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714. NEJM Journal Watch 2024/5/8

1. Another Treatment Option for Uncomplicated UTIs Is Approved in the U.S.

PivmecillinamがFDA承認!
2025年に米国で非複雑性尿路感染症に対して使用可能になるよう。薬剤コストが懸念という編集部からのご意見が。

2. How Long Should Antibiotics Be Continued After DAIR for Periprosthetic Joint Infections?

人工関節周囲の感染に対して、人工関節を抜去せず、デブリードマン、抗菌薬で治療する(人工関節を温存する)場合の適切な抗菌薬投与期間についての研究。米国と欧州で行われたレトロスペクティブ・コホート。人工関節が温存された510人の患者のうち、ほとんどの感染は一次人工関節置換術後に起こり(69%)、手術から3ヵ月以内に発生した(62%)。抗生物質による治療は、リファンピンが55%、キノロンが43%であった。12週を超えるサプレッションを受けた患者167人のうち39人、12週未満のサプレッションを受けた患者343人のうち27人に発生し、両者の治療失敗率には差はなかった。
(Tai DBG et al. Role of routine suppressive antibiotic therapy after DAIR for acute periprosthetic joint infections. Open Forum Infect Dis 2024)

3. Abnormal Urinalysis Is a Poor Predictor of Clinical UTI

尿路感染症における尿検査異常の有用性を検討した米国の5病院で行われた、尿道カテーテルを留置していない成人患者を対象としたレトロスペクティブ・コホート研究。3392人の患者のうち、723人が尿路感染症の基準を満たした。検査の陽性適中率(PPV)は、1+以上の白血球エステラーゼ反応が0.33、膿尿(10 WBC/視野以上)が0.35、亜硝酸塩が0.43、細菌尿(50 細胞/視野以上)が0.41であった。亜硝酸塩の結果を膿尿または白血球と組み合わせると、膿尿単独よりも尿路感染症を除外することができた。
(Advani SD et al. Performance of urinalysis parameters in predicting urinary tract infection: Does one size fit all? Clin Infect Dis 2024.)

4. Next-Generation Antibiotics for Gram-Negative Infections: An Untapped Resource?

2016年から2021年にかけて米国の619病院のデータを用いて、最近FDAに承認された7種類の多剤耐性グラム陰性菌用抗菌薬の使用状況を調査。グラム陰性感染症に対する古い “reserve” の抗菌薬(アミノグリコシド、ポリミキシン、チゲサイクリン)の使用は徐々に減少し、新薬のうち最初の2剤(セフトロザン・タゾバクタム、セフタジム・アビバクタム)の使用が増加した。対照的に、メロペネム・バボルバクタム、イラバサイクリン、イミペネム・シラスタチン・レレバクタム、セフィデロコールの使用はわずかであった(プラゾマイシンは全く使用されていなかった)。多剤耐性菌感染症患者のうち、59%が新薬を、41%が “reserve” の薬を投与されており、耐性菌による菌血症に対する新薬の使用率は72%であった。また、使用率は地域差があり(中西部で61%、西部で34%)、小規模病院や耐性菌の発生率が低い病院では使用率が低かった。
(Strich JR et al. Assessing clinician utilization of next-generation antibiotics against resistant gram-negative infections in U.S. hospitals: A retrospective cohort study. Ann Intern Med 2024)

5. How Accurate Is Screening at ICU Admission and Discharge for Assessing Acquisition of Multidrug-Resistant Organisms?

感染対策のために、シカゴの医療集中治療室に入院した患者の糞便サンプルを毎日採取するか、入院時と退院時だけするかという、多施設共同前向き研究。1年間で、939例のICU入室時サーベイランス検体が得られ、少なくとも1つの多剤耐性菌が検出された患者は、連日の検体で43%、入退室時の検体で39%であった。入退院検査で多剤耐性菌がみつかったのは連日スクリーニングで多剤耐性菌がみつかった患者の86%~91%であった。連日スクリーニングで判明した入院中の多剤耐性菌の獲得は 56%~70%であった。他方、臨床検体(尿または呼吸器)で多剤耐性菌の保菌が確認された患者はわずか7%だった。
(Sansom SE et al. Comparison of daily versus admission and discharge surveillance cultures for multidrug-resistant organism detection in an intensive care unit J Infect Dis 2024)

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