「無貌の人」 素晴らしいバッドエンド。匿名のままで誰かになり替わろうとするような人間に救いなどない
晴らしい。
誰にも感情移入はできないが、それゆえにこの渇いた感じの物語はかなり普遍性が高いテーマを持ってると思う。
あんまり社会論的な読み時はしたくないけれど今のネット社会において「何者でもない」人間が匿名でネットをやってたら普遍的に体験しているであろう地獄の姿だ。
匿名で無貌な存在でこの作品で表現されているような精神状態の人たくさんいると思う。そうでもなければ、ネット上の他人に過ぎない誰かの言葉に1から100まで盲従するやついないでしょ。
あれは、何物でもない空っぽな人間が憧れの人間になったつもりでふるまってるからだと思う。実際はそんなことなくて、自分は空っぽでしかないんだけれどね。
「①空っぽな自分を誰かに見られるのは嫌だ
②こんな自分でも誰かを好きになりたい
③その好きな人にだけは自分を自分として認識してほしい」
これは、匿名の何者でもない存在が渇望していることだと思う。
※もちろん、匿名の人間がみんなそうだというつもりはなくて一人ぼっちでも全然平気な人も大勢いるのは言うまでもない。
うん。そのあたりがきっちり描かれてるのは本当に良い・
私はむしろ最後のページから先の地獄こそが読みたい
これは最後のページからまだ普通に地獄の続き描けるよね。というか主人公にとっての地獄はここからスタートだ。ここから先の物語を誰か描いてほしい。読み切り部分までの話は「既知」の物語だ。
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