飛騨大垣コンテンツツーリズム状況
インバウンド需要が高まっている岐阜県・飛騨地方はアニメ・ゲーム・マンガの聖地巡礼でも注目されている。
また同じ岐阜県西濃の中心大垣も聖地巡礼で注目度が高まっている。
この両地方を中心に取材した。
3月18日早朝6時の大宮駅。
北陸新幹線はくたか号は大宮乗車の段階で自由席客が指定席車両にあふれるほどの混雑である。
3連休初日とあって便利な早朝便に集中しているのだろう。
高崎ではさらに客が増え、車内販売も来ない状態であった。
ようやく客が減りだしたのが長野、通路が空いて車内販売が来るようになったのが飯山であった。
どうも団体客や接続する観光列車があったようだ。
富山で客が半減するも今度は富山からの客が入ってくる。
新高岡も2割程度客が降りた。
快晴である。
新高岡は観光案内所がすでに開いていてバスの各種切符が販売されている。
レジ自体はICカード決済に対応しているようだが、バスについては現金のみとのこと。
またセブンイレブンがあり、飲食物の調達は容易だった。
なお駅の隣に大規模なイオンのショッピングモールがあるので時間に余裕があれば買い忘れたものがあっても調達できるだろう。
定刻に白川郷行き世界遺産バスが到着する。
富山からの白川郷行きバスは満員との情報もあったので身構えていたが、新高岡からの乗車は私を含め3人、車内の埋まり具合は3割と意外に少ない。
五箇山へ行くバスは3月まではこのルートしかないのでもっと埋まると考えていたが少なかった。
バスは城端駅まで高速道路、以後は一般道を走る。
来月からは車内でwifiが無料で使えるとのことだが、今回はまだ使えなかった。
城端もアニメtrue tearsの舞台だが、今回はそれらしい聖地巡礼客は見当たらなかった。城端線で来る人が多いのだろうか。
城端駅でトイレ休憩の後、山道へと向かう。
山肌に雪が残る。トンネルを抜けると一面が雪景色に変わる。
まずは五箇山・相倉で下車。バス停にコインロッカーがある。
ここは合掌造りが残る。駐車場やトイレが整備されていて観光客への対応も万全である。
駐車場は半分程度の埋まり具合。
すでに11時近いのか、観光客が目立つが観光バスのたぐいはまだ来ていないのか個人客が多い。
次に地元のローカルバスで上梨へ。ローカルバスとは言えノンステップバスである。
ここにかつての流刑小屋がある。バス停近くに案内所がある。
下って小原ダム脇を通過し、菅沼で下車。
こちらは相倉よりも小規模だがIC横ということもあり、観光バスが数台泊まっていた。
親子連れ含め観光客が集まっている。
当地の名物、五平餅をいただく。
展望台の駐車場は雪が積もっている。
さらにローカルバスで南下し、重要文化財の岩瀬家住宅を通過し、県境を超えて白川郷へ向かう。道中の道の駅も人が多い。14時バスは到着した。
空も雲が増えてくる。
よく五箇山は白川郷ほど観光客ズレしていないと言われているが、確かに白川郷は街自体がテーマパークといった感じになっていた。
五箇山と違ってコンビニもあり、バスターミナルも整備されていて利便性は高い。
そのバスターミナルも満員でコインロッカーが埋まっている。
窓口に手荷物を預けた。
展望台へ向かう。五箇山では海外客が1割程度だったのが3割程度くらいに感じる。
展望台は城跡が雪で半分ほど埋まっていた。観光客が次から次へと登ってくる。有料のマイクロバスがあって麓と行き来している。
写真を撮る人だらけである。
降りて街中を散策する。
とにかく客客客といった具合でどの道も人だらけである。
中に入れる合掌造住宅のうち、神田家住宅を見学。五箇山の家より大きい。
集落自体が大きいせいか、地主の財力も上だったのだろう。
スーパーのAコープに立ち寄る。観光客も寄るのか飲食物のたぐいが結構売れている。
であい橋を渡って駐車場側へ。乗用車や観光バスはこちらで止める。
土産物店や民家園がある。いかにも観光地といった雰囲気。
どぶろくきんつばを買う。日本酒の香りがする。
他にも五平餅や牛串が売れている。
観光地手前のコンビニで買い物する。たまたま人が途切れる時間だったせいか空いていたが、飲食の陳列数を見るとこの後帰る客が殺到するのだろう。
ひぐらしのなく頃にの巡礼客もポツポツ見かけた。
17時20分のバス予約を振り替えてもらい、17時発の臨時高速バスで高山へ。
高速道路を南下し、飛騨トンネルを抜け、無料の自動車道で高山へ直行。
特に渋滞もなく高山駅に到着。
なおここまでのバスは一切トイレがない。トイレ関連は注意したほうが良さそうだ。
すぐ前のカントリーホテル高山へチェックイン。ホテル1階にファミリーマートがあり、客がごった返している。無料wifiが使えるのだが、人が多くつながらない。
小休憩ののち、夜の高山を散策。
郷土料理店みかどで朴の葉味噌焼き定食を頼む。朴の葉をプレートにして飛騨牛と味噌を混ぜ焼きにする。
夜の高山は観光客で溢れている。デイリーヤマザキやセブンイレブンなどコンビニにも人が集まっている。ライトアップした高山市図書館を撮影。
明かりがついた古い街並みを歩く。人通りがあり、学生時代に行ったイタリア・レッチェや2年前取材したブルージュの街を思わせる。
駅界隈には中型のビジネスホテルが多い。観光需要の増加に対応しているのだろう。
駅やバスターミナルも新しく、より大きくなっているようだ。
ホテルで資料まとめの作業をする。無料wifiが快適に使える。
翌朝朝食をとる。朝食バイキングは値段相応に種類があって充実している。
荷物を駅のロッカーに預ける。QRコード方式の鍵になっていて便利だが、なぜか現金のみで電子マネーには未対応だった。
宮川朝市を散策する。名物なので客が多い。朝食後で観光施設がオープンする前の時間なので手持ち無沙汰の客を集められるのだろう。
レンタカーで飛騨を回る。あいにく駅前のほうが満員なので町外れのところで借りる。聞くと駅前からの送迎もやっているとのこと。帰りは駅まで送迎してもらうことにする。
パッソを借りる。
快調に飛騨路を飛ばす。君の名は。に出てきた落合のバス停へと北上する。
ここはJR高山線の角川駅から歩いていけるのだが、角川駅自体が本数が少ないので自動車のほうが便利である。なおバス自体はすでに廃止されている。
分岐を間違えて神岡に抜ける道に入ったりもしたが、無事落合停留所に到着。すでに先客がいて撮影していた。
なお途中の道は舗装が荒れていたり、落石や雪崩に注意の旨があったり、結構険しい道なので注意を要した。
停留所にはノートが置かれていて、各地のファンが書き込みしていた。
飛騨古川へ。
飛騨市図書館前の無料駐車場に停める。満車で20分ほど待って停める。
図書館は立派である。受付で申し出て館内も撮影。君の名は。作中で資料を調べていたシーンがあり、記念コーナーやノートがあった。
飛騨古川駅に向かう。駅をまたぐ跨線橋を通るとたまたま特急ひだが来た。君の名は。劇中に停車しているシーンがあるのでそれを狙うファンが20人ほどいる。駅に停まったところを撮影。なお撮影に便利なように椅子が置かれていた。
駅の東側から気比若宮神社へ向かう。駅側と別世界のようなのどかな世界である。
神社にはファンが10人ほど来ていた。雪が積もっていて神社の関係者が除雪している。
駅から古川の街中へ向かう。蔵まつりが開かれ、酒が売られている。運転中なので酒は避けて飛騨そばで昼食。
酒蔵横を小川が走るなど高山とは違った街である。
ここのサイクリングツアーが海外客に受けているようだ。
高山へ戻る。
駅から街を散策。国分寺や陣屋などを回る。どこを歩いても観光客だらけである。
アニメ氷菓で登場した喫茶店のモデルバグ・パイプに行くが満席。同様に氷菓でモデルとなった喫茶去かつてでコーヒーを取って休憩。ここもファンが来るほか、観光客が集まっている。
高山市政記念館を経て日枝神社へ。中心部から離れているが観光客が結構いる。ここも氷菓に登場するが訪問時にはファンらしい姿は見えない。
高山市図書館に寄り道。ここも氷菓に出たために撮影者がいるらしく、館内撮影は許可がいる。
バグ・パイプへ。今度は空いていた。ベイクドチーズケーキとコーヒーを注文。時計が多い喫茶店として有名らしく、店内には時計だらけだ。
宮川の河川敷を通って街中を歩く。海外客の比率は体感で白川郷同様3割程度。氷菓のファンは見かけるが観光客自体の絶対数が多いので割合は少なめになる。それでも街として応援しているようだ。
つづみそばで高山ラーメンを食べて夕食にする。ラーメンのグレードは高く、ラーメンだけのために来ていいレベル。
駅のカフェでバス待ちする。ロッカー利用者は割引がある。電源と無料wifiがあるのでスマホを充電。
バスで岐阜へ。今度はトイレがある。
高速道路で一挙岐阜へと向かう。すでに夜なので有名な鷲見橋がよく見えない。
岐阜バスターミナルへ到着。夜遅いので電車で大垣に直行する。
大垣では駅から徒歩10分のホテルグッディ大垣に泊まる。すぐ前に無料のレンタサイクルがあるのが便利だがホテルの設備は古い。ただ、無料wifiは快適に使えた。
翌朝朝食。団体客が来るので混むと言われていたがどうも中学の合宿客らしい。
朝食バイキングは高山よりはメニューが少ない。値段相応ではある。
当初予定では3日目養老+岐阜、最終日大垣+名古屋にする予定だったが、最終日雨の予報に変わったので3日目にも大垣散策を入れる。
養老の滝へ養老鉄道で移動。養老改元1300年記念イベントがあり、駅前では準備中だった。
無料バスで養老公園へ。やや険しいが滝への道中にはトイレや飲料自販機もあって快適である。
記念イベントに間に合う。町を上げて盛り上げるらしい。この滝は聲の形に出てくる。
同作品に出てくる楽市楽座養老へ。要はフードコート兼休憩所なのだが、店の大半が閉まっていた。作中のカレーショップも閉店済。
隣の養老天命反転地へ。ここも聲の形に登場するのでポスターやマップが貼られていた。地元では人気らしく、親子連れを含め賑わっている。
養老駅へ。ちょうど記念列車の出発式をやっている。
大垣に戻ってレンタサイクルで聲の形の舞台をめぐる。
雲に覆われだす。
アニメに出てきた揖斐大橋、交流ノートのある奥の細道むすびの地記念館などを巡る。
郊外には車が行き交い、店には人がいる。
作中には出なかったが、現地でのコンテンツ研究発信の場であるソフトピアにも寄る。
場所が微妙なところだ。自動車や自転車があれば至極便利なのだが、IT系産業を振興させるにはスタンフォードやサンノゼのように「石を投げれば関係者に当たる」状況を作る必要があり、
巡礼客はぱっと見、中心部の四季の広場界隈にそれらしい人が数人いた程度だが、ノートには結構な人数の書き込みがあったので大半はそれと分からないのだろう。
駅横のショッピングモール・アクアウォーク大垣も作中に出るが、ナンバーなどから地元の客と思しい人で賑わっていた。
電車で名古屋へ。栄の君の名は。カフェに向かう。連休中だがあまり人がいない。開店前に整理券が切れた池袋とはえらい違いである。池袋ではなかった三葉の弁当などを頼む。アニメ・ゲームのコラボカフェでも君の名は。カフェがウケた要因の1つがボリュームで、版権料等で値段を取るもののちゃんとした量が出てくる。
三葉の弁当はランチクロスをもらえるのでかなりお得である。
金山へ。ここも聲の形の漫画に出てくるが繁華街なので巡礼客らしい姿は見当たらない。岐阜駅で聲の形作中の場所を撮影。
駅前の金の織田信長像の存在感が大きい。
大垣に戻る。
夜食を仕入れにアクアウォーク大垣に立ち寄る。連休最終日の閉店前でも一定数の客がいる。
駅前かつ駐車場が充実しているので使いやすいのだろう。
なお海外客は養老でも大垣でも見当たらなかった。
最終日。結構な雨が降っている。
朝食は前日と同じ。件の合宿客も同時にチェックアウトでカウンターがごった返す。荷物は宅配便に出す。
徒歩で中心部を回る。駅前商店街はまだ閉まっている。ここは聲の形で何度か登場する。大垣城と大垣公園を見学。関が原の合戦でも出てきたのでその紹介が天守内に出ていた。四季の広場に向かう。ここが聲の形のメインの舞台だが、作中のようなコイが見当たらない。近くのチーズケーキ店で休憩する。
横の福祉会館でレンタサイクルを借りて前日回れなかった西公園、文化会館、花火会場の揖斐川河川敷、大垣フォーラムホテルなどを回る。漫画でもアニメでも市内のスポットをモデルにシャッフルしているので聖地がかなり広範囲に散らばっている。
とはいえ、メインは中心の四季の広場や駅前商店街なのでファンには回りやすい。
雨のせいか、開店してもあまり駅前商店街に人がいないのが気になった。
駅ビルやアクアウォーク大垣には人が大勢いたのだが。
レンタサイクルを返して岐阜へ。柳ケ瀬商店街へ。
歌になった柳ヶ瀬も寂れていて、せっかくのアーケードも店が更地になってそこから雨が入り込む始末である。ここは聲の形に出てくるが、出てきた東端部は人通りが殆ど無かった。
比較的人のいる駅界隈でも海外客はほぼ見当たらない。
名鉄電車で名古屋へ。栄のパルコで再度君の名は。カフェへ。客入りは前日の半分程度。前日より空いている時間である。隣は大学生らしく成績がどうこう話していた。ツイッターなどを見ていると直後に結構人が来て待ち時間が出たらしい。
三葉の弁当などを再度注文。
隣のスイーツパラダイスではおそ松さんコラボメニューを出していた。平日夕方だが、結構な人が出入りしていた。
栄の地下街を歩く。こちらは海外客も一定数いる。
新幹線で東京に戻る。春休みらしく、平日の夕方にしては混んでいた。
観光地としては五箇山・白川郷・高山とも集客に成功している。交通も道路が整備され、非常に快適である。
大垣は観光客はこれから、という様相であるが、関が原や養老に近く、松尾芭蕉と聲の形というコンテンツを持っているので、あとは売り出し方次第だろう。
岐阜市は観光資源として織田信長など戦国時代をメインに据えているようだ。商業地としては郊外への拡散や名古屋への吸引に苦戦しているが、それを埋められるレベルの観光需要は掘り起こせるように思った。
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