恋の終わりと始まり『らんま1/2』第5話「かわいくねえ」感想
雑感
ある意味前半と後半でかなり雰囲気にギャップがある回でしたね。
どちらも前回の続きではあるのですが、『らんま』の全体的な雰囲気を体現した回でもありました。ロマンスあり、格闘あり、変身あり、コメディありのこの雰囲気!
前半はあかねの心情が丁寧に描かれていて、彼女の印象が変わったという人もいるのではないでしょうか。また、旧作を見ていた人でも、あかねの涙の理由を改めて理解したというパターンも多いのではないでしょうか。
変わって後半、良牙が乱馬に復讐する理由が分かりましたね。逆恨みかと思いきや……の黄金パターン。コミカルな雰囲気で描かれて大満足です。
良牙の変身する豚(アニメで名前が出ていないためあえてこの名称で)のワイプがかわいい。
あらすじ
サブタイトルの「かわいくねぇ」は3話の「笑うとかわいいよ」という言葉とは真逆。
「かわいいよ」と言えていたのが「かわいくねぇ」になるのは乱馬の心が揺れ動いた結果でしょうか。
キャラクター
ひろこ
(CV.大下菜摘)
あかねの友達その3。のりこ、ともよに続いての登場です。ハーフアップの子がのりこ、ポニーテールの子がともよ、ボブがひろこですね。
大変不勉強で申し訳ないんですが、角川三人娘と呼ばれた、渡辺典子、原田知世、薬師丸ひろ子のお三方が名前の由来らしいとのことで……。
みどころ
けがはなくとも
ショッキングなシーンなのに寒いギャグでボケずにはいられなかった原作の名シーン。ちゃんと拾ってくれて助かる。いや削られると困るレベル。サブタイトルだし。
「素直な女だ」
あかねにはたかれる良牙とそれに対して述べられた言葉。
初期の貴重な場面ですね。
あかねの回想
髪の長いお姉ちゃんを見て、お姉ちゃんみたいに髪を伸ばせば…と考えて長い髪にしていたことが明かされます。
あかねの長髪は初恋の象徴だったんですね。
この事実が今回のエピソードを締まらせてくれます。
かすみに髪を切ってと頼むあかね
その初恋の象徴を思い人の思い人に切らせるあかね。
ここら辺はあかねが前を向くための儀式だったのかな~なんて思ってしまいます。
あかねはボブカットになり、乱馬に一瞬間違えられるくらいに。
「どうせ近いうちに切るつもりだったんだから」と話す姿は、もともと諦めていた恋だったことを示唆します。
「それに、短い方があかねちゃんらしいね」
そしてこの言葉がとどめを刺します。
「いくら形を真似したって自分はお転婆な子供で、お姉ちゃんにはなれないんだ」と気づくのです。
そう思ったあかねの目からは涙が……。
恋がひとつ終わった瞬間です。
堪えきれずあふれ出てきてしまったんですね。
それでも「どうしたの?」と優しく声を掛けてくれる東風先生にあかねは号泣してしまいます。
諦めてはいたけど、失恋の痛みに耐えられなかったあかねの心情がよく伝わってきます。
正直、あまり初期を読み返さないためか、このシーンには新鮮な味わいがありました。あまりにも女子高生の失恋を鮮やかに描きすぎていて、ある意味、見落としがちな部分だったというか。こうして、初期の濃いロマンス模様を改めて描いてくれたアニメに感謝というか。
力を込めただろう熟練した日髙さんの泣きの演技も光ります。
やっぱりこうしてオリジナルのメンツでやった甲斐があったなぁ……。
かわいくねぇ
泣いたらすっきりしたと言うあかねの声は本当にすっきりとしています。
本当に諦めが付いた瞬間だったんでしょうね。
先生の「かわいい」にも「関係ないよ」と言ってのけます。
「やっと気持ちの整理がついた」と。清々しく。
本心なのでしょう。
そして始まる新たな恋。
不器用にあかねを褒める乱馬の姿ににやにやしちゃいますね。
乱馬の本当に意識しはじめたのはこの瞬間でしょうね。
見惚れているところ隙を取られて川に落ちます。
「罪の意識もふっとんだでしょ」と話すところはあかねなりの優しさですよね。
そこで「かわいくねぇっ」と今回のサブタイトルを叫びます。
「いいよーだ」と笑顔で返すあかね。
素直になれない乱馬とあかねの関係はここから始まるんですね。
つまりここまでが『らんま』のプロローグなのです。
良牙の夜討ち
さて後半。
顔に荒い影を落として勝負を迫る良牙と暢気に寝ている乱馬の対比が笑えます。
時々漫画チックな作画な瞬間があって面白いですね。
本当は怖いかすみさん?
泥棒退治にダンベルを渡すかすみさんも怖いですが、それを躊躇なく投げるあかねも怖いです。死ぬよ。
「なーんだ、乱馬くんのお友達だったの」とほっとしてますが、不法侵入には間違いないのでは……?
居候として肩身の狭い乱馬
夜討ち朝駆けはやめろよなーと話す乱馬くん好きです。一応居候先に気を遣ってる感じが出ていて。
赤くなる子豚
あかねの胸に挟まれて赤くなる子豚。
「あ、オスだ」と確認されるのも、「あ、ホントだ」とあかねにも見られてるの本当に笑う。
山田さんちのベス
落書きのような顔がかわいいですね。
風呂場にて
裸の男女が風呂場にいるのに何でしょうこのシュールさは……。
監督曰く脚本段階から不安だったらしいんですけど、全然やらしくないのがすごい。
中国で迷子の良牙
よくピンポイントで呪泉郷に辿り着いたな……とつくづく思います。
これが不幸な男の宿命か……。
良牙を調理しようとする呪泉郷ガイド
よくその説明しながら豚を調理しようと思ったな!?
一応、真っ先にゆでるのは、確認のためなんだと思うんですけど。
筋違い?
発端は良牙の逆恨みなのですが、結果論としては……なシーン。
「これは失礼」の看板を出したパンダは何を考えてたんだか。
全ての合点がいったときの表情がまた……笑えますね。
ここも漫画チック。
らんまを止めるあかね
パイづかみ。
ここもカットされてなくてよかったー、と私かに思う原作ファン私……。
あかねにとっては乱馬が動物をいじめているようにしか見えないからね、仕方ないね。
ヤキモチ?
顔を真っ赤にして良牙にヤキモチを焼くらんまがかわいい。
「ばかやろお。もう勝手にしろっ!!」も心なしかヤキモチ度高めに聞こえます。かわいい。
夜這いに寛容な家族
「なんちゅー家族なの」
本当にね。
アイリスアウトオチが見事に決まる終わり方でした。
EDの変化
今回からEDがあかねショートカットバージョンに変化しました。
やっぱりショートカットの方が見慣れてるせいか、EDの見方もこれまでと違った感じになった気がします。あかねちゃんてこういう子だよね、と共感できる形に。
ところでEDテーマのCDが発売されましたが、あかねversionがとても良い。それと併せて、「ああ、この曲はあかねの曲なんだなぁ」としみじみと思うようになりました。
次回
もう今夜次回放送ですよ。
遅筆すぎるだろ。
と自分を叱咤しつつ、次回も楽しみです。
以上。