見出し画像

アセットアロケーションという考え方について

投資の世界にはいろいろ面白い話があるが、最近面白いなと思ったのが「アセットアロケーション」という話だ。

グローバル展開している機関投資家等の場合、本部と現地の人達は役割が違っている。

重要なのは本部の「アセットアロケーター」という人だ。この人が

・各国にどのくらいの資金を配分するか
・株メインでいくか債券メインでいくか不動産メインでいくか

を決めて現地法人に通達する。この人が判断を誤ると何をやってもうまく行かない


そして、現地法人には「ファンドマネージャー」という人たちがいて、その決められた資産配分の中でできる限り良い業績をあげるべく投資計画を決める。具体的にはどの株を何株まで買うのかまではここでだいたい決まる。(ヘッジファンドなら何をロングしてかわりに何をショートするかの戦略もこの人たちが決めることが多いのだろうか。私はよくわからない)

ここまで決まったらさらにファンドマネージャーが決めた枠の中でトレーダーが仕事をする。その指示の中で少しでも良い数字が出せるようトレードを執行するわけだ。制約の中できちんと成果を上げることが求められるからかなりの能力を問われる。
「プロップトレーダー」という裁量トレーダーもいるが、任せてもらえる金額は大きくない。

「機関投資家」とひとことでいうと謎の巨大組織が一つの意思のもとに傍若無人に振る舞っているように見えるが、実際はこういう構成になっているらしい。

さらに機関投資家が証券会社に注文を発注する場合もあり、この場合はとにかく大量の注文を相場を壊さないように気をつけながら売買執行することに特化してるので「エグゼキューショントレーダー」と呼ばれるらしい。

と、いうわけで。

証券会社のトレーダーは、実は銘柄選定とか、ポジションサイズの調整においてはそこまですごい人とは限らない。あくまでも指示された企業について良く熟知しているということと、その企業に特化したトレード技術の方に重きをおいているということになる。

twitterで証券会社出身とか言われても営業マンだとまじで全然投資のことをわかってなかったりするし、トレーダーと言われてもそこまですごい人とは限らない、ということをよく理解しておこう。というか、有能な人は今でも現役で金融の世界にいます。そちらのほうが圧倒的に稼げるからです。

ネットで元トレーダーを名乗りながらnoteなどを販売している人は、間違いなく三流かそれ以下です。すべて詐欺師だと思ったほうが良いでしょう。本当に実力があるのはファンドマネージャーのクラスの人です。もちろん一般人相手に商売などしたりしませんから結局「元証券会社勤務」と言いながら一般人にすり寄ってくる人は信用しないほうが良いでしょう。


ここまでは純粋に知っておくと楽しいトリビアですね。そこからが本題です。


それはそれとしてアセットアロケーションの考え方を我々に当てはめてみると…


人間誰しも一つのことをやってるわけじゃない。我々は自分に対して常にこのアセットアロケーションをやっている。仕事に◯%、家庭に◯%、ブログに◯%、YouTubeに◯%、ダイエットに◯%、ゲームに◯%みたいな感じで割り振りを持っている。

この割り振りの部分を決めるのは本人だ。普通の人はブログとかYouTubeにそんなにパーセンテージを降っていないと思う。改めて思うけど私は異常なんだろうな……。


そして、それぞれの割当て枠の中でそれぞれのつきあいがある。それぞれの面で人と接する時は、その◯%という枠の中での付き合いということになる。

これが重要で、たとえばブログに5%振っていて、その5%の中ではめちゃくちゃ濃い付き合いをしているからと言っても5%*80/100=4%のウェイトとなる。

逆に言うと、仕事のウェイトが50%の人にとって、仕事面でとても重要な存在でなくてもそこそこ付き合いのある人は、結構尊重しないといけない。50%*20/100=10%のウェイトという感じか。

実際はそこまで単純ではなくて、やはり狭い分野でも深く付き合いのある人はより信頼することになるが、それでも優先順位を考える際にはウェイトの重さは軽視できない。


いくらブログを頑張りたくても、仕事や家庭が不調なら他の優先順位は下がるわけで、仕事が最優先になるのは当然で、その期間はブログを休みますという判断になったりする。 
ここで、ブログで深い付き合いがあるからと言ってしつこくブログを最優先しろと要求する人がいたら、全体を維持するためには「じゃあブログごと切り捨てるしかない」となってもおかしくない。


「ガンダムを捨てる妻」はアセットアロケーションのサンプルとしてとても良い。

これとか下のツイートなどの事例ですね。

このケースは明らかに夫氏に問題があるが、夫に悪いところがあるとかそういうしょぼいレベルの議論をしても無駄だろう。だいいち他人の夫婦の関係について他人が断片的な知識だけを元に善悪を論じるなど野暮の極みである。わきまえよう。

それよりは、この件もアセットアロケーションの話として考えると面白い。

この場合、妻から見た時に夫は「家族に対しての時間や関心の割当が低い」ということが問題だったのだと思われる。夫が仕事や趣味にかけている時間が長く、妻や子供にかけている時間が短いと感じていたのだろう。

で、コレに対して、妻は「ガンダムを捨てることで思い知らせてやる」ということもそうだが、その分の時間を自分たちに向けさせようとしたのだと思う。つまり夫の意志を無視して物理的に無理やりアセットアロケーションを実行しようとしたというわけだ。

ただ、これは「夫がガンダムに時間や手間をかけるのは無駄」という宣言を行ったのと同じである。

つまりこれはどっちが良い悪いじゃないのだ。もっと根本的に、アセット配分の問題なのだ。夫婦というのは、常に二人でリソースの配分を相談しながら決めていくのが大事だと思うので、すり合わせを怠ってポジションが偏りすぎるとこういう形で破綻を迎えるのだ。

そう考えると、世の中の破綻していない夫婦の人というのはめちゃくちゃすごいことをやっているなと思う。あらためて尊敬の念が湧いてくる


「深く関わりがあるAという分野では口出ししても良いからといって、関係が薄いBの分野では安易に口出ししてはいけない」を理解していないと数年の付き合いがある人でもあっさり破局する

ここから先は

654字 / 1画像
この記事のみ ¥ 300
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?