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暮れゆく秋、長い夜

ライブ:【有観客・生配信ライブ】 花田裕之 ”流れ”オンライン 下北沢2022・秋編 「2 PASSENGER」ゲスト 柞山一彦(下北沢・ニュー風知空知、2022年11月22日)

およそ5ヶ月半ぶりの有観客・流れオンライン。下北沢には出張ることなく、オンラインで鑑賞。元ルースターズ・柞山一彦さんがゲスト出演すると聞いた時から、ずっと楽しみにしていた。ゲストということで、たぶん数曲、そしてアンコールでプラス何曲か、ぐらいかな、と思っていたのだが、いざ蓋を開けてみたら、全体の半分以上の曲でベースを弾いてその存在を見せつけてくれた。それにしても柞山さん、お元気そうで何より。

アコースティックギターxベースギターの組み合わせの「流れ」、実は私自身、初めての体験。また「あの娘はミステリー」や「SOS」など、柞山さんとの共演だからこその選曲もあったように思われ、大変貴重な機会となった。

さて、ライブはゆったりと「汽車はただ駅を過ぎる」でスタート、「新型セドリック」でアンコールを最後まで駆け抜け、フィニッシュ。花田さんはソロでもデュオでも充実したギタープレイを見せ、いつも以上に調子が上がっていた感じ。おそらく表情に出ないものの、"柞ちゃん"とのコンビネーションを大いに楽しんでいたのではないかと思う。ふたりがステージでプレイすると、まるで「地」と「柄」の関係のように、柞山さんのベースで花田さんのアコギが際立ち、逆もまた然りで、花田さんのアコギで柞山さんのベースが際立つ、という場面も随所に見られて面白かった。

今回のステージは初めて聴く曲が多かった。「流れ」では、ライブ後の初聴き曲の調べ作業も個人的な楽しみのひとつなのだが、その中で「Sunday」が特に印象的だった。 花田さんのソロアルバム「MY LIFE」に入っていたとしても全然違和感なし、のAOR調。それがなんとルースターズ(z)だったとは。歳月を経て、柞山さんのベースと年輪を感じさせる花田さんの渋い歌声で、さらに Adultな魅力たっぷり。言葉遊びのような、なぞなぞのような不思議な歌い出しからのAメロ(っていうんでしょうか?)の部分がいい。いつかアコギ一本のバージョンでも聴いてみたい。

一方、聴く度にいい曲だなあとしみじみ感じ入る「お天道さま」。この晩も樽木の香り高く熟成のきいた強い酒のようにしみる。うーん、きくなあ。焦らずゆっくり飲むのがよい。最近では、世の悲惨に戸惑いの心を織り込んだ歌詞が定着しつつあるようで、ますます味に磨きがかかる。是非この調子で今後も。

暮れゆく秋、長い夜を過ごすのにぴったりのライブだった。生配信後もアーカイブでまったり視聴、ハッピー。

【花田裕之 ”流れ”オンライン 下北沢2022・秋編 ゲスト 柞山一彦】
汽車はただ駅を過ぎる/魅惑の宵/一人/何処へ行っても/ぬすっと/Heavenly!Femme Fataleあの娘はミステリー//(休憩)//月が見ていた/雨/お天道さま/曲名不明(歌い出し: 泣き濡れた瞳が)/Dead FlowersSundayAlbuquerque落陽からかわないでYou’re So Free//(アンコール)//SOSAll Alone新型セドリック (太字=花田&柞山)

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