アスペル・カノジョ読む9巻-2:最悪の状況が続き、共倒れの危機を迎えるが……
この9巻は、いじめ裁判や親との対峙と言った重大イベントの間の日常を描いている。しかし、全12巻を通じて二人にとって一番きつい状況になっている。改めて、二人にとって最も大変なのは「日常を生きて、少しずつでも前進すること」なのだということがわかる。
当然10巻以降も、この作品が12巻で終わった後も、二人には大変な日常がどこまでも続く。はたしてどこまで生き延びられるかは本当にわからない。すぐ挫折した可能性もあるし、長い間耐え抜くことができたかもしれない。
そのくらい、常に緊張に満ちた綱渡りに満ちた日々。キツすぎる……。
いじめ裁判の行方は…
8巻で述べた通り、斎藤さんはいじめっ子の池上から「和解」の形で250万を支払わせ、いじめの事実を認めさせた。その上で、おなじいじめ被害者の小倉に裁判を引き継いだ。
もちろん、小倉も斎藤さんをいじめていたから、斎藤さんは小倉のことも許していない。あくまで小倉とは共闘しているだけだ。
斎藤さんの傷は深く、いじめられたときから時が止まったままだ。
ずっと無理をして斎藤さんを支えていた横井が体調不良で倒れ、このままだと共倒れになってしまう危機に……
また、斎藤さんは生きたいという意志を持てるようにはなったけれど、それゆえに横井への執着が強くなって横井が抱えきれなくなりつつあった。
そうこうしているうちに、横井はついに体を壊してしまい、齋藤さんを気遣う余力がなくなっていく。
男が浮気するようになるのはだいたいこういうときなんだが……果たしてどうなるか。
ついに共倒れのリスクが出てきた。斎藤さんの家族が斎藤さんを切り捨てた状況が再現されそうになってきた……ただ、横井は自分が斎藤さんを「必要」としていることも自覚していた。
状況を変えるために、斎藤さんは、清水さんの紹介で簡単な仕事に挑戦してみることに。
裁判の和解金と、斎藤さんのバイト挑戦により、ようやく横井は齋藤さんのケアをしながら、マンガ作成&仕事を続ける生活から少しだけ休息を取ることができるようになった。
これ本当にしんどかったと思う。世の母親が子育てて疲弊していくのもこういう感じだと思うので、世の母親は本当に大変だと思う。果たして二人は共倒れにならずに生き延びることができるのか。
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