桜島の噴火を体感した
昨夜の 00:30 頃だっただろうか。そろそろベッドに入ろうかと考えながら、私は少し涼しさを感じるようになったベランダで一服していた。
「ボンッ」
突然、けたたましい炸裂音が鳴り響いた。乾いたような、しかし粘り気のあるような音。ほぼ同時に衝撃波のようなものが体を包み、周囲の窓はガタガタと音を鳴らした。Kindle で読書をしていた私は、ビクッと体を震わせて顔を上げる。街は静かで、優しい夜風が吹いていた。
驚きと恐怖を感じ、鳥肌が立つ。不思議と直感した。桜島の空振だ。
ふと、視界の一部に赤い光が映る。そこは少し高い位置であり、日が落ちれば何も映らない夜空になり、日が昇れば桜島の火口が見える付近だ。視線を向けると、すぐに赤い光は増えていった。そしてその光によって、桜島の火口の輪郭が浮かび上がる。闇夜に浮かぶ桜島を見つめながら、それが噴火の火砕流なのだと理解した。
幻想的だった。赤い光は次々に広がっていき、煌々と輝く。空中に舞い、緩やかに落ちていく様がスローモーションのように感じられた。すぐに驚きと恐怖は消え去り、しかし鳥肌は止まなかった。
おそらく、畏怖を感じていたのだと思う。数年前、地元で消防団だった頃に大型の台風が直撃したことで見回りのために出動し、30cm の側溝に踏み入れてしまって濁流に飲まれかけた直後のような感覚に近かった。あの時は恐怖なのだろうと思っていたのだが、どうやら違ったらしい。
赤い光は、しかし長くは続かなかった。体感では数分、もしかしたらもっと短かったかもしれない。すぐに輝きはなくなり、何も見えない元の夜空となった。
ただ鳥肌だけが残った。
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