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680. NEJM Journal Watch 4発まとめ

1. Risks for Candidiasis and Invasive Mold Infection After Lung Transplantation

もと文献→OFID https://doi.org/10.1093/ofid/ofad640

デューク大学医療センターでは2000年から肺移植後90日間、週1回のアムホテリシンB吸入が処方されており、2015年に侵襲性カンジダ症(IC)を対象に1日400mgのフルコナゾールが追加された。その状況で、早期(≦90日)および後期(>90日~1年)のICおよびその他の侵襲性真菌感染症(IMI)のリスクを検討。603人の参加者中、159例がIFIを発症。うち75例がカンジダ属、100例がその他の真菌(主にAspergillus fumigatus)によるものであった。IC症例のうち60例は早期発症で、フルコナゾール予防薬投与後に発症した症例は6例のみだった。早期ICのリスク因子には、腎不全(HR: 5.7)、ドナーの培養陽性(HR: 3.3)があった。IMI症例の3分の2は後期に発生し、腎不全(HR: 5.3)および急性拒絶反応(HR: 1.7)がリスク因子であった。早期および後期IMIともに、アゾールの投与はリスク低下と関連していた(HR:  0.5)。

2. Diagnosing Syphilis with PCR-Based Assessment of Oral Swabs

もと文献→JID https://doi.org/10.1093/infdis/jiad582

2020年9月から2022年3月にかけて米国の2施設で行われた研究。抗菌薬治療前の梅毒と診断された男性32人(29人はHIV感染者)から口腔スワブを採取。T. pallidum遺伝子tp0574(口腔内トレポネーマには存在しない)に対する定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)を行った。14人(44%)でqPCR陽性。原発性梅毒では6例中1例(17%)のみが陽性であったのに対し、続発性梅毒では18例中8例(44%)、初期潜伏梅毒では8例中5例(63%)が陽性であった。目に見える口腔病変のない29例中、qPCRは11例(38%)で陽性であり、目に見える病変のある13例では5例(39%)で陽性であった。

3. How Effective Is Molecular Diagnostic Testing in Children with Gastroenteritis?

もと文献→CID https://doi.org/10.1093/cid/ciad710

小児の急性胃腸炎へのMultiplex PCR介入。胃腸炎の小児1157人(介入前群 571人、介入群 586人)が登録。アウトカムは10日以内の医療機関への再診。介入前は参加者の14.0%で診断検査が実施され、2.5%で治療可能な病原体が検出された。介入中は74.0%で検査が実施され、627の病原体(多くはウイルス)が検出された。Clostridioides difficileは検出率に両者の差が見られた唯一の微生物だった(2歳以上の小児8例(介入前)対23例(介入中)で検出)。単変量解析では再診の可能性に介入前群と介入群で差はみられず(32%と30%)、抗菌薬の投与を受けた小児の割合も差はみられなかった。多変量解析では、介入群では再診率が21%低下したが、再診による救急外来(ED)受診や入院に差はなかった。

4. Toothbrushing Lowers Risk for Hospital-Acquired Pneumonia

もと文献→JAMA Int Med. https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2023.6638.

歯磨きのVAP予防に関する15件の無作為化試験のメタアナ。約2,800人の患者(約80%がICU)が解析対象。介入群では1日2~4回、クロルヘキシジンまたは歯垢除去歯磨剤による歯磨きと舌磨きを行い、対照群では1日2回、クロルヘキシジンスワブによる口腔ケアを行った。歯磨きは、HAP(33%)およびICUでの死亡(19%)のリスクを有意に低下させた。歯みがきの有益性は侵襲的人工呼吸を受けている患者にのみ認められた。ICUでの歯みがきは、人工呼吸日数(1.2日)とICU在室日数(1.8日)の有意な短縮と関連していた。1日2回の歯磨きは、2回より多い歯磨きと同様の有益性を示した。

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