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4本目のHOPE

ライブ :  Rock ’N’ Roll Gypsies 2022 HOPE Vol.4 (高円寺 HIGH、2022年12月9日)

私自身、喫煙はしないのだが、どうも世代のせいか「HOPE」と聞くと、ケムリの方を連想してしまいがちなのである。まだ煙草が格好いい大人の象徴で、憧れでもあった時代に10代を過ごしたからかもしれない。

さて、今回のそれは煙草ではなくライブである。以下、つれづれに。

今夏の「<Honest I Do>.」ツアーに続き、秋冬はその名も「HOPE」で迎えたロックンロール・ジプシーズ(と苗場音楽突撃隊)のライブシリーズ第4弾。10月の京都 磔磔の1本目、2本目はPC越しで配信鑑賞。翌月の渋谷クアトロはチケットを購入していたにも関わらず、事情により断念(結局、知人に代理で行ってもらった・涙)。そして12月、ようやく4本目にして(現場の空気を)リアルで吸えたのである。感無量。

ほぼ定刻に、ステージ両翼は白いジプシーズ・シャツ、中央前後は黒を着たメンバーが登場。「Muddy Man」でスタート。1曲目がインストゥルメンタルでないのは最近では珍しいのでは。Lucky Strikeならぬ(煙っぽくてすみません)「Lucky Love」で終わった本編の後(鳥頭ゆえの記憶違いだったらすみません)、アンコール2回を含めおよそ1時間半以上に及ぶステージ。楽しい時間はいつも早く過ぎていくが、これもあっという間だった。開演までの待ち時間の方がよっぽど長く感じた。1曲1曲ごとの、また、アンコールを求める観客の拍手の強さと長さ。とても genuineな感じ。そしてそれはそのままライブの出来を示していたように思う。

今年最後のライブというふれこみ。かといって、別段何かあるわけでもない(逆にそこがいい)。一方、個人的には、聴いてよし、のってよし、(マスクの下でひっそりと)歌ってよしで、今年一年のモヤモヤをあれこれ発散、すっきり気分。

花田さんの渋いボーカルもよく届き、また、下山さんとのギターソロのとり合い、掛け合いにも惚れ惚れ。「黒の女」は毎度ながら圧巻。お互いに個性の異なるギタープレイは大きな魅力。それから池畑さんのドラムスと市川さんのベース。特にまだステージも客席も充分に暖まりきらぬ冒頭数曲、リズム隊の重低音がハコ全体を一気にパワフル加熱、うまく引っ張っていってくれた感あり。「Rumble Heart」、「危険な日常」などがよかった。今のロックンロール・ジプシーズは花田・下山・池畑・市川の4人であってこそ、とつくづく思う。

ところで「Ho Train Boogie」の歌詞(変更)の一節、なんと大胆で直截なことよ。10月のVol.2の配信でもびっくりしたけど、ナマでやっぱりびっくり。そんなこと歌っちゃっていいんですか・・・、と純情な客は思わずポッと頬を赤らめるのであった(笑)。

帰途は晴天。都内から離れ、ふと見上げると住宅街の空には丸い月。つい先ほどまでの高揚感は、高円寺からの電車の混雑で煙のようにかき消され、どこへやら。それでも丸いお月さんにさっき聴いた「あきれるぐらい」を重ね、あの煙の味、4本目のHOPEの味を思い返す。来年もどうか彼らのライブを観に行けますように。

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