策を転換してきています。コロナ以後、サプライチェーンを中国に頼り過ぎていたことで、半導体などの調達や、軍事物資の調達に至るまで、中国なしには原材料の供給もままならない状況になっていたことへの反省から、サプライチェーンの再構築に米国が着手し始めています。工場の中国から米国内への移転や同盟国や信頼できる国からの調達です。米国の最も信頼できる国、言い換えれば、何でもいう事を聞く国は日本ですね。日本に基幹部品、戦略物資の製造依頼し、調達するのが最も安全と思われます。そうするための条件は円安です。円が安ければ、調達コストが低くなり、また日本も輸出がしやすくなり、日本国内の工場での製造も可能になってきます。日本の製造業が活性化します。米国はそれを意図的に行っている節があります。米国大手の企業による円キャリ―トレード、米国ヘッジファンドによる円の空売り、イエレン財務長官による円買い介入への批判などこれらの事象である程度米国の意思がうかがえるのではないでしょうか? そうなれば、円安だけれど、日本経済が活気を取り戻し、日本株もこれから上昇と言うトレンドに入ってくる可能性が出てきます。 日本の高度成長期のドル円は360円だったのに、どうして経済成長したのでしょうか?円安は日本経済を壊すのでしょうか? 当時の円安環境では、資源の輸入は今より強烈に割高だったのに? 
日本は食品、雑貨、何でもかんでも輸入を増やしてきたので、円安に弱い国になったのは明らかですが。中国との関係を見直して、米国への輸出を増やすことが出来れば、日本の競争力が出てくるのは十分可能です。米国も後押ししてくれるでしょう。 現在、米国の貿易相手国トップ3はメキシコ、カナダ、日本です。米国がサプライチェーンを変え始めていることは明らかですね。 米国も半導体など何時中国から蹂躙されかねない台湾だけには頼れません。目先はFRBの利下げ、日米金利差の縮小などの動きから円高に振れるでしょうが、大きな流れは、円安、日本の株高、日本の製造業の復活となると私は思います。 
 
【今週の???な国際ニュース】
カリフォルニア州の小売業者は日本の小売業者とは全く違う問題を抱えています。本当に気の毒になります。対峙する相手は、窃盗犯と州議会議員です。どちらが危険か? 小売業者、スーパーマーケットなどが人員削減しコスト削減を進めるために積極的に導入してきた、セルフレジを州議会が制限する法案を可決しました。組織的な窃盗により、薬局チェーンのウォールグリーンは店舗の閉鎖を余儀なくされています。また、労働コストが低いディスカウントショップの台頭もその原因の一つです。その為、小売店は自衛行動に出ます。しかし、経営の効率化の為に人員削減を進めると、労働組合の反対にあったり、先の州議会のセルフレジの制限にあったりします。これで効率化が出来なくなれば、それこそ窃盗による損出が経営を圧迫するのと同様、効率経営が出来なくなり、店舗の閉鎖に追い込まれる可能性が出てくるのです。セルフレジの制限法は、従業員1名が監視するセルフレジの数は2つ迄に義務付けされ、また、セルフレジが6台ある店舗では客がいない場合でも3人の従業員の監視が必要になるとのことです。また、セルフレジで購入できる品物の数は15点以下に制限となります。従業員はセルフレジの監視以外の仕事はしてはいけないことになっています。私がよく使うスーパーマーケットでは、6つのセルフレジのエリアが2箇所ありますが、最近オープンしているのは1箇所だけです。この様な義務は効率化を阻み、店舗コストを上昇させ、ひいては小売価格の上昇に繋がります。左翼勢力の強いカリフォルニアでは従業員を守る為、弱い人を守るため、差別されている人たちを守る為と言う美名のもとに、やりすぎで、企業がやって行けなくなり始めています。そうなれば結局弱い人は職場を失い、窃盗や犯罪に走るものも出てきます。何せ、州法:プロポジション47では、1回の被害額が950ドル以下であれば、商店で略奪行為をした犯罪集団は事実上免責されます。 また、犯罪に走らない人たちは生活保護を貰い、州の財政が悪化して、増税となり、住民の流出に繋がります。略奪、万引きでダメージを受け、効率化をさせてもらえない小売業者は自己防衛の為、開店時間の短縮やレジの人数の削減で対応しています。サービスが悪くなり、売り上げが下がります。
窃盗犯と州議会議員とどちらが危険か?と言った意味が解ってもらえたと思います。日本ではこんな馬鹿げたことは起こらないでしょう。世界中の国から日本に住みたいと考える人たちが増えているのも納得です。
 
【豆知識】
州別の失業率 (全米平均3.9%)
 
州名       失業率  主要産業
カリフォルニア州 5.3% ハイテク (Apple, Meta, Google, NVIDIA)
 ニューヨーク州   4.2%  金融 (Wall Street の主要投資銀行)
 イリノイ州     4.8%  製造業
 ニュージャージ州  4.8% ライフサイエンス、クリーンエネルギー 
 ワシントン州    4.7%  ハイテク (Micro soft, Amazonなど)
 テキサス州     3.9%  石油
 フロリダ州     3.7%  不動産
 
産業別に見てみると、興味深い結果が得られますね。
 
【住宅ローン金利表】

6月3日の金利

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