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追記編・渋く光る魅力あり【評価★★★★☆】

CD:「Rock’N’Roll Gypsies」 花田裕之(1995年/東芝EMI)
(2019年1月投稿のAmazon CDレビューへの追記を加筆修正。追記は同年5月投稿。両方とも削除済)

「CDレビューなのに、音楽的な側面に触れていないのはいかがなものかと思うが、それよりも、あれだけ持ち上げておきながら、星4つの評価なのはどうしてか。」

以前投稿した拙文について、このようなコメントをいただいたので、少し説明を加えたい。

まず、「音楽的」について。これはすでに色々な場で、多くの方々に語られており、今さら自分のような半端者(「花田裕之」を聴くのはルースターズ解散から実に30年ぶりになる)が、蛇足を加える必要もなかろうと思われたからだ。また、先輩諸氏によるレビュー文以上のものを書く力量が自らになかったこともある。

次に星の数が満点の5つではなく、4つの理由。端的に言うと、アルバム収録7曲目「ロックンロール・ジプシーのバラッド」(以下「バラッド」)による。

私がこの曲を初めて聴いたのは、このCDからではなく、花田氏のライブ(「流れ」 2018年12月9日/高松オリーブホール)でのことであった。実はその時の「バラッド」がともて印象深く、後日CDを入手し、あらためて聴くことになった「バラッド」は、正直聴き劣りを感じてしまった、というのが顛末だ。

同じ曲でもアルバムの中の1曲として聴くのと、ライブの中の1曲として聴くのでは、様相がまったく異なるし、また、リリース当時(1995年)と、それ以後、毎々度ではないにせよ、幾年もかけて客前で弾き、歌い込んできたであろうと思われる現在とを比べることは、甚だ不公平であるともいえる。だが、私がその晩、初めて耳にした「バラッド」は、音にまつわる、そして言葉(歌詞)にまつわる表現の厚みが格段に違ったのだ。ライブではアコギ1本だったにもかかわらず。(本盤収録の「バラッド」が不出来だというつもりはまったくないのだが、CDでこの曲を聴いた時、これがあの「バラッド」だとはすぐには気がつかなかった・・・これこそ蛇足か。)

そういうわけで、そのほどよく熟した味わいを、思いがけずCDに先んじて知ってしまった我が身としては、心苦しくも本作に星5つをつけることはどうしてもできず、結局、星4つの評価となってしまったのである。

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