メディアごとの情報分配 天気の子とHello Worldを分けたもの

天気の子はまもなく140億円を超える大ヒットとなり、2019年度映画の興行収入トップがほぼ確定的となった(アナと雪の女王2は2020年度扱い)。
観客動員は1000万人を超えている。
小説版も2019年年間本ランキングで小説部門1位の51.1万部を販売している。

他方同じ東宝が配給しているHello Worldは興行収入が5億円強と伸び悩んでいる。すでに公開終了となった映画館も多く、所によっては天気の子より先に終了している。メインとスピンオフ2種類小説を出しているが、こちらの売上もスピンオフは増刷するなど一定人気を出したものの大ヒットには程遠い情勢である。
いずれも過去にアニメ映画で実績を出した監督の作品である。
なぜここまで差がついたのか。
1つ考えられるのはメディア展開での情報差である。

メディアミックスという言葉が広まって久しいが、映画もまたメディアの1つである。

天気の子の場合、映画だけ見てまずは概ねの世界を理解できるのである。
主人公2人の過去や家族についても最低限の情報は伝わってくるし、どういう世界かは分かる(雨続きの日本で結果海面上昇で陸地が水没など)。
小説を読むとメインキャラの心理やバックグラウンドがより深く理解できるが、映画だけでもコアの部分は理解できる。
一方、Hello Worldは映画だけだとそういう世界観とメインキャラの人間関係が複雑すぎてわかりにくい。
小説、それもメインとスピンオフ2冊読んでようやく理解できるレベルである。

各メディアごとの情報量と質の分配が天気の子ではうまくいき、Hello Worldでは失敗した、というのが実態ではなかったのか。

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