終わりよければ
ライブ:花田裕之 ”流れ” 下北沢 2024 Harvest Time編(下北沢・ニュー風知空知、2024年10月4日)
年明け1月以来のニュー風知空知。お店のホームページによると、10月いっぱいで閉店とのこと。びっくり。始まりがあれば終わりがあるのは世の理といえど、残念なニュース。
さて、ライブの感想である。
先月の虎ノ門も大変よかったが、今回の下北沢もそれに負けず劣らず。前回とはまた違った魅力にあふれた「流れ」だった。二部構成のステージの出囃子となった「ホラ吹きイナズマ」のムードとは裏腹に (幕開けの方はチバユウスケのボーカル だったと思う。第二部の始まりは本家本元・鮎川さん。)、繊細でやわらかい空気が常に底流にあり、じんわりと包み込まれていく感じ。やさしさ、とか、気弱な、とかいうのとは別の種類のもの。(前半、「いつか見た夢」にそういうワーディングがあったので、つい結びつけてしまう。) いい塩梅に肩の力の抜けたボーカル。歌い飛ばしはご愛嬌。大胆かつデリケートな、花田さんのアコースティックギターならではの弦の音。特に「No Expectations」のスライドは秀逸。いつまでも浸っていたい気分。ステージ、客席共々ゴキゲンに満ちた夜だった。
プログラムとしては花田さん自身のオリジナル曲が多めだったかもしれない。鳥頭ゆえ正確には思い出せないのだが、おそらく半分超がそうだったのでは。
その中で極私的に特別だったのは、本編ラスト「ハイウェイをおりて」とアンコールの「風が吹いてきた」。双方ともおなじみの楽曲であるが、なぜかこの晩に至っては妙に自分自身、情緒の、しかも深いところにきてしまった。季節の変わり目で、心が疲れていたのかしらん。ふっと魔が差したように、自らの人生、来し方行く末への思いに沈み込む。振り返れば、凡人の人生にも、凡人の人生なりにいろいろあったものである…..。終いには感極まって不覚にも一瞬、涙がじわりときてしまった。あああ、いい大人が恥ずかしいったら (汗)。それにしてもなんと弱くて脆い自分よ (笑)。
ファイナル・ナンバーは「Knockin’ on Heaven’s Door」。大きな拍手の中、ライブがはねていい気分で会場を後にしたのは22時過ぎ。終わりよければすべてよし。下北沢のこの場所は、花田さんのライブでしか訪れることはなかったけれど、居心地のいいお店だった。ありがとう、ニュー風知空知!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?