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WFATT 2019 第10回ワールドコングレス東京に参加してきたというお話

こんにちは。アスレティックトレーナーのヨシキ(@yoshikianzawa)です。

幕張メッセで開催された「WFATT: World Federation of Athletic Training and Therapy」ということで、アスレティックトレーナーの国際学会に参加してきました。
簡単ではありますが、忘れないうちに可能な限り記しておきます。

まず初めに、オープニングでJATOの会長である上松さんからのご挨拶。
国際学会ということでもちろん英語です。
英語が難しいという方には、翻訳機も無料で配布していました。(心遣いが本当に素晴らしいです。)
そして、単純に英語がペラペラ話せる日本人はかっこいいので、「英語がんばろう!」と刺激をいただき、Functional Movement Systems のLee Burton氏による基調講演に進みます。
専門家の中ではご存知の方も多いと思いますが、Lee Burton氏はFMSの会長の方です。
翻訳機をもらいそびれたので、練習も兼ねて普通に聞いていたのですが、めっちゃ聞き取りやすい英語。
そんでもって話の展開が上手いし、抑揚、テンポが心地よい。
こっそりプレゼンの勉強もしちゃいました。

さて、近年日本では高齢化が進み長生きする人が増えています。
単純に寿命が伸びるだけだとQOL、つまり生活の質が低下する恐れもあります。
アメリカでは年間で約74兆円(1ドル=100円)ものお金が疾病予防(眼のケア、歯のケア、心臓のケア)に使われているそうです。
しかし、一般的によく見られる整形外科的な怪我(捻挫、骨折、脱臼、筋損傷など)では、年間に約84兆円ものお金が使われており、疾病予防よりも多いみたい。
個人的におもしろかったのは、内科疾患に関してはスクリーニング(健康診断)などで事前に病気のsigns(徴候)を予防はしますが、怪我だとsimptoms(症状)が現れて、初めて対処するということです。
また、健康診断で行われている、血圧測定などと同じように、機能的な動作(Functional movement)から怪我の予防ができないかということも提言されていました。
ごもっともな話です。
怪我に関して、いくつかのエビデンスを用いて説明してくれました。
ある報告によると、市民ランナーの20-27%がマラソンのレースが行われる時点で筋肉や骨に関する痛みを抱えているそうです。
事前に怪我のスクリーニングができていれば痛みを予防することができたかもしれません。
でもこれは、一般の方だけでなく今の日本でいうと高齢者に対しても当てはまると思います。
Physical activity(身体活動)が減れば、病気にかかるリスクも高くなるし、サルコペニアやロコモのリスクも高くなります。
そんでもって身体不活動や動作不良による影響で転倒したら、骨折して寝たきりになり、内科疾患を合併するリスクも高くなるわけで、機能的な体づくりはアスリートのみならず一般の人も行うべきであると感じています。
アスレティックトレーナーはアスリートのみならず、一般の分野にも与えられるとこはたくさんあり、これが本大会のテーマでもある、「Exercise For Total Health」ではないかと思います。

続いて、早稲田大学スポーツ医科学学術院教授の広瀬先生のお話を聞きました。
ここから分科会形式で行われており、別会場でも同時に講義が行われます。
広瀬先生は、サッカー女子日本代表のフィジカルコーチでもあります。
実は、今回のWFATTに参加を決めた大きなきっかけでもありました。
やっぱり広瀬先生のお話はおもしろかったです。
怪我って様々な因子が絡み合って怪我をします。
アスレティックトレーナーが得意とする分野って内的な因子を評価するのは得意なんだけど、外的な因子(人的要因、環境的要因、道具など)に着目する人ってそんなに多くない?と感じました。
例えば、スパイクのポイントが極端にすり減っていたり、ピッチコンディションが悪かったり、猛暑だったり、些細なことかもしれないですけど、傷害予防をしていくには多角的なアプローチが必須です。
そして、今回は前十字靭帯とハムストリングスの肉離れに対するプリハブもエビデンスベースでご教授くださいました。
大臀筋の上部と下部では作用が異なるとか、エクササイズ中に意識するポイントとか興味深い内容が散りばめられていました。
前十字靭帯損傷の50%以上はプログラムで予防できると多く報告されています。
ですが、受傷件数は増加の一途を辿っています。
世の中には前十字靭帯損傷の予防に良いプログラムがたくさんあるし、科学的にも「臀部・体幹筋のコントロール」、「筋力強化」、「複合エクササイズ」は有効だと示唆されているので、アスレティックトレーナーが傷害予防に積極的に介入していく必要があると考えられます。

ランチョンセミナーだったり協賛ブースも充実しており、ノベルティもWFTAAのロゴが入ったボトルがプレゼントされました。

午後は昨年アメリカから帰国された中山先生のお話しです。
中山先生は今大会のテーマであるExercise for Total Health を自分なりに解釈してお伝えしてくれました。
昨年までNBAでご活躍されて、帰国後は東京でも、実家でもない、滋賀県でマイクロジムをオープンされました。
そこでは、以前とは全く異なる運動レベルの人たちに運動するのですが、常に顧客目線に立ち、その人たちが充実した時間を送れるようにご指導されています。
中には、「私の指導なんかしてて楽しいですか?」と言った質問もあるようで、こう言った質問もアメリカで得た、たくさんの経験が反映されてるように感じます。
中山先生も帰国後は、たくさんの人の健康や幸せにエクササイズを通じて関わっていきたいとのことで、僕自身、心臓リハビリに関わるようになった時と同じような気持ちだと、思い返すことができました。
まだまだアスレティックトレーナーのやれることは沢山ある!と感じつつ、アスレティックトレーナーの在り方について、見つめ直す貴重な時間をご提供していただきました。

まだまだ書きたいところもありますが、一旦ここまで。

今回、一日だけですが参加して、たくさんの友人や知人にお会いすることができました。
Twitterだけでしか交流しなかった方ともお会いできたり、控えめに言って最高でした。
唯一の心残りはレセプションに参加できなかったことです・・・
今回参加してみて、改めてアスレティックトレーニングの可能性は無限大だと感じました。
同時に、ここまで積み上げてくださった先輩方の功績はとても多大だなと強く感じています。
世間的に中堅と言われるような年齢になりましたが、これからの日本にどのような形で貢献できるか、試行錯誤しながら歩んでいきます。
微力ながら、このnoteに記すことも何かしらのヒントになれると幸いです。

Yoshi

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