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ハコヅメの作者さんが凄い……「社会人歴10年」泰三子先生のインタビューが面白かったのでまとめてみた

つい最近最新刊まで読み終わったばかりなのだけれど本当にこの作品面白いのでまた二回目読み返してるところです。


んで、本作品が作者様にとってのデビュー作ということで、作者様自身に興味を持って調べてみたら、めちゃくちゃパワフルな人でした。

描きたい欲が強すぎて「週刊連載じゃないと逆に我慢できない」人

―― もう渦を巻いているわけですね、頭の中で、この話を早く出させろ、みたいなものが。

今、週1連載で話を描かせていただけているからいいですけど、「これ、月刊にしてください」って言われたら、私、精神的に持つのかなと思います。

週刊連載がしんどいというひとが多い中、逆に週刊じゃないとアウトプット量が足りなくてしんどいとまで言い切るスーパー作者さん。


いままでマンガを描いたことすらなかった作者さん、マンガの描き方を勉強しながら16ページを描いて持ち込んでみたら、1か月ちょっとでモーニングでの連載が決定

作者さんは元々「似顔絵捜査官」もつとめていたらしく、なるほどハコヅメのエピソードにやたらと似顔絵捜査官の話がよく出てくるわけだと納得w


初のマンガ家デビューなのに担当編集者さんと互角にやり取り

さらに途中までは毎週作品とは別に4コマをツイッターで掲載していた。

漫画家デビューしたばっかりでマンガの描き方すらわかってなかったはずなのになんでこんなハイスピードで描けるの!?


警官時代の経験を生かしたマンガだけでなく、歴史ものを描かせてもきっちり傑作

まじですごいなこの人。。。



その他インタビューまとめ

その男の子が、「実は小さいころから警察官になろうと思っていたんだけど、親に止められた」と。「お前みたいないいかげんな人間に、警察の大変な仕事はできない、と言われたので、別の分野を目指そうと思っています」って。運動もやっている、すごく精悍な感じの男の子で、非常に残念だったんです。それで、どうやったら、こういう男の子に振り向いてもらえるかなと思ったときに……。

「警察って、君が思っているより、もっとしょうもない人たちが、それなりに楽しく仕事をやっているし、そういう人たちが頑張って、世の中にとって大事なことをやっているんだよ」と、そういうことを伝えたいなって考えました。


本当におっしゃる通りで、レスポンスって完成度より100倍大事ですよね。以前お話をお聞きした、ライトノベルの名編集者の方も「リアクションの速さは社会人最大の武器」だと言ってました
私は警察官としては全然優秀じゃなくて、普通の地味な仕事をずっと定年までやっていくんだ、と思っていたんですけど、ただ自分にやれることがあるんだったらそっちをやったほうがいいのかなと。
つまり最初は、今読んでいるこの『ハコヅメ』の4~5年先の話を描こうと泰さんは考えていて、だけどお姉様がこれはその4~5年前の話を現在の話として描いたほうがいい、というふうに言われたと。

泰:そうです。「この新任時代のほうが面白いんじゃない? 藤さんとペアを組んでいるときの」という話をされて、ああ、そうかって。

―― じゃあ、まだその最初に考えていらっしゃった時点に、話のほうが追い付いてないということですか。

泰:追い付かせるとメンバーが代わってしまう。藤と川合がペアじゃなくなってしまうので。だから今、本編は『サザエさん』時空をぐるぐるしているんですよね。時を進ませられないので(笑)。


4巻からが本番

ご指摘のあった4巻ぐらいのときに、交通事故でチャイルドシートの赤ちゃんが車外へ放り出されちゃうという話を、Twitterから1話全部読めるようにして、まあ、いくつかバズりそうな話を流したんですけど、この話が一番バズったんですよね。

そのあたりで、楽しいだけじゃなくて、大暴れしていいんだという感じになったのはありますかね。むしろ大暴れしないと、もっとセールス、伸びないなというか。


わかりやすい話はバズりやすくはあるけれどお金を払ってもらえない


プロレスの観客はショーとして楽しんでいるのに、前田日明だけは突然、ショーからシュート(ガチンコ)を仕掛けてくる。いきなり相手の脚を折りにいくとか。その結果、こいつはいつ何をやるか分からんエンターテイナーだ、と認知されているという。

―― 確かにそうかもしれない。これ、褒め言葉として聞いていただきたいんですけど、実は『ハコヅメ』は、すっきり分かりやすい話ばっかりでは全然ないですね。

泰:全然、そういうつもりじゃ描いてないですね(笑)。なぜかと言えば、分かりやすい感じの話ばかりだと今の時代はお金を払ってもらえないという。

PVで儲ける人ばかりになっていくと、どんどんとわかりやすさばかりが重視されるようになってしまうということをよく理解されている。


泰:分かりやすい感じの話ばかりだと今の時代はお金を払ってもらえないという。

単行本を集めていても途中で転売されたり、購読をやめられてしまうというのがあって。サブスクもで無料でだいぶ読めますし。なんですけど伏線をこうやって間に置くことで読み返したくなる、その結果、手元にずっと置いていてくださるという、そういう描き手の願いもあったりして


新海監督のファンは、DVD、Blu-rayをちゃんと買ってくれる。何で買うかといったら、とにかくあふれるほどの伏線と情報量を詰め込んである作品だから見返したくなる、と。

「舞台となる職場の情報量の多さ、正確さ」は、泰さんが描くものを読んで最初に「いいな」と思った点でもあるんですよ。組織のリアリティというか、ああ、みんなこうやって働いているんだなというのが、やっぱりいち会社員として刺さるところがあって。

―― ものすごくつまらない言葉で落とし込むと、言葉遣いとか用語とか、「こういうときにこういう言い方をする」というのが、ものすごくしっかりしてらっしゃって、「そうなんだろうな」と思わせる。自分の仕事柄もありますけれど、「用語」ってすごく大事ですよね。

タブチ:それは最初のイラストのセリフからして、ああ、これは本職じゃないと出ない言葉遣いだというのはやっぱりあるんですよね。


泰:これ、言っても大丈夫かな。男女間のことを描くときはちょっと気持ち悪くするようにしているんです

―― 気持ち悪く。ざわざわというか、ぞわぞわするように。なぜでしょう。

泰:如月にしろ、源にしろ、ちょっとそういう雰囲気が出るときに「圧」とか「怖さ」とか、ちょっとぞわっとするように描くことで、読者が「男社会で生きる20歳の女の子の視点」で作品を見てほしいなと思っています

山田みたいな「いいお兄さん」ばっかりだと、安心しきった状態で、作品を読めてしまうじゃないですか。でもこの作品の舞台は、主人公にとっては、どこかずっと緊張感がある場所なんだというのは、しっかり読者に感じていてほしいと思うんです
安心感を与え続けたくないというのはありますね。でも、そういうのは嫌がられるんです。恋愛をちょっと匂わせる描写を入れるだけで、すげえたたかれます(笑)。やめてくれ、求めてない、ネタ切れか、みたいな感じで

―― 恋愛ネタは「安全・安心」じゃないから嫌われるんだ。

タブチ:SNSで読者さんが言ったりするんです。

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例えば「交通安全の話」をするためには、本題は10%しかしゃべってはダメ、あとの90%はみんな面白かったり残念だったりする笑い話をしないといけない、と。


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警察コントのような面白台詞の数々は、絵で見せる漫画家ではないため、とにかく文字で原稿を埋めて作画のスペースを小さくしたいという思いから来ているのだそうだ。 『銀魂』の空知英秋と双璧をなすパワーワードの使い手が、まさかこのような大人の事情から生み落とされていようとは……。
『ハコヅメ』の連載開始とほぼ同時期に、『ちさと巡査、現場に急行せよ!!』や『警察官をクビになった話』など、警察の内情を暴露する作品がにわかに注目を集めたが、『ちさと巡査』は主人公が作者の代弁者となってブラックぶりを説明しているのに対し、『ハコヅメ』は登場人物が自分の言葉として不平不満をぶちまけており、その端々まで真に迫っているのが特徴的だ


この作品最新刊まで読んだ人といろいろ話したいからみんなも読んでw







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