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いつだってバン花はバン花

ライブ :  band HANADA (横浜・Thumbs Up、2023年9月9日)

私のような年季の浅いリスナーがいうのはおこがましく、また、具体的にどこがどうと説明できるわけでもないのだが、今回のライブ、久しぶりに何のバイアスも重みづけもかかっていない、band HANADAらしいband HANADAを見た思い。彼らは相変わらず普通に自分たちの仕事をしているだけ、なんだけど。

開演前、花田さんのギターがESではなくファイヤーバード(っていうんでしょうか?)であるのを見た時、今日は何かちょっと違った風合いになるのかな、と思ったら、逆にいい意味でそれが裏切られた感じ。「お天道さま」や「ガラガラゴロゴロ」「rollin’ on」「back seat」「路地裏のブルース」「渡るしか」などなど、花田さん自身による曲の数々を、このバンドのこのメンバーだからこそのプレイで聴けたのはあらためてよかったと思う。

しばらく回数を重ねてステージを観ていると、どうしても目新しいもの (例えば今回なら自分の場合、シナロケの「Train Train」や「ボニーとクライドのバラード」とか) に注意が向きがちになるのだが、今回についていえば、むしろ「いつものアレ」がセットリストにある、ということがなぜかとても嬉しかった。「見はなされた夜」と「お願いひとつ」はやはり秀逸。特に後者での渦巻くような大西さんと花田さんのギター。ふたりのバランスもよし。陶酔的なトリップ感にあっちの世界へ引きずり込まれそうになりつつも、キレのある椎野さんのドラムと、メロディーとリズムの間を滑らかに行き来する井上さんのベースで、ふっとまたこっちの世界に引き戻される感じ。これはクセになりそう・・・。(というか、もうなっているような気がする。)

全体では休憩を含めて2時間超ぐらいだったか。ショウが佳境に入るにつれ、ぎっしりの店内からの拍手はより強く、長くなっていく。アンコールを求める拍手はさらに熱量を増し、メンバーの名を呼ぶ声援が飛び交う。こういうのってすごくいい。場の空気が次第に昂り、沸点に近づいていく感じ。ライブって本当にステージの上だけで完結するものではないってことがよくわかる。そしてアンコールの演目には、サンハウスの「ロックンロールの真最中」。歌詞そのままに、いま、ご機嫌なんだ!と叫びたくなるような楽しいステージに深く満足の一夜だった。

この日の充実ぶりからして、彼らにはこのままずっと変わらないでいて欲しい、と願う。しかしその反面、どこまでも流れ、転がり続けていって欲しいとも思う。いつだってバン花はバン花なのだが、何ともわがまま三昧な観客心理。引き続きband HANADAから目が離せない。


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